【9月号④】「小さな工夫で、大きな効果 ーー 極秘の準備 お化け役を通して感じたこと ――」つき

  
 短期合宿ミーティングで来てくれていた子たちと一緒に縁日をできて、一緒に楽しめたことがとても嬉しかったです。

 今年は雨が心配された中での縁日でした。

 予報通り雨は結構降ったけれど、縁日をしている最中だけはやんでくれて無事に縁日ができたのは、お母さんや河上さんのお願いが届いて、おじいちゃんが助けてくれたおかげだと思うと、すごく温かい気持ちになります。

 おじいちゃんの山で、おじいちゃんも一緒にいてくださっていたのだろうと思えたら、より、みんなでできた縁日が意味のあるもののように感じられました。
  
  
 私はお化け屋敷のチームだったので、全部の屋台を回ることはできませんでしたが、どの屋台もかわいい飾りつけがされていて、スッキリときれいにセッティングされている様子が感じられて、歩いているだけで楽しく、気持ちが良かったです。

 お化け屋敷のスタンバイに行く前に食事もいただきました。まさはるさんの焼きそばは久しぶりにいただくことができ、やっぱり絶品でした。
  
  
 りゅうさんのごま団子は、丸めるところを少し手伝わせてもらいました。生地を伸ばし、あんこやピーナッツバターを包んでいくのは、思っていた以上に難しかったです。

 生地が割れてしまい、最初は苦戦しながら包んでいましたが、りひとくんやりゅうさんが教えてくれて、試行錯誤しながら何個かやっていくうちにコツが掴めてくると、最後のほうはきれいに包めるようになって嬉しかったです。

 慣れてきたところで終わってしまったのが寂しかったけれど、ずっとやっていられると思えるくらい夢中になれて楽しかったです。浴衣を着て、みんなで囲って作っている温かい空気に安心した嬉しい気持ちでいっぱいになりました。
  
  
 揚げたてのごま団子は、お店で食べるのと同じくらい、それ以上に美味しかったです。まさはるさんの焼きそばと、りゅうさんのごま団子でパワーをもらい、お化け屋敷のスタンバイに行きました。

 須原さんを中心に準備してきたお化け屋敷。人生で初めてのお化け役で、朝からずっとそわそわと緊張していました。

 けれど楽しみな気持ちのほうが大きく、衣装を着てメイクをしているとお化けの気持ちになっていけるのが不思議な感覚でした。みんながどんなリアクションをしてくれるか、楽しみな気持ちが膨らんでいきました。
  

お化け屋敷の実行委員チーム みんなのよい反応を待っています!

    
 メイクは前日に、まよちゃんたちと一緒に予行練習をしました。チームの子が調べてくれて、ボンドを顔に塗って乾いたところに赤色でメイクをすると傷口をうまく再現できました。

 唇には化粧下地を塗って色を消し、顔にはおしろいの代わりに小麦粉をたっぷりと付けて、青白く血色の悪い人になることができました。こんな特殊メイクのような化粧をするのは初めてで、完全に自分ではない人になっていくのが面白かったです。

 自分でも鏡を見ると驚くくらい、怖い顔ができました。

 私はお面や被り物をしない、生の顔のお化け役だったので、どれだけ別人になれるか、“つき”であることがばれないかがすごく心配だったけれど、お化け屋敷のメンバーのみんなが本気で怖いと言ってくれて自信が持てました。あとは、例え私だと分かったとしても、どれだけ怖さや不気味さを表現できるか、しっかり演じようと思いました。
  

山道を登ると、目の前にお化け屋敷が

   
 一組目のゆりかちゃんとほしちゃんペアが入ってきて、アトリエの雰囲気だけでかなり怖がってくれている様子でした。

 其の一、其の二、と石の札を取っていき、その度に大きな悲鳴が聞こえてきました。悲鳴が聞こえる度に、お化け役としては自信になりました。

 私は其の三の場所で手前で寝て石を持っている役だったので、其の二にきた時点で体勢、髪の乱れ感、目線や無表情感、意志を持っている手の形など、自分なりにベストだと思う形を完全に作って待機しました。
    
 其の三にくると、私がただ横になっているだけでも驚いてくれて少し安心しました。石を取る瞬間、隣で同じように横たわっている相方に合図をし、二人が起き上がるタイミングはばっちり合いました。   

 「キャー」と逃げたところに私が降りて、須原さんに教えていただいた声の出し方で不気味な声を出しながら追い打ちをかけるように追いかけます。その先に扉があるので、どうやって開けるのか、みんなは若干パニックになりながら先へ進んでいきました。

■様々な反応

 扉の向こうには裏側にすぐに須原さんが待機されていて、扉を閉めると不気味な被り物をした須原さんが追ってきて、最後の其の四に行きつきます。そこまでは悲鳴が絶えないくらいの勢いで驚いてくれていました。

 一組目でどんな反応かドキドキしていましたが、良い感じに驚いてくれたのが嬉しかったです。その後もどんどん続いてお客さんが入ってきて、休む暇はなかったけれど、次はこうしようと若干の修正をしながら次に繋げていきました。
  

屋敷の中から4つの石の字を持って帰ります

  
 一ペアが通過するごとに、同じ場所でお化け役をしている子と目を合わせて笑ったり、うなずき合ったり、次はこうしようと話したりできて、お化け屋敷の時間中ずっとワクワクした楽しい気持ちが続きました。

 ペアによってリアクションが違うことが面白かったです。トゥトゥキや、カントリーロードなど、歌を歌って怖さを乗り越えていくペア、お化けに立ち向かって戦闘モードに入っていく人、素通りしてしまうペア、怖すぎて本気で嫌がって泣きそうな人、全然怖がらずに冷静に進んでいく人、様々でした。

 怖がっている人を前にしたり、目の前で歌を歌っていたりすると笑ってしまいそうにもなったり、気持ちが揺らぎそうにもなったけれど、息をひそめながら、堪えて無表情でいるのは結構大変でした。
    

4つの石を合わせると、『因果応報』となり、鹿の角で作ったキーホルダーをプレゼント

  
 一番大変だったのは、瞬きをしないでいなければいけなかったことです。生の顔だったので、ちょっと表情が変わったり動いたりしたらばれてしまって興醒めしてしまいます。目を合わせないように、ちょっとおかしくなったような感じの目を自分なりに作って、焦点を合わさないように目を薄く開いていました。

 さらに髪を乱れたように顔に少しかぶせていると、自分の髪が少し目にあたってチクチクして、ずっとその状態をキープして瞬きを我慢していると、涙が出てくることが何度もありました。

 つい一瞬瞬きをしてしまうと悔しくて、何度かメイク直しを軽くしながら乗り越えましたが、予想外にも苦戦したところでした。

 お化け役を初めて経験させてもらって、やっぱり驚いてくれるとすごく嬉しいのだということがよく分かりました。冷静過ぎたり、リアクションが薄かったり、素通りされてしまうとがっかりするし、なんだか寂しいような気持ちになりました。
  
 
 お父さん、お母さんペアは理想的な驚き方をしてくださいました。お父さんに足をつつかれた時はちょっと驚いたけれど、それだけ警戒してくれているというだけでも嬉しかったです。

 私は結構冷静になって怖さを紛らわすタイプだったので、もっとストレートに怖がったほうが優しくて、良いお客さんなのだと身にしみて感じました。

 これはお化け屋敷に限ることではなくて、どんな時でもどんな場合でも、楽しませてくれようとしてくれる場面では、もっと感情を表に出して、気持ちを開いていたいと思いました。

 お化け屋敷が終わって山小屋のリビングへ行くと、みんなが迎えてくれました。メイクをしたままだったので結構驚かれてしまったけれど、みんなが温かく迎えてくれたことがすごく嬉しかったです。ずっと気が張っていたので安心しました。
   

なのはな産の小麦、桃のコンポート、餡子で作ったどら焼きを召し上がれ!

    
 お化け屋敷スタンバイの前にいただくことができなかった、河上さん特製のどら焼きを最後にもらって、帰りの車の中でいただきました。甘いものが身体にしみて、いつも以上にすごくおいしかったです。

 準備の時間がすごく楽しかったです。ずっと須原さんの気合が感じられて、それに私たちも引っ張っていただきながら、準備が進んでいくと同時に自分達も気持ちが高まっていきました。

 アトリエでのお化け屋敷。最初はあの狭い部屋でどんなふうに作ることができるのか想像もつかなかったけれど、須原さんのアイデアや技術で、まるでアトリエではない別の部屋であるかのような空間になっていくのは本当にすごかったです。

 問題が起きれば須原さんがすぐに対処法を考えて下さり、あっという間に解決できて、無駄な時間を使うことなく準備が進みました。みるみるうちに暗幕の仕切りを取り付け、通路が完成していく過程はとても面白かったです。

 大まかな流れができてくると、もっと面白く、もっと怖くなるように、細かいところに細工をしたり、もう一ひねりしてみたりしてブラッシュアップしていきました。

 その小さなひと工夫が大きく効果的になっていくのがすごくおもしろかったです。お仕事組さんも多いチームでしたが、みんなでアイデアを出し合いながら話し合ったり製作をしている時間はみんなが協力的で温かい空気の中でできたことが気持ちが良く、より楽しいものになりました。
    

お札には『前向きなところにしか答えはない』と書かれていたとか……

  
 お化け屋敷は他の屋台のゲームとは違い、どんなコンセプトかということをお父さんやお母さんにも全く相談していませんでした。

 須原さんとお化け屋敷チームのみんなしか知らないというのも、常にワクワク感やドキドキ感が絶えない気持ちが続いていて、お化けチームならではの極秘の準備の時間が楽しかったです。

 今年の縁日は、ほぼお化け屋敷に費やして、みんなが準備してくれた屋台を全部回ることができなかったのは少し残念ですが、それ以上に、お父さんもお母さんも、短期集中ミーティングに来てくれた子たちや、かりんちゃんやりひとくんも楽しんでくれたことが嬉しかったです。(りひとくんは二回もお化け屋敷に来てくれて嬉しかったです)

 みんなが怖がって、楽しんで? くれたのかは分からないけれど……結果的に喜んでくれて安心したし、達成感でいっぱいでした。なにより、お化け役が一番楽しいのではないかというくらい自分が楽しむことができ、今年の縁日をお化け屋敷チームでさせてもらえたことは、私にとっては新たな面白さの発見や演じる楽しさも感じられた、貴重な時間でした。