
さあ、はじめよう!音楽合宿第1弾。
朝、食堂へ入ると、あゆちゃんが黒板に音楽合宿のテーマを書いてくれていました。
テーマの右下には、ウィンターコンサートまで57日という文字も。
ついこの間まで、107日とか、94日とかいう話を聞いていたのに、もう57日なのかと思うと背筋が伸びるような気持ちになったのですが、今日から始まる音楽合宿に期待も膨らみました。
音楽合宿の朝はOMT(オープンマインドトレーニング)から始まります。
テーマは2つ。
1週目に『今、コンサートに向かう練習の中で楽しいこと、自分が好きな曲について』、2週目に『前回までのコンサートで感じたこと』を話しました。
楽しいと聞いて真っ先に私の頭に浮かんだのは、ダンスでした。
まだ、ダンス練習も始まったばかりなのですが、あゆちゃんとのダンス練習での厳しさや、全員で美しい形を求め、気持ちを外に出して揃えていく時間が私は大好きです。
あの厳しさや、あの強い気持ちをまた、自分の中で作り吸収し、みんなと高めていける思うと何だか鳥肌が立つくらいに、挑戦的な嬉しい気持ちでいっぱいになります。
また、スプリングコンサートで感じたこと、前回の脚本から得た答えや、コンサートを通して自分がどう成長し、今の生活にどう繋がっているかを話していると、コンサートの緊張感や一体感も思い出して、また、あのステージをみんなと作っていけると思うと楽しみになりました。
1日の初めにOMTをすると、朝の畑モードから音楽モードに切り替わり、自分なりのプランや目標が明確になるのを感じました。
また、あゆちゃんがステップアップシートも配ってくれて、今の自分の進行状況や課題や、合宿が終わった時には音楽合宿を終えての自己評価、目標達成度などを書けるようになっています。
私はつい、大きな目標や理想を立ててしまい、結果的に今の自分の現状や時間などが見合わない、ということが多いのですが、ステップアップシートがあると、(私は今日、これをクリアできたら1日の目標達成)と確実に1日1日、進化していけることを感じました。
そして、音楽合宿第1弾の幕開けです。
OMTのあとは柔軟や筋トレ、発声練習をしました。
発声練習では演劇係りさんが考えてくれたメニューで、「あえいうえおあお、かけきくけこかこ……」とハッキリくっきり、大きな声で発声するトレーニングの他に、スプリングコンサートのセリフを向かいの人に届く声で言うなどがありました。
「何か、思い残すことはないか」「ない」、というテニアン島での3人の兵隊のセリフや、ラストシーンの「永遠は一瞬、一瞬は永遠。愛の、世界に……」など、セリフを言っていると、(ああ、あのステージであと2ヶ月後には、踊り、歌い、演じているんだな)と思うと、気合いが入りました
今回の音楽合宿のテーマの1つに、「『ビューティフル・ピープル』『リカバリー』のダンスを完成させてバンドと合わせる」というものがあり、午前中は主に、『ビューティフル・ピープル』のダンス練習をしました。
私は昨日まで、勇志国際高等学校のスペシャルスクーリングを受けていたこともあり、まだ『ビューティフル・ピープル』の振り入れが最後までできていなかったのですが、土曜日で普段はお仕事へ行っている子もみんな揃って、ゆりかちゃんからダンスを教えてもらえたことが嬉しかったです。
また、ダンス練習の初めにはコーラスの確認も行い、ゆりかちゃんが前でダンスを踊ってくれて、自分たちもダンスと歌のどこが一緒になっているかなどを確認しました。
なのはなでの演奏は、バンドメンバーの他に、私たちも踊りながら歌います。
この曲の振り付けはゆりかちゃんが考えてくれたのですが、ダンス練習の初めに「あゆちゃんの和訳と連動するようなダンスになっているんだ」とゆりかちゃんが話してくれました。
私はあゆちゃんが訳してくれたこの曲の歌詞の中で、「僕たちはここにはなじめそうにないね。だって、僕たちはありのままだから」という部分がとても好きなのですが、ダンスを踊っていても、なのはなのみんなとならありのままの自分を受け入れてもらい、仲間としてお互いさまの関係でいられるというのを感じて、温かい気持ちになりました。
曲の2番では、スプリングコンサートでとうこさんを演じたやよいちゃんと、たかおさんを演じたのんちゃんが円の中心で踊るのですが、2人を囲むようにしてみんなで円になっていると、何か大きなものに包まれているような安心感がありました。
また、午前中の後半はバンドメンバーのみんなと合わせました。
なのはなバンドのみんなは演奏する曲がたくさんあるのに、(いつのまに、練習したの?)と思うくらい、もうみんな手慣れたように演奏していて、本当にかっこいいなと思います。
初めてのバンド、ダンス、コーラスの合わせでとても緊張していたのですが、さとみちゃんたちが作ってくれたなのはなバージョンの楽譜に、あゆちゃんの歌う『ビューティフル・ピープル』はとても優しくて、綺麗で、バンドメンバーの演奏を聞いているだけで、私の中にもう1つ、新しい世界が広がっていくような気持ちになりました。
なのはなバンドの演奏に、ゆりかちゃんが振り付けてくれたダンス、みんなで歌うコーラスが揃い、半日で1曲ができあがったことに嬉しさを感じたし、もっともっと、踊り込み、気持ちを揃えてブラッシュアップしていきたいと思いました。
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そして、午後はお楽しみの演奏。
何の演奏かというと、卒業生のまゆみちゃんご家族へのウエルカム演奏です。
卒業生のまゆみちゃんにお会いするのは初めてだったのですが、私がなのはなに来てから何度か、お父さんとお母さんから卒業生のまゆみちゃんがなのはなに来た時の話しや、山小屋で結婚式を挙げたお話を聞いていたり、毎年のように、まゆみちゃんと旦那さんのよしあきさんから年賀状が届いていたり、写真付きのお手紙が届いていたりしたので、何だか、ずっと一緒に生活していたような、何度もあったことがあるような気持ちです。
一番最近にお父さんとお母さんが私たちに見せてくれた手紙には、今年の冬に生まれたばかりのりょうたくんの写真もあり、まゆみちゃんたちがなのはなに帰ってきてくれる日をずっと楽しみにしていました。
演奏は『レインボー』から始まり、『ア・レヴァ』『オテアルミア』『君が生まれた日』『サムナイツ』をしたのですが、まゆみちゃんご家族がとても温かい笑顔で見てくださり、その幸せそうな笑顔や空気に私たちまで幸せをもらいました。
まゆみちゃんご家族の隣には、たけちゃんやりょうたくんと2ヶ月違いになるたいちゃんもいてくれて、私ももう1人、弟がいるのだと思うと嬉しかったです。
まゆみちゃんと旦那さんのよしあきさんはとても仲良しだとお父さん、お母さんから聞いていたのですが、本当にお二人の幸せそうな笑顔が嬉しかったし、その間にいるりょうたくんがニコニコと私たちを見ていて、とっても可愛かったです。
こんな風に離れていてもずっと、なのはなを思って、なのはなの子として自立し、結婚して、家庭を持ち、子育てをしている卒業生がいて、なのはなに遊びに帰ってきてくれることが私たちにとっても嬉しくて、希望です。
お父さんが作詞したなのはなオリジナル曲『君が生まれた日』も聞いてもらえたり、私もまゆみちゃんの笑顔にたくさん、嬉しい気持ちや明るい気持ちをもらいました。
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話は音楽合宿に戻るのですが、午後は全体演奏『ドラムライン』の練習がありました。
私はまだ『ドラムライン』がどんな曲なのかも知らないまま、練習に行ったのですが、1時間でサックスパートのみんなと一緒に一通りの譜読みをし、演奏できた時間が嬉しかったです。
同じパートの子が「私、この部分が一番好きなんだ」と話してくれながら、アルトサックスを練習していると、やっぱり楽器が好きだな、楽しいなと感じました。
まだ、スタートラインにも立てていないくらい、初めの段階なのですが、全体演奏にはあゆちゃんがマーチングの振りも考えてくれていて、しっかり練習していきたいです。
そして、夜はあゆちゃんに見てもらいながら『リカバリー』のダンス練習がありました。
あゆちゃんが細かいカウントや手の軌道など小さなデティールをきちんと揃えることが全体の美しさに繋がることを教えてくれました。
この日はラストの全員で同じ振りをする3エイトをひたすら揃えていったのですが、あゆちゃんが1カウントずつ止めながら形を揃えてくれると、今まで曖昧にしていたカウントや動きがハッキリしてきました。
約1時間、あゆちゃんに見てもらいながら揃えていくと、自然と空気感や緊張感も揃っていくことを感じました。
まだ、美しい形に届かない部分もあるのですが、あゆちゃんが「踊る時も、こんな風に見せたい、この形を見せたいと、プランを持って決めポーズを周りと揃えていくんだよ」と話してくれて、また、夜の時間などにダンスのバディチームで、身体にしみこませていきたいです。
あっという間に音楽合宿の1日が過ぎてしまったのですが、とても充実していました。
今日覚えたこと、感じたことを積み重ねていき、常に本番をイメージして、ウィンターコンサートへと向かっていきます。
(ななほ)
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第1回目の音楽練習が始まりました。食堂の黒板には大きな文字で、今週の目標が書かれていました。その中には、ビューティフルピープル・リカバリーをバンドとダンスで合わせることも入っていて、気持ちが引き締まる思いがしました。
昨夜、音楽室で、ウィンターコンサートで演奏する新曲、「スカイフォール」「リカバリー」「ビューティフルピープル」「シヴァーズ」の四曲をバンドメンバーで合わせました。私はエレキギターで合わせに参加しました。
短時間の練習期間であったにも関わらず、曲が形になっていて、本当にバンドメンバーのみんなが凄い! と思いました。私はみんなと同じレベルに到達できていなくて、明らかに練習不足でした。曲を形にする期限は前々から決まっていたのに、練習を怠って出来なかった自分に悔しく思いました。でも、次からの合わせでは絶対に出来るようにしようと、合わせをさせてもらったことで気合が入ったし、バンドメンバーの一員だという自覚が芽生えました。
今日の午前中は、ビューティフルピープルをダンスを合わせられるよう、ひたすら一曲に絞って練習をしました。難しいリズムや指捌きなどはなくて、繰り返し出てくるフレーズが多いです。でも、フレーズごとに止まらずに、スラスラと弾くことがまだとても難しく感じたり、一音一音をはっきり、均等に弾くことが出来ていないです。でも、昨日よりも着実に進化出来たような気がして、それがとても嬉しかったです。
アンプや楽器の準備をするために体育館に行くと、ゆりかちゃんや、みんながビューティフルピープルのダンス練習をしているところでした。私は、この時初めてビューティフルピープルのダンスを見ました。たかおさん、とうこさん、ななぽんの周りにみんなが踊っていて、とても賑やかで迫力がありました。みんながキラキラした笑顔で踊っている姿がとても綺麗で、見ているだけでとても心が温かい気持ちがしました。
体育館で、ダンスのみんなと一緒に合わせをすると、昨日音楽室で合わせた時と違って聞こえました。ダンスメンバーが歌うコーラスが体育館いっぱいに広がって、周囲を優しく包み込まれているような気持になりました。
あゆちゃんが、
「イントロでも、間奏でも、サビでも、自分のパートを歌うのではなく、メロディラインを歌えるようになろう。今、どのパートがメロディラインで、どんな音を聞かせたいのかをはっきりさせて、歌えるようになったら、演奏していてもその場その場で自分の役割がはっきりして、主旋律を立たせることが出来ると思う」
と話してくれました。
個人練習では、自分の出す音しか聞こえないので、全体でどんな役割で、どう溶け込めるのかが分からないけれど,合わせをして、自分の音だけではなく周りのバンドメンバーの音も聞くことで、役割が分かってくる気がしました。
周りの音を聞いて、音をシンクロさせたり、前で踊っているダンスメンバーのみんなと気持ちを揃えて、演奏できるようになりたいです。そのために、余裕を持って弾けるように練習したいです。
一回の合わせをする機会を一つの本番だと思って、これからも気持ちを引き締めて向かいたいです。
(りな)