「なりきる」 みつき

11月1日

 11月の始まりの今日は、久々の雨模様でした。種まきした野菜や追肥した野菜も育つ、わたしたちも室内での作業や練習に向かえる、みんながうれしい雨でした。

 午前中には、楽器練習の時間がありました。
 雨のせいか室内は冷えて、相棒のフルートのうみちゃんも、ちょっぴりひやっとしました。今日は、マーチングの振りと合わせてカウントをして練習したり、暗譜を確実にするためにも、何度も吹きました。

「赤上げて、白下げて」の旗揚げの遊びがあると思うのですが、わたしはその類の遊びが全然できなくて、同時にいくつものことができないのが悩みです。フルートも、振りを付けると指が動かなくなってしまって、どうしたものか! とうんうん1人で唸ってしまいました。

 でも、自分がパニックにならないところまで戻って、本当にゆっくりじっくりと確かめながらやってみると、なんとか両立させてできるようになりました。
 まだ安定していなかった『レ』や『ミ』の音も、もういちど口の形や姿勢を正してから吹くと、音が出るようになってきました。
 思わず飛び跳ねてしまって、さやちゃんやるりこちゃんに報告すると、ふたりが、「フルート姿も、さまになってきたよね」と笑ってくれたことが、とてもうれしかったです。
 少しずつ少しずつのペースでうみちゃんと進んでいるけれど、諦めないで、練習を頑張りたいです。

 午後は、3時間みっちりコーラス練習をしました。
 せいこちゃんが見てくれて、ずっとわたしの課題だった『Black Queen』のコーラスを克服することができました。
 ソプラノは、はじめの第一声から出す音がとても高いです。わたしは「~~~!!」のような、声にならない声になってしまっていました。口は開けているし、声を出したいのに、出ていないことに、今までずっと悔しさを感じていました。

「よし、もう1回いこうか」と、せいこちゃんが正しい音を何度も確認してくれたり、ソプラノが入りにくい部分は、分担して歌ったりする方法も提案してくれました。
「聞いた人がぞくっとするような、普通ではない、狂気を感じるような迫力をイメージしてから、歌おう」
 と言って、最後の合わせの際には、せいこちゃんが10秒間の時間をくれました。
 目をつぶって、この曲で歌われている、女王様のとりこになった悪魔たちのことを考えました。

 曲が始まり、目をカッと開いて、第一声!
 すると、今までで1番大きな声が出ました。ちゃんとわたしの口から、声が出ました。
 最後まで思い残すことはないくらい、歌いきることができました。

 のどを使ってしまったのか、ハスキーボイスになってしまったけれど、ハスキーボイスお構いなしに、みんなと口々に「コーラス楽しかったね!」と言って解散をしました。
 みんなと作っていくコーラスの時間が大好きだなあと感じました。

 今まで自分が、「やっているつもり」になっていたことが、実際はたいしたことなくて、形になっていなかったり伝わっていなかったんだな、ということをひしひしと感じています。ここ最近何度も書いてしまうのですが、「なりきる」ということをテーマに生活していると、発見が増えたり、面白さを感じたり、できるようになることも増えて、すごく楽しいです。

 自分自身が何ものにでもなりきれるのなら、わたしは、「あの人のように生まれたかった」「あの人に負けたくない」とか思わないし、苦しくならないし、自分にも周りにもやさしいのかなあと感じました。
 今は、なのはなのみつきになったことがうれしいし、そのなかでまた、「もっともっとなのはなのみつき」になれるよう、毎日なりきっていきたいです。