「クリーンタイム」 みつき

10月12日

 ここ最近で空気はすっかり冷たくなって、時折、身体をすうっと、透明人間が通ったような風が、吹いてきます。
 でも今日は、久々の晴れで、太陽が出てきてくれました。身体を動かしたときに汗ばむのも久々で、気持ちが良かったです。

 朝食前に、栗の収穫をしました。
 わたしは、初めてみんなと栗林に栗拾いに行ったとき以来の栗林だったのですが、みんなが草刈りや落ち葉集めなどをしてくれてあって、綺麗になっていました。
 そして栗の木を見ても、ああ、今にもぽろっと落ちそう! とどきどきするような、大きな栗を覗かせているイガがたくさん付いていて、うれしい気持ちになりました。

 落ちているイガを拾うのが、本当に、想像していたよりずっと面白かったです。
 トングでイガをひっくり返したとき、これは栗がない、これもない、とひっくり返していて、そこで、栗が入っているイガが見つかったとき、ものすごくラッキー! という気持ちがあふれてきて、楽しかったです。なんだか、トランプの神経衰弱をしているようでした。

 栗拾いが終わったあと、ひろこちゃんが、「栗の木の下のイガを回収して、綺麗にしておきたいんだ」と声をかけてくれました。
 その名も、『クリーンタイム』。栗だけに。
 ということで、10分間限定で、栗の木の下のイガを集めました。次に拾いに来たときに落ちたイガが収穫しやすくなるだろうなと思うと、と自分もうれしくなりました。
 次に栗拾いにくるみんなも楽しかったらいいな。栗さん、安心して、いっぱい落ちてきてちょうだいね、と、栗の木を見渡して、帰ってきました。
 車の中でも、『クリーンタイム』をくりかえし頭の中で反芻していて、ひろこちゃんの優しさや、ユーモアがすてきだなあと、にんまりしてしまいました。

 午後には、お父さんのお誕生日会の準備を進めました。
 どのチームも盛り上がっているようで、会話のやり取りには、今回のテーマである「人体」にまつわる、細胞やホルモンの名前が、次々耳に入ってきました。古吉野のリビングは、いつの間にか、研究室に変身していました。

 わたしのチームも、みんなと話し合って作っていく時間が、とても楽しいです。
 今までは、こういう場面で行き詰ったとき、ここでみんなに何を言ったら良いのか、何がふさわしいのか……。と、ぐるぐる考え出すと、どんどんハードルが高くなっていって、最後には、何も思いつかなくなってしまうことが、よくありました。
 けれど、わたしの何でもないひとことで、すかさずみんなが面白そうに反応してくれたり、膨らませて考えてくれたり、ありがとう、と喜んでくれます。
 それが、心の底からうれしくて、わたしも、ありがとう、言ってよかった、と思います。

 お父さんが教えてくださるように、「保障を求めない」。「絶対にやり遂げられる未来がある」と前向きに願って、過ごしていたいです。
 そうすれば、いつも、わたしを助けてくれる何かがすぐそばにあることに、気が付けるだろうと感じました。