【10月号⑫】「実りの秋、甘い香りのする宝物 ―― ポポーの収穫と小さな苗 ――」りな

  
 少しずつ気温が下がってきて、夏から秋へと移り変わるこの時期は、果物の収穫が真っ盛りになります。イチジクや柿、クリ……秋の果物の中に、ポポーがあります。池上桃畑の奥に、一本だけひっそりと植わっているポポー。今年も収穫できる日を楽しみにしていました。

 五月にワインレッドの可愛い花がたくさん咲いて、最初はほんの数センチほどの小さな実でした。そこからどんどん実が大きくなって、バナナの房のように、ぽってりとしたポポーに成長していきました。今年もポポーの実が木にたくさん生っていて、とても嬉しい気持ちになりました。

 途中、実の重さで枝が一本折れてしまったり、地面のほうにしなってくることはあったけれど、鉄パイプでしっかりと支えを作ると、枝が上にピンと伸びて、収穫する準備は十分整いました。
  
  
 ポポーの収穫は、他の果物と違い、木の下に落ちた実を収穫します。そのため、収穫できる時期になると、気持ちを切らさずにコンスタントに見回る必要があります。

 九月二十二日、ポポーの木を見に行きました。木の根元に潜り込むと、木の周りいっぱいに漂うポポーのトロピカルな甘い香りに包まれました。地面を見ると、たくさんのポポーの実が落ちていました。台風が過ぎ去った後だったこともあるかもしれないけれど、この日を待っていたかのように、一斉に実が落ち始めていました。

 落ちたポポーは、熟れて柔らかくなっていて、鼻を近づけなくても、とても甘い香りを発していました。ポポーの木の根元は、ポポーの枝でアーチのようになっていて、その中にいるだけでも、癒されるような気がしました。拾われるのを今か今かと待っているポポーが宝物のように思えました。

 一日だけでも、収穫かごにいっぱい集まって、そのずっしりとした重みを感じて、とても嬉しい気持ちになりました。
  
  
 それから毎日少しずつだけれど、収穫が続いています。一日だけでこんなに熟れる実があるのかと、驚きます。まだ木には熟れるのを待っている緑色のポポーがあって、まだもう少し、ポポーの収穫は続きそうです。早採りにならず、傷まずに、一番良い状態で収穫できるよう、これからも毎日ポポーの木に会いに行きたいです。

 去年、ポポーの実から採った種を蒔いて、育った苗が二十本ほどあります。まだ背丈は五センチほど、葉も六枚程度で小さいのですが、九センチポットでは根が窮屈になってきて、苗床に植える作業をしました。

 ポットから苗を取り出すと、まず仰天したのはポポーの根です。苗の幹の四倍も五倍も太い直根が伸びて、ポットの底に敷いていた根底ネットさえ突き抜けようとしていました。底を付いてもなお、どうにか成長しようと、側根までもが長く伸びていました。見えないところで、こんなにも成長し、生き延びようとしていたんだと知って、ポポーの生命力に圧倒されました。
  
  
 ポポーを畑に植えることができて、私もポポーと同じくホッと安心した気持ちになりました。まだ小さな苗で、畑の土でちゃんと活着できるかどうか、ドキドキするけれど、存分に根を伸ばせる場所で、これからも伸び伸び成長できるように支度ができて嬉しかったです。

 今は小さな苗も、あと数年後には、甘いポポーの実をたくさん付ける立派な木になるんだなあと思うと、大きな希望を感じます。水やり、手入れを欠かさず、気持ちを込めて育てていきたいです。