【9月号⑤】「ようこそ 夏休みへ! ―― 短期合宿ミーティングの一週間 ――」ななほ

  
 「なのはなファミリーの生活で過ごす時間は、夏休みのようなもの。ここで、子供にかえっていっぱい遊びな」

 私がなのはなに来た日、お母さんがそう言って笑いかけてくれました。

 毎日が夏休み、人生の夏休み。今、後ろを振り返ると本当に、季節を問わず、なのはなで過ごす毎日は夏休みのように、明るくて、永遠にこの喜びが続いていくような希望を感じます。

 一週間に渡って行われた、短期合宿ミーティング。私は今回、さやねちゃん、ふゆみちゃんと一緒にサポートメンバーとしてこの合宿ミーティングに参加させていただきました。

(私がなのはなに来て感じたように、来てくれた子たちが、なのはなを好きになってくれて、なのはながもう一つの居場所、心の居場所になってくれたらいいな)  

(来てくれた子たちがなのはなで過ごす、夏休みを満喫してくれたらいいな)

 お父さんから、

「明日からのミーティングを、サポートメンバーとして手伝ってもらいたい」

 という話しを聞いたとき、そんな気持ちになったと同時に、改めて、こんな風に誰かを思える今が幸せだなと感じました。

 なのはなファミリーでも、短期的に参加者を募って行う合宿ミーティングは初めてだとお父さんが話してくれて、その分、とても緊張はしていたのですが、それと同じくらい、いやそんな気持ちを遙かに超えて、お父さんお母さんたちと、よいミーティングを作っていきたいと思いました

「夜の時間にトランプやジェンガができたら楽しいよね」

「朝の時間はブルーベリーの収穫とかはどうかな?」

 さやねちゃん、ふゆみちゃんと、ミーティングに向けて必要物の準備や、予定の確認をしている時から、楽しみな気持ちで胸がいっぱいになりました。

■心の居場所

 短期合宿ミーティング一日目は、なのはなファミリーの紹介ということで、ウエルカム演奏から始まりました。
  
  
 ミーティングに参加してくれた子の中には、生まれたばかりの頃からなのはなを見て育ってきた、かりんちゃんとりひとくんの姿もありました。

 なのはなファミリーの原点でもあるハートピーのセラピスト、あきこさんのお子さんで、毎年、夏休みになのはなへ遊びに帰ってきてくれていたのですが、久しぶりにかりんちゃんとりひとくんに会えたことも嬉しくて、二人の元気のよい笑顔や声に、私も、たくさんのエネルギーをもらいました。

 ウエルカム演奏では、『レインボー』『アライブ』『フラガール』の三曲を見てもらったのですが、真っすぐに前を見て、私たちの演奏を見てくれていたことにとても嬉しい気持ちになりました。

 演奏を見てもらったあとは、お父さんと一緒に畑ツアーです。

 現在、なのはなファミリーには百枚以上の畑に二十枚近くの田んぼがあるため、全部の畑を見ることはできなかったのですが、お父さんがガイドさんになってくれて、ゴーヤやピーマンなどの夏代表野菜の畑や、桃にナッツなど、果樹の畑を回りました。

 ミーティングに参加してくれた子に、「一番好きな野菜は何?」と聞くと、一人の子が、「う〜ん。トマトかな?」と言っていたので、お父さんがミニトマトのハウスへも私たちを連れて行ってくれました。

 お父さんが、「一粒、食べてごらん」と声を掛けてくれて、みんなで艶々としたミニトマトをつまんで、口の中へ放ると、「うん、甘い! おいし〜い」と、トマトが好きな子がおいしそうに目を細めて、笑っていて、その姿が嬉しかったです。

 その日の午後、かりんちゃんとりひとくんと部屋で話していた時、「なのはなに帰って来れて嬉しい」「なのはなは私にとって、もう一つの家のようなもの」と話してくれて、とても嬉しくなりました。

 なのはなファミリーという場所は、今の私たちにとってももう一つの家であり、心の居場所、心のふるさとのような場所なのですが、それは、ここで家族として一緒に過ごした人にとっても、そして未来にきっと出会う、まだ見ぬ誰かにとっても同じなのだと感じました。
  
  
 今、こうしてなのはなファミリーを通して誰かと繋がっていられること、今は出会っていなかったり、出会うことはないとしても、誰かと繋がっていられたり、誰かの希望になれると思うと嬉しくて、私も日々、なのはなの子として強く生きていきたいと思いました。

 セミナー初日の夜は、地域で花火大会がありました。それがまるで、短期合宿セミナーをお祝いしているようで、来てくれた子を花火で歓迎しているようで、とても嬉しかったです。
  
  
 来てくれた子たちも、

「こんなに近くで花火を見られるなんて思わなかった」

「花火は見たことがあっても、いつも人ごみの隙間から見るようなもので、打ちあがる瞬間から見られるなんて。今まで見た花火の中で一番綺麗だった」

 と喜んでくれました。

 そして、その晩は、なのはなゲーム大会。
  
  
 りゅうさんも来て下さって、ジェンガから始まり、消灯を三分過ぎるころまで、UNOで遊びました。

 気が付いたら窓の外が真っ暗になっていたのですが、みんなでプラス二枚のカードを出し合って、りゅうさんの手持ちカードが二十枚近くになっていたり、かりんちゃんとりひとくんのやり取りがいちいち可愛くて、笑いが止まりませんでした。

■山小屋合宿

 二日目。

 まずは、ブルーベリーの収穫から始まります。

 りゅうさんとりひとくんも来てくれて一緒にブルーベリーの収穫ができたのが嬉しくて、りゅうさんの掛け声に合わせて、みんなと何粒か採れたてブルーベリーの味見をしたりもしました。そして朝食を食べたら、山小屋へ出発です。
  
  
 山小屋へ行くとお父さんとお母さんが待っていてくれて、早速、お父さんの講義を受けさせてもらいました。

 摂食障害はどんな病気か。なのはなファミリーでは、その原因を突き止めて、解決を与えること。

 なのはなファミリーは家でもなく、学校でもなく、病院でもない場所です。そんななのはなファミリーだから今、私は安心していられて、畑に出たりダンスをしたり、たくさんの経験を通して成長したり、心を耕してもらっているんだなと感じました。

 また、午後からは気分転換がてら、盛男おじいちゃんの山へ散歩にも行きました。

 お父さんが、「これはね、ミンミンゼミの鳴き声だよ」「これはニイニイゼミ、聞こえる?」と言いながら、全身でセミをとって下さり、時に転がりながらもセミをとってくれて、みんなで笑いました。

 りひとくんが、「ただでは転ばないのが、お父さん!」と何度も言っていたように、転ぶ時は必ず、網の中にセミが入っていてすごいなと思ったし、お父さんの話を聞きながら山を歩いていると、とても心が落ち着いた気持ちで満たされました。
    

お父さんが捕まえたヒグラシ

    
 山の空気、緑、風はどれも優しくて、涼しくて、こんな風に山で過ごせる毎日はとても濃いだろうなと思ったし、癒されていくのを感じました。

 お父さんとお母さんが、「なんだか山小屋時代に戻ったみたいだね」と話してくれたのですが、私もセミナーメンバーのみんなと一緒に、山小屋での生活を経験させてもらい、山小屋で寝泊まりしたり、ご飯を食べたり、山へ行ったりできるのが幸せだなと思いました。

 夜には、サプライズでりゅうさんも山小屋へ来てくれて、第二弾ゲーム大会。

 山小屋で過ごす時間は本当に濃くて、楽しくて、ああ家族だなと感じます。山へ行ったり、ゲームをしたりする中で、まだ会ってから二日の子たちとも少しずつ、心の距離が近くなっていったり、なのはなを好きになってくれているのを感じて、みんな家族であり、仲間のように大切な存在だと感じました。

 三日目。山小屋に泊まった朝は、蝉の鳴き声で目が覚めます。

 山の中はとても静かで、どっしりと落ち着いた佇まいをしているのですが、その中から聞こえる蝉や鳥の鳴き声は、とっても賑やかで明るくて、私も歌を歌いたくなりました。                                          

 その日の朝、お父さんが、

「一日過ごしたら一日分の信頼関係が築けていて、二日過ごしたら二日分の信頼関係ができていく」

 と話してくれたのですが、本当にその言葉通りだなと感じ、蝉の鳴き声を聞きながら、一人でほっこりした気持ちになりました。

 午前の講義では、摂食障害の時代背景について、お父さんが話してくれました。先進国では、構造的に、家と家の垣根が高くなり、傷ついた子供が傷を癒やす機会や人間関係がなくなり、学校へ行けば、同級生もともすれば競争相手になり、いじめや、悪口や、仲間はずれ、理不尽な出来事がまかり通って、助けを得られないこと、正義が通らないことがたくさん、たくさんあります。

 そうしたなかで、私たちは、安心や癒やしを得ることができませんでした。

 そして、そんな今の世の中で私たちはどんな志で生きていくか。なのはなで教えてもらう利他心の気持ち、まだ見ぬ誰かを思って生きていきたい、自分の力を最大限に尽くしていきたいと思いました。

■虫取り競争

 講義のあとには、気分転換に虫取り競争に出かけました。ジャンケンでお父さんチーム、りひとくんチームに分けれて盛男おじいちゃんの山へ入ります。

 私はお父さんチームでした。

 最初はお父さんが、

「あ、いるね。ちょっと待ってよ」

 と言いながらセミを捕まえる姿に、「え、どこにいるの?」「あ、セミかな? いや、木のこぶか」と思っていたのですが、ずっと上を見上げながら山を歩いている内に、どんどんセミが見えてきました。
  
  
 みんなで盛男おじいちゃんの山を歩いているととても安心して、気持ちが開放的になるのを感じました。

 ただ山を歩いているだけでも、ただみんなと過ごしているだけでも感じることや得るものが多いです。それは、私がこれまでの半生であまり遊んでこなかったからでもあるけれど、それよりも、なのはなファミリーで目の前にある幸せに気がついたからだと思いました。

 なのはなにはいつも優しい関係、許し合う関係、理解し理解される関係があります。

 そして、お父さんが真剣に私たちのことを理解し、よく生きられるように考えてくださったり、時に年齢を忘れてしまうくらい、お父さんが私たちに混ざって遊んで、笑って、全力で虫を捕ってくれて、そんな姿を見ているだけでも、心が満たされていくのを感じます。

 両者とも、山小屋へ戻ってきたらお母さんに判定をしてもらいました。

 りひとくんもお父さんも、「おか〜さ〜ん!」と大きな声を出しながらお母さんを呼びに行く姿がまた面白くて、嬉しかったです。

 結果は、お父さんの捕まえたヒグラシと、りひとくんが、

「蝉が捕れなくて……。でも、樹液見つけた!」

 と琥珀色に透き通った樹液のおかげで、両者引き分けとなりました。

 そして、昼食の準備をして、お昼ご飯。

 お昼の初めにお父さんが、

「少し気分を変えて、みんなも眠たくならないように、午後からは蛇淵の滝でミーティングをしたいと思います」

 と話してくれて、サプライズなニュースにみんなの顔がパッと笑顔になりました。

 みんなと飛び跳ねるようにわくわくしながら、お父さん運転のキャラバンに乗りこむと、遠足のようでもあり、家族旅行のようでもあり、とても嬉しくなりました。

■蛇淵の滝で
  

   
 そして、蛇淵の滝へ到着。少し雲行きが怪しかったのですが、山の中に入るにつれて、空気が涼しくて心地好かったです。

 この日はいつもよりも川の水量が多くて魚が見えなかったのですが、滝を歩いているだけでも楽しかったし、屋根のある休憩所で、お父さんの講義を聞きました。

 また、みんなと一緒に石から石へ、ピョンピョンと飛んでは川を覗いて、魚を探して、あまり魚はいなかったのですが、川の水の冷たさや、透き通った色を見ていると、夏だなと感じました。
  
  
 なのはなではどこへ行っても、誰と行っても、一人ぼっちになったり、誰かを落としたりからかったりする人がいなくて、魚はとれなかったけれど、みんなと試行錯誤しながら見つけた黒い魚を追いやって、網に入れようとしたり、誰かの喜びがみんなの喜びとなって何倍にも膨らんでいく環境や、空気が本当に優しいなと感じます。

■笑い疲れて

 川遊びを楽しんでいた頃、またもや雨がポツ、ポツ。

 お父さんが、「少し早いけれど、そろそろ戻ろうか」と言ってから、すぐに雨が土砂降りとなり、みんなで段ボールをかさに、荷物を持ってお父さんの車まで走りました。

 その頃には川へ来ているのは私たちしかいなかったけれど、もう雨の勢いと言い、段ボールの傘と言い、笑いが止まらなくて、喉が痛くなるくらいまで笑って、車に乗り込んでからもしばらくの間は、みんなの笑い声で何も聞こえませんでした。

「楽しかった〜」

「雨があるから、余計に楽しかったね」

 みんなとなら何をしていても楽しいし、りひとくんが、

「僕、東京に帰ったら段ボールの傘で学校に行こうかな」

 と言っていて、お腹がいたくなるほど笑い、キャラバンまで笑っているようでした。

 そして、夜は第三弾ゲーム大会。

 七時から始めて、気が付いたら十時になっていたのですが、今回の戦いで、ジェンガは新記録が出ました。その数、四十段。

 三十五段くらいになった頃、「次、りゅうさんが倒すだろうから」とみんなで意見を出し合って、あゆちゃんを呼んできたのですが、それからも一周、二周と順番が回り、私が見る限り、最高記録の四十段になりました。

 ジェンガもそうなのですが、昨日はUNOと変顔ゲームもして、ゲームで笑い疲れられるのは、何て幸せなんだろうと感じました。
  
  
 四日目。この日は古吉野で過ごすレクリエーションデーということで、午前中はフラダンス練習とソフトバレーをしました。

 フラダンス練習ではゆりかちゃんが『フラガール』を教えてくれて、ミーティングに参加してくれた子たちも一緒に『フラガール』を踊れるようになったことがとても嬉しかったです。

 ソフトバレーでは、あゆちゃんがチーム分けを考えてくれて、一時間半、どの試合も白熱した戦いとなりました。
  
  
 なのはなでソフトバレーをするのが初めてという子も多い中でも、あゆちゃんが基礎練習のメニューも考えてくれて、みんなと楽しく試合ができた時間が嬉しかったし、身体を動かすと気持ちが外向きになり、リフレッシュされるのを感じました。

 勝っても負けてもハイタッチをしたり、私たちのチームは一回戦目に惜しくも数点差で負けてしまったのですが、それからの三試合は勝つことができて、チーム内でもすぐに役割や、動き方が確立されていき、チームワークの良さを感じました。
  

   
 そして午後は、吹き矢大会。吹き矢はなのはなのお父さんが大好きな遊びの一つです。

 私はミーティングチームのみんなとお父さんチームだったのですが、吹き矢大会が始まる前から、(これは、なんとしても勝ちたい)と思っていました。

 まずはノーマル戦。ノーマル戦は的から七メートルの位置から矢を吹きます。的は外側から、一点、三点、五点、七点という配分だったのですが、的の一番中心の一・五センチの範囲は三十点ということで、頭の中は中心しかありません。
  
  
 ノーマル戦は私がトップバッターで矢を吹いたのですが、矢に気持ちが伝わったのか、初めからど真ん中に命中して、チームのみんなが喜んでくれました。

 私たちのチームは吹き矢名人が多いらしく、お父さんは文句なしの名人なのですが、さやねちゃんとかりんちゃんもど真ん中に命中し、私たちのチームはダントツの一位でした。
  
 ミーティングに参加してくれた子たちも初めての吹き矢をとても楽しんでくれてよかったです。
  
  
 続く名人戦では、私のミスで風船が割れずに三位で終わってしまったのですが、さくらちゃんが何度も一発で風船を破裂させていて、すごいなと思いました。

 そして最後は団体戦。団体戦は大きな的に書かれているシカやイノシシに、ヨーヨー風船、バナナ風船(バルーンアート用の細長い風船)をみんなで狙って、点数を競いました。

 動物の配点は三十点前後なのですが、ヨーヨー風船が五十点、バナナ風船は二百点ということで、これは負けられません。

 私たちは名人戦が終わった時点でもまだ上位を維持していたのですが、バナナ風船の二百点は毎回、劇的な逆転勝利が訪れるため、ドキドキしました。
  
   
 お父さんとチームのみんなで作戦会議をして、いざ、勝負。確実にヨーヨー風船は割れる物の、バナナ風船を狙う気にはなれず、一試合目は終わり。

 すると、隣のチームがバナナ風船を割りはじめ、まえちゃんチームのあんなちゃんはバナナ風船を二つも割っていて、二試合目は最初からバナナ風船狙いで行きました。

 バナナ風船が二つ割れたら、私たちのチームが優勝。

 そんな期待を込めて向かった、団体戦。

「構えて、息を吸って、撃て」の合図と共に、体育館に響く「パンッ」という音。

 かりんちゃんが見事、バナナ風船を割ってくれました。

 結果的にバナナ風船を二つ割ることは叶わずに、全体で二位という結果で終わったのですが、知られざる、かりんちゃんの吹き矢の才能を見ることができたり、みんなが本気で戦うなのはな吹き矢大会はやっぱり楽しいなと思いました。

 その日の夜も、ゲーム大会をして過ごし、六年生教室はまるで子供部屋か、動物園のようです。

 時にジェンガで悲鳴を上げて、時に変顔ゲームで笑い転げて、お化けキャッチで悔しがって、笑い疲れて眠れるなんて、これ以上ない、幸せです。

■今いる場所が幸せ

 五日目。

 気がついたら短期合宿ミーティングも残すところ二日となり、お父さんの講義もまとめに入りました。

「自分たちが摂食障害から回復し、社会で働く中で、一人でも多く周りの人に利他的な気持ちを伝えて、その人の家庭、子供が利他的になったら良いなと思いながら、なのはなの子として自立していくんだよ」

 お父さんのお話を聞きながら、気持ちが定まっていくのを感じました。そして、私は一人じゃないということも感じました。

 一人で戦おうと思ったら心細くなったり、逃げたくなってしまうこともあります。自分のために頑張ったら、簡単にあきらめたり、自分の中で曖昧にすることもできます。
  
  
 でも、私にはなのはなファミリーという存在があり、何かあったら助けてくれるお父さんとお母さんがいて、いつも大きく受け入れて、私の成長を信じてくれて、どんな私も好きでいてくれる仲間がいます。

 だから私は未来に希望を持って生きていけるし、まだ見ぬ誰かの存在を思ったとき、自分の力が何倍にも膨らみます。

 自分のためだと頑張れないときも、誰かのためだと頑張れる自分がいて、それはなのはなにいても、社会に出てからも同じだと思いました。

 いつも外向きにまだ見ぬ誰かを思い、その人たちの希望になる生き方をする。私の周りからたった一人でも利他心の仲間を増やしていき、なのはな畑を広げていく。それだけでよいのだと思ったし、それ以上の幸せはないのかも知れないとも思いました。
  
  
 私は今、今いる場所が世界で一番、素敵な場所だと心から感じます。

 誰といても、どこにいても幸せを感じること。たとえ、もうだめだと思うような残念なことが起きたとしても、仲間の存在があれば、何でも乗り越えていけると信じられること。

 それは本当に恵まれていて、ありがたいことだなと感じます。

 今回のミーティングで、お父さんが、摂食障害という病気について、いつどのように発症するか、心の傷の原因をどう突き止めて、どう解決していくか、そしてこれからどんな志を持ち、どの方向を見て生きていくかを改めて話してくださり、私もまたみんなと一つ階段を上ったような気持ちになりました。
  
      
 その日の夕方は、私たちによる歓迎フラダンスショーと、バーベキュー&お父さんとお母さんのライブ、花火大会をしました。

■踊りで表現する

 フラダンスショーでは、七曲のフラダンスを演奏したのですが、私も『テレへ』『トゥトゥキ』『フラガール』を踊りました。

 『テレへ』はちょっぴり大人っぽく、切なく、でもその奥にある強さや潔さ、強い決意を身体と表情で表現しました。
  
  
 『トゥトゥキ』はなのはなに出会えた喜び、このダンスの振り付けにある運命の糸を引くように、今回、私たちもミーティングに参加してくれた子たちに出会えたという喜びを表現しました。

 なのはなでは、フラダンスを通しても気持ちが作られていったり、曲ごとに、自分がどう見せたいか、どう演じたいか、どう表現したいかを考えることで、気持ちの幅が広がっていくのを感じます。
  
  
 ただ踊る、ただ揃える、ただ間違えないように踊るのではなく、みんなで伝えたいことがあり、表現したい世界があって、その手段の一つとしてフラダンスを踊れることが嬉しいなと改めて思いました。
  
  
 バーベキューは、台所さんが用意してくれた豪華なプレートに、鶏肉、パプリカ、ゴーヤ、イカをセルフで串に刺したり、みんなでドラム缶を囲んで、「たのしいね」「おいしいね」といいながら食べる時間に、温かい気持ちになりました。

 お父さんとお母さんのライブでは、私の大好きな『大空と大地の中で』や『とんぼ』を歌ってくださいました。
  
  
 お父さんとお母さんが全力で歌う姿、隣では一週間、なのはなに来てくれた新しい仲間の姿があり、その子たちと肩を並べて、お父さんとお母さんの歌に合わせて口ずさみながら、座っている時間に安心しました。

 ラストはやっぱり、『HERO』と『RUN』です。なぜか、お父さんとお母さんのライブがあると、心が落ち着いて、穏やかになって、生きていてよかったと思います。
   

お仕事組さんが花火大会を企画してくれました!

  
 そして、締めは花火大会。お仕事組さんが企画してくれたなのはな花火大会は、手持ち花火から始まり、花火師さん(お仕事組さん)による打ち上げ花火も用意されています。

 空に星が輝き、辺りは暗い中、「ねえ、こんな花火はどう?」「今度はこれにしてみようよ」と誰かが誰かに花火を手渡し、誰かが誰かの花火に火をつけ、気がついたら横並びになって、手持ち花火の光を見ています。

■真上で弾ける

 赤、黄色、オレンジ、青、紫といくつもの色が暗闇の中に光り、その向こう側に花火の明かりに照らされたみんなの笑顔が見えると、ついつい笑顔になってしまいます。
      
    
 線香花火では、五、六人の子と輪になって誰が一番長い間、線香花火をバチバチできるか競い合います。

「見てみて、弾けてきた」

「とっても綺麗じゃない?」

「あ、落ちちゃった」

 花火は人が多ければ多いほど、温かいものなんだなと感じました。
  
  
 打ち上げ花火も、私たちの本当に目の前で上がり、真上で弾けるのが幻想的で、手を伸ばしたら光をつかめるかのような気持ちになりました。

 つい、「わ〜」「きれ〜い」と声が出て、花火が一発あがるごとに、拍手が止まらなくなってしまったのですが、お仕事組さんが打ち上げ花火のレイアウトや上げる順番も工夫して、考えてくれて、いっぱい楽しませてもらったなと感じます。
  
  
 最後は、ナイアガラの滝で花火大会が締めくくられました。

 ああ、いっぱい遊んだなと思いながら部屋に戻ったら、お休みなさい。
    

テーマ『ナイアガラの滝』

  
 六日目。

 朝食を食べたらすぐに、山小屋へと向かい、お父さんの個別相談会とミーティングの感想文書きをしました。

「もう、六日も経つの。昨日、なのはなに来たと思ってた」

 誰もが口を開けるとぼそっと、ものすごく時間が濃くて濃密だけれど、時間の流れが速いと言っていて、私も、

(ああ、一週間じゃなくて一か月、一年でもいいのに。もっといっぱい、遊びたいな)

 と思いながら、感想文を書きました。

 お昼後からは縁日の準備に、ぞくぞくとみんなが山小屋へ来てくれて、外の駐車場は賑やかです。私たちも、セミとり散歩に出かけながら、各縁日の屋台の飾り付けや道具運びなどをしたりしました。
  
  
 なのはなの縁日はなのはなの子がお店屋さんでもあり、お客さんでもあります。みんなと作る過程がとても楽しくて、縁日までの時間があるからより本番が楽しく、みんなとの関係も深くなっていくのを感じます。

 ミーティングに来てくれた子たちも、「本当に全部、手作りなんだね」「ここに飾るのはどうかな?」といいながら楽しそうに準備を手伝ってくれて、盛男おじいちゃんの山が華やかになりました。
  
  
 その日の夜は、お母さんの提案で着付け講習会をし、縁日では一人で浴衣を着られるように練習をしました。

 そして、第五弾ゲーム大会。この日は、お父さんも一緒だったので、ジェンガから始まり、UNO、変顔ゲーム、お化けキャッチと持ってきていたゲームをすべてやり、みんなと笑いました。

 変顔ゲームではお父さんがあまりにも真剣で、必死のため、つい変顔をするのを忘れて私たちまで笑ってしまったのですが、一番、得点を稼いでいたのはさやねちゃんで、素敵だなと思いました。

 七時過ぎから始めて、気がついたら時計の針が十時に。お母さんが用意してくれたマクワウリなどの果物を食べながら.ゲーム大会はお開きに。

■大好きな時間

 でもまだ、夜は終わりません。この日は特別ということで、眠たくなるまでハウスミーティング大会がありました。

 なのはなでは七つのハウス(ノーム、サラマンダー、ナピルスなど)に別れて、夕方の時間にミーティングをしているのですが、私はハウスミーティングの時間がとても大好きです。
  
  
 お父さんに質問できる時間。人間関係、遊び、科学、生物、人体、心など、どんな質問にもお父さんが答えてくれるこの時間は、自分の質問をしても、誰かの質問を聞いていてもパッと視界が開けるような感覚がして、心の視野を深く、広くしてくれます。

 ノンストップハウスミーティングは、気がつけば午後十二時を過ぎ、隣に座っていたはずのかりんちゃんたちは布団の中に。

 結果的に残ったのは、サポートメンバーの三人とお父さんになってしまったのですが、「そろそろ、終わろうか」とお父さんが優しく言ってくれて、まだ起きてお父さんの話を夜通し聞いていたい気持ちを持ったまま布団に入りました。

 それからは全く記憶がないまま、気がつけば蝉の鳴き声でもう一度目が覚めました。
  
  
 六日目。ミーティング最後の日は、打ち上げ会ということで、なのはな縁日がありました。

 お母さんとあゆちゃんに選んでもらった浴衣を着て、盛男おじいちゃんの山で遊び尽くします。

 射的にヨーヨー釣り、金魚すくい。吹き矢にお化け屋敷、おいしい屋台。
  
  
 なのはな縁日は何から何まで手作りで、私も童心に返っていっぱい笑い、お化け屋敷で叫び、みんなの存在に安心しました。

 いつも一緒に過ごしている仲間、一週間一緒に過ごした仲間。

■信頼関係

 縁日を通して、より仲間との距離や信頼関係が強く、深くなったように感じたし、みんなに今の私を大きく受け入れてもらっているのを感じました。

 短期合宿ミーティングに来てくれた子たちとも、一週間分の信頼関係が築かれていき、場所は違っても、これからもずっと、仲間でなのはなファミリーを通してつながっていられると思うと嬉しかったです。
  
  
 縁日の夜は遊び疲れていたのですが、みんなとこっそり、「明日はいっぱい寝ようね!」と話しながら、お父さんに、「今夜、眠たくなるまでゲーム大会をしてもいいですか?」と聞きに行きました。

 お父さんの回答は、「いいよ!」

 そんなこともあり、短期合宿ミーティングの一週間はたくさん遊んで、笑いました。

 私はなのはなに来るまで、思いっきり遊んだという経験がなかったのですが、今回、誰かと時間を共有することが、誰かと話したり笑うことがこんなにも幸せで、豊かなことなのだと感じました。
  
  
 短期合宿ミーティングが終わった今、少し寂しいような気持ちもあるのですが、このミーティングに参加してくれた子たちが、なのはなファミリーという場所があり、摂食障害から回復している人がいると知ってくれたことが嬉しかったし、なのはなファミリーを好きになってくれて嬉しかったです。

 私も、このミーティングで感じた人と人との間にある幸せや、人間関係の取り方、心の距離感を日々の生活に繋げていき、まだ見ぬ誰かのために、利他心の気持ちを広げていけるよう、成長していきます。