【9月号⑥】「ピンチを乗り越える楽しさを ―― 毎朝百キロ ナスの大収穫 ――」せいこ

 
 八月のナス畑。今月の、一日あたりの平均収量は約百キロ。最近だと、一日で二百キロ以上収穫できた日もあり、毎朝みんなで力を合わせて収穫しています。

 今月は、ナスの茂りすぎた枝葉を一度リセットさせる剪定作業をしました。順調に育ったナスの株ですが、このまま茂らせすぎていると、夏の間で株が疲れてしまいます。

 九月、十月にも、たくさん収穫できるように、かなり強めの剪定。主枝の三本だけを残し、枝の分岐点が上から完全に見えるくらいに枝を切って、日当たりも良くしていきました。

 はじめは、(こんなに枝を切って大丈夫なんだろうか?)と少し弱気な気持ちがあり、残す枝を迷ってしまったりしたのですが、作業をしていくうちに潔さが身についてきて、いかに早く、美しく三本仕立てに枝を整えるかを極めていくような時間がすごく楽しくて、今月の私のマイブームは剪定作業でした。

 一緒に作業に入ってくれた子も、みんな、「ナスの剪定すっごい楽しいね!」と言ってくれて嬉しかったし、みんなのおかげで、広いナス畑の全ての株の剪定を八月中旬までに終わらせることが出来ました。

 剪定後、大幅に収量が減るかと思ったのですが、剪定を終えた株には、日当たりが良くなったこともあって、茂り過ぎていたとき以上に、艶やかなナスの実がたくさんついてくれて、収量を落とすことなく、質のいいナスがたくさん採れるようになり、すごく嬉しかったです。
   

ハイデルスポンプとサクションホースを使って畝間灌水をしています

  
 さらに、今月は、ナスの水やりを画期的な方法で行いました。

 連日の猛暑で、いくら水やりをしても、日中にはナスの葉が垂れてしまい、そして水不足の艶のないナスになってしまって困っていたところ、お父さんが、畝間潅水をしてはどうか、と教えてくれました。

■灌水でツヤツヤのナス

 早速、翌日から、やよいちゃんと一緒に、潅水方式の水やりを始めてみました。使うのは、ハイデルスポンプと、直径十センチの太いサクションホース。エンジンをかけて、一気に水路から畝間に水を流し込んだ光景は、とてもダイナミック。

 二時間おきくらいに見回りをして、ホースを別の畝間に入れ替えて、半日ほどで、すべての畝間の潅水ができます。潅水をした後のナスの葉は、まるで別人のように活き活きして、とても驚きました。少し土を掘ってみたところ、ナスの根は、畝肩のほうまで広く、深く伸びていることが分かりました。
  
  
 通常の水やりを行っていたとき、それはそれはたくさん水をやっていたつもりでしたが、水分を根の先のほうまで深く浸透させられていなくて、水不足のような症状になってしまっていたのでした。

 それが、畝間潅水だと、どれだけ猛暑で晴れが続いても、週に三回ほど行えば、ナスは常に活き活きとしていて、再び株にはツヤツヤのナスがたくさんつくようになりました。

 定植から四か月を迎えるナス。育てるには丈夫な野菜ではありますが、草取りや追肥、雨風に強く当たってしまったときには支柱の修正など、細々とした手入れはいつだって必要です。
  
  
 どの野菜にも言えることなのですが、畑の規模が大きく、大変な作業もあるけれど、その度に、みんなと協力してピンチを乗り越えていける時間が私にとって、宝物です。

 野菜づくりが好きな気持ちを、いつだって心の中心に据えて、これからも、今度は秋ナスとして、たくさんナスの収穫ができるよう頑張っていきたいです。