【9月号③】「山道に現れる妖怪たち ―― 子どもから大人まで楽しめる本気で遊ぶ縁日 ――」るりこ

   
 今宵は、なのはな縁日。浴衣を着て、射的、ヨーヨー釣り、金魚釣り、シューティングゲーム、吹き矢の遊び屋台に、正治さんの焼きそばやりゅうさん特製のゴマ団子など、美味しいフード屋台も立ち並んで、さぁ、どこから遊ぼうか。

 両脇がキャンドルライトに照らされた山道を上がると、普段の山小屋とはひと味違った景色が広がります。

 一番手前の射的から遊んでも良し、色とりどりのヨーヨーが浮かぶ、ヨーヨー釣りからでもいいなと進んでいくと、遊び屋台の一番奥に待つのは、なのはなで人気スポーツの吹き矢屋台が立っています。

「ようこそ! 吹き矢へ!」

 わたしは吹き矢チームとして、なのはな縁日を楽しみました。

 今回、吹き矢の屋台をどういうモチーフで作ろうかなと話し合った結果、まなかちゃんの案で、「妖怪退治」に決定しました。

 なぜ妖怪になったかというと、今回の縁日はお化け屋敷もセットということで、吹き矢の屋台のさらに奥に、山の木々に隠れてお化け屋敷の会場となるアトリエが見えます。
  

遊びの屋台の一番奥に、突如現れた妖怪たちを狙って、矢を吹きます

   
 日中は普段のアトリエですが、暗くなると、窓の隙間から灯りが見えて、何とも不気味なアトリエに見えるのです。
  
 お化け屋敷なんて怖くないぞ! と本心とはちょっぴり違う自分の気持ちを奮い立たせる目的もあって、吹き矢でお化け退治をしようという話題から、テーマは「妖怪退治」に決定し、妖怪にちなんだ的を制作しました。

■ライトに照らされた妖怪

 一反木綿、塗り壁、河童、猫又に天狗の的。さらに鬼や天狗の形にした提灯も作りました。子供っぽさを消して、リアルな的を作ろうと、一体一体、時間をかけてチームのみんなと手がけた時間がとても楽しかったです。

 当日は思いがけない大雨になりましたが、縁日が開催される時間は雨が止み、あゆちゃんの、「今から、縁日スタートです!」という合図とともに、特別な夜が動き出しました。
  
   
 吹き矢の店番で立っていると、適度な間を空けて、みんなが遊びに来てくれました。

 よしえちゃん、まことちゃん、ゆいちゃんと声を揃えて、「ようこそ! 吹き矢へ!」と迎えると、一人ひとり、みんなが嬉しそうに笑ってくれました。

 妖怪の的はそれぞれ木にくくりつけたり、杭を使って地面に立たせたりして、打つラインからの距離を工夫して、点数配分を決めました。

 手前から一反木綿が一点、塗り壁が三点、、河童が五点、猫又が七点、そして最も難易度の高い天狗の的は十五点です。天狗の的は、これまでなのはなで吹き矢大会をしてきたなかでも最も遠い、十三メートル先の木にくくりつけました。
    

ヨーヨー釣り屋さん

   
 さらにゲームを面白くするために、各的の一部分に金色のスプレーをかけて、例えば河童なら頭のお皿が金色、猫又ならしっぽが金色、というように、その金色部分に当てると、ボーナス点で五点が追加される、ボーナスゾーンも作りました。

 色とりどりの妖怪の的が暗闇の中、照明のライトに照らされていると、そこだけ浮かび上がっているようにも見えて、面白い会場づくりができました。

 さぁ、天狗の的を当てられる人はどのくらいいるだろうか? 

 実行委員のみんなの期待はというと……なのはな吹き矢名人のお父さんやあんなちゃん、さやねちゃんやまことちゃんなどは、いとも簡単に十三メートル先の天狗めがけて、勢いよく矢が飛んでいきました。

 それも一本、二本、三本、四本、五本……。一人五投のうち五投すべてが見事天狗に命中しました。

「グーグー! グーグー! グー! 天狗ーー!!!」

■非日常の雰囲気

 五本とも天狗の的に当たったときのために、まなかちゃんとなつみちゃんが、こんな可愛らしい掛け声も考えてくれました。見事すべて天狗の的に当てた人は、「満点」と「天狗」をかけて、「満天狗」。最高得点の七十五点を獲得していきました。
  
  
 他の子は、次に難しい猫又を狙う子が多く、見事、猫又のしっぽのボーナスゾーンに当てている子もいれば、それぞれ五体の矢を順に打っていく子もいました。

 実は縁日の数日前に、古吉野の体育館で吹き矢大会を催していて、みんなその時に磨いた腕で、今回の吹き矢も続々と高得点を叩きだしている姿が格好良かったです。                                                                       

 みんなが、「猫又当てます!」というように宣言した的に当ててガッツポーズをしていたり、外れてしまって、「あー!」と悔しがっている姿を見ているのも面白く、誰かがプレイするたびに、わたしも実行員のみんなとその子の目線に立って、応援して一緒に喜んだり、あるいは悔しがったりするのも楽しかったです。
  
  
 自分が遊ぶ側でなくても、誰かが楽しんでいる姿を見ていると、こんなにも自分の気持ちまで優しくなっていくのだなと感じました。

 吹き矢の屋台の奥では、いよいよお化け屋敷も始まり、時折、誰かの悲鳴が届いてきます。みんなが退治した妖怪たちは、一緒にお化け屋敷にお供してくれただろうか? そんなことを考えながら、非日常の雰囲気を楽しみました。のちのち、わたしも入ることになりましたが……。
  
  
 気がつけば、楽しい時間も過ぎるのはあっという間。

 まだ遊びたい気持ちを抑えながらも、みんなと並んで歩きながら、山道を下ると、赤提灯に照らされた山小屋が目に入りました。すぐそばにいたけれど、山小屋を見たら、(あぁ、戻ってきた)という気分になって、この景色が本当にきれいで、好きだなと思いました。

 なのはなのみんなと作る、縁日。幼い頃の想いが、大人になった今、本気で遊ぶお祭りって楽しいと知り、それはなのはなだからこそできる遊び、感じられる気持ちなのだと思います。