【11月号⑬】「テントに、芝生、フラミンゴ ―― 手作りの島で過ごす 特別な五日間 ――」ななほ

 

  
 外は秋風、中は常夏。

 五日間に渡って行われた勇志国際高等学校のスペシャルスクーリング。

 勇志国際高等学校は熊本県天草市に本校があり、本来ならば本校のある御所浦島へスクーリングに行く予定だったのですが、残念ながら今年も、オンラインでの自宅授業での開催でした。

 でも、なのはな高校生組である、りんねちゃん、りなちゃん、私が揃えば、ただ勉強するだけのスクーリングとは違います。

 少しでも、御所浦の島の気分を味わいたい。

 そんな気持ちを胸に、スクーリング会場である六年生教室を南国仕様に模様替え。

 スクーリングの前日にお母さんが、「せっかくだから、テントを張って寝泊まりをしたらいいよ」と提案してくれて、三人で協力してキャンプテントも立てました。
  
  
 私の中でテントというのは、野外に張るイメージが強く、テントを立てるのが大変だと思っている大人の人も多いのかなと思っていたのですが、なのはなのお母さんはやっぱり、遊び心に溢れていて、スケールが大きくて、いつも高校生組である私たちが楽しめるように、考えてくれます。

 三人で、「あれ? この骨組みは使うのかな」「何だか、右手前が浮いてしまうけれど、みんなで寝たら大丈夫だよね。問題なし!」と、延々と話しながら、テントを立てたり、黒板にモンステラなどの葉っぱ飾りを飾ってみたり、窓枠にはピンクや紫の風船を飾り、お花を散らしました。

「せっかくだから、広々できるように緑のマットを運ぼうか」。

 私がそう言うと、二人が「いいね」と言ってくれて、せっせと四枚のマットを運んできては、「これに合うサイズの可愛いカーペット、どこかにあるかな?」と頭を悩ませます。

 すると、りなちゃんが、「じゃあ、芝生広場にしちゃったら」と言ってくれて、今度は私とりんねちゃんが「いいね」という番に。

■手作りの島  

 そんな風に三人とも自由奔放に部屋に散らばり飾り付けをしては、「みて、芝生があったよ!」とマットの隙間に、画用紙で作られた草を差し込んでみたり、入り口にアーチを作ろうよ、レインボーの傘も飾りたいなど、いつの間にか部屋の中が南国の島になっていました。

 天草の本校にはロバのマッキーがいると以前、スクーリングに言ったことのある子から聞いていたのですが、私たちもロバの代わりに、フラミンゴを連れてきました。
  

  
 仕上げは亀柄の白い布で天蓋も作って、私たちのスクーリング会場は完成です。  そして、私にとって最後のスクーリングが始まりました。

 私は今年で勇志国際高等学校の三年生になったのですが、同じ学年にはりんねちゃんがいてくれて、一つ下の学年にはりなちゃんがいてくれて、二人の存在に助けられながらも、楽しく勉強をしています。

 スクーリングの授業では現代文や物理基礎、日本史などの他に、社会と情報や道徳、御皇室、体育、書道などもありました。

 その中でも私は現代文の授業が好きで、普段、なのはなで色々な小説を読んでいることもあり、私の知らない小説に出会えたりとか、感じ方などを考えていくと、心が耕されていくのを感じます。

■体育実技  

 また、今回のスクーリングで特に印象に残っている授業は体育実技でした。

 体育ではなのはなのことをよく知っている先生が担当で授業を進めてくれていたのですが、時間割表が配られたときから、(ん? 体育の実技って、どういうこと?)と思いながら楽しみにしていました。
    
 スクーリングでオンラインなのに実技。まさか、先生が画面上でランニングしたり、ソフトバレーしたりするのかな? そんな、まさか……、と思いながら、授業に出ると、実技の種明かしがされていきました。

 授業の前半はクラスの子たちとチャットを使って自己紹介をしたのですが、勇志の高校に通っている子は九州や四国、国境を越えてアメリカから授業を受けている子もいて、それぞれの地域や場所の有名な物やおすすめの場所を紹介してもらったり、先生が賑やかな空気を作ってくれて、他の授業にはない楽しさがありました。
  
  
 また、私もなのはなファミリーで桃を育てていて、とか、マクワウリという和風メロンがあって、とか、コンサートのことなどを書いていると、クラスの子が、「コンサートはいつあるんですか?」「行きたい!」と言ってくれたり、先生も、「桃の木が百八本もあるんですね」とリアクションをくれたりと、なのはなファミリーの存在を知ってもらえるだけでも嬉しい気持ちになりました。

 授業の三分の一が進んだ頃、先生が、「では、タイピングでよい運動になりましたか」言い、つい、隣にいたりんねちゃん、りなちゃんと、「実技って、こういうことだったのか!」と笑ったのですが、とても愉快な授業が嬉しかったです。

 でも、タイピングだけが実技ではありませんでした。

 その後も、利き手と習慣を考えながら脳トレのようなじゃんけんをしたり、肩や首回り、手首などをほぐすストレッチをしたり、ニュースポーツについての勉強もありました。

 勇志の先生方の中には、なのはなファミリーを知ってくださっている方、なのはなの桃の大ファンの方、コンサートに来てくださる先生もいるのですが、こうして、直接は会えないけれど、私もなのはなの子として授業を受けさせてもらって、先生方と繋がっていられることが嬉しいなと思いました。

■特別な五日間

 先生も、「なのはなさんですね。お父さん、お母さんもお元気ですか?」と声をかけてくださったり、とっても嬉しそうな笑顔で授業を進めてくださり、私もこうして今、勉強できることがありがたいなと感じました。

 体育以外でも、書道では実際に半紙と筆ペンで『清風』という文字を書いたり、定期試験を受けたり、苦手意識の強い物理基礎も、先生が実験をしながら説明してくださったりと、特別な五日間でした。
  
  
 もう私は卒業の年になってしまい、天草の本校へ一度も行けなかったのはとても残念なのですが、また、機会があったら遊びに行きたいなと思います。

 勇志なのはなスクーリングの五日間。りんねちゃん、りなちゃんと一緒にテントで寝泊まりをしたり、朝食を食べたら通りすがるみんなが、「行ってらっしゃい」と声をかけてくれたり、魚釣りやバーベキューなどはできなかったけれど、私たちも、朝は畑に行き、夜はダンスを踊り、とても濃く、充実した五日間となりました。

 勇志で教えてもらった道徳や授業の学習を今後の生活にも活かしていきながら、なのはなで育った勇志生として、卒業までも勉強を頑張りたいし、これからも成長し続けていきたいです。

―― 今月の果樹情報 ――
  

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