

新しいシーンやキャラクターが加わった、改訂版の脚本。
物語のキーパーソンとなる、キャラクターの登場。
大人数での演出が入る新しいシーン、主人公の心の動きをより深く伝えるセリフ。
愛の世界を作るための私たちの旅の物語は、より広がりを見せます。
加筆がされた大切な脚本を携え、この日は、2回目の衣装を着ての通し練習をしました。
通しに向けて、午前は出はけの確認と演劇の練習をしました。
新しい脚本では、曲順も少し変更がありました。
通しでスムーズにできるように、曲の前後の確認をします。

「この1回しかないんだよ」
あゆちゃんの言葉です。
そう、「今度確認をしよう」の“今度”はない。その気持ちが大事です。
自分の中の曖昧な部分を流さず、1回の練習・確認で、確実に修正していきます。
私は、主に役者でステージに上がるのですが、立ち位置や視線など、曖昧な部分があると、演技に100%集中できないのを感じます。
間違える間違えない以上に、迷いや心配、それが表現の純度を落とすように思います。
だから、1回1回の確認や修正の時間を大事にして、通し練習でも確信を持ってステージに立てるようにしたいと思いました。
午後2時スタート。通し練習の幕が上がります。
前半に、大人数が登場する新しいシーンがあります。
前日の夜に、全員で形を作りました。私は、このシーンを非常が楽しみでした。
そんなに長い場面ではないのですが、この場面が新しく入ることで物語に非日常のスパイスが加わり、見どころのひとつになる、と思いました。見どころにしたいと思いました。
まだ、粗い仕上がりではありますが、それまでの流れに変化を持たせる場面で、
演じていても面白いと感じました。演出をつめていき、もっとよくしていきたいです。
セリフが1行整理されるだけで、通りがよくなっていることもあります。
物語のつながりに不自然さのないように、細部が整えられた行きます。
1の変化で、伝わりやすさが10になる。そんな感覚です。
セリフだけでなく、小さなことがもたらす影響は大きいのだとあらためて感じました。
これから、自分たちも、アイディアを出し合って、そんな細部を磨いていく練習をしていきたいと思いました。
そして、新しいキーパーソンとなる登場人物。
1シーン目からラストまで、このキャラクターはところどころ、印象的に主人公たちのまえに現れます。
いったい、あの子は何者なんだろう?神秘的な印象を残していきます。
私たちも、その子との初めての出会いを、ワクワクした気持ちで演じていました。
テーマである宇宙と人体をつなぐ大切な部分なので、きちんと伝わるように、
これから作っていきたいです。
ラストの曲が終わり、気づけば外は真っ暗です。
休憩をはさんで3時間以上の集中がふっとゆるむと、コンサート練習ならでは疲労感が包みます。
新しい脚本の流れが、客観的にどうだったか。
全体を感じる余裕はまだなかったのですが、自分なりに気づきはたくさんありました。
冗長だった演出、視線やはけかたが未確定の部分、もっと細かく詰めたいシーン、
みんなと動きを作りたいシーン。セリフをしっかり入れたいところ。ああ、小道具も作らなくちゃ!
挙げたらきりがありません。
まだまだ足りない、もっと作りこみたい、もっと質を高めたい。
その気持ちは、バンド演奏も、ダンスも、コーラスも、アンサンブルも、きっとみな同じです。
その気持ちをもって作る、今が、これからが、一番密度濃く楽しい時間です。
もちろん、新しいものを生み出す苦しみもあります。
アイディアを出して作っても、もしかしたらそれは本番では使わない、ということもあります。
でも、私は、最終的に本番に表に出る部分以外も、とても大切だと思います。
みんなで、ああでもないこうでもないと知恵やアイディアを絞って作ったときの気持ちが、本番の表現の土台となり、見えないところでの大きな力になります。
だから、これからみんなと作り上げる時間をたっぷりを味わい、楽しんでいきたいです。
(なお)