「毎日、よく生きられますようにと」 ななほ

9月10日

・今のメンバーで

 金時祭り、ウィンターコンサートに向けて、ダンス練習が始まりました。
 私は今日、『ブラック・クイーン』と『オテア・ルミア』の振り入れをしてもらいました。

 私はここ最近、音楽やダンスに飢えていて、常に踊りたい気持ちがあったり、時には体育館でダンスを踊ったり、廊下を歩いていても頭の中で延々と、コンサートの曲が流れていたのですが、卒業生ののんちゃんもダンスの振り入れに帰ってきてくれて、これから新曲のダンス練習も始まっていくと思うと、気持ちが高まりました。

 私はクイーンのダンスを踊るのは初めてなのですが、『ブラック・クイーン』は魅力的な悪魔の衣装で、「お父さんが衣装もダンスも大好きなんだよ」とゆりかちゃんが教えてくれて、そんな素敵なダンスを踊れると思うと嬉しかったし、『オテア・ルミア』はメンバーも増えてダンサー兼パーカッション隊で、ハワイの楽器『イプ』や『プイリ』を鳴らしながら、踊れるのが嬉しいなと思いました。

 ダンス練習が始まると、身体が軽くなったような心地がしたり、全身を使ってダンスを通して気持ちを外に出せると、自然と表情が動きやすくなるのを感じました。

 今のメンバーで、新しいフォーメーションでダンスを踊っていけるのが楽しみだし、卒業生ののんちゃんがウィンターコンサートで踊る大人数ダンスの振りやフォーメーションも考えてくれていて、これからコンサートに向けて踊り込んでいけるのが楽しみです。

・桃の剪定

 私は今、朝食前から午前、午後と桃の剪定の作業に入らせてもらっているのですが、桃の剪定が好きだなと感じます。

 あんなちゃんに見てもらいながら、自分の頭を使って枝を切っていく時間。切った枝は魔法が使えない限り、元に戻すことはできないのですが、ちゃんと、必要な枝、伸ばしたい枝、主枝や亜主枝の先端などは残し、不要な枝だけを決断力を持って切るのは爽快です。

 特に、今の時期は冬剪定に比べると大胆なのですが、その分、切ると樹も私自身もさっぱりします。

 個人的には、大きな枝を切るときに力を出し、切った枝が地面に落ちるときの、「ザブーン」「バサーン」という波のような音を聞くと、つい顔がにやけてしまうくらい、気持ちが良いです。

 桃は1本1本、樹形は違い、品種によっても特徴が違えば、同じ品種でもそれぞれ、形や性質、樹勢が違います。でも、あんなちゃんに桃のことや、なぜ、この枝を切るか、どうして今の時期に切るか、今後、どの枝をどう育てていくかなどを教えてもらえることが嬉しいです。

・夜の集合

 夜の集合で、
「摂食障害は、回復したという瞬間があって、回復したからもう大丈夫ということはなく、いつもすぐ後ろに穴があり、毎日、よく生きられますようにと謙虚な気持ちでいること」
 という話しを改めて聞かせていただけたこが嬉しかったです。

 ここ最近、気持ちが極端にコロコロ変わってしまうことが多くて自分でも困ったなと感じることが多いのですが、数日前、お父さんと話しをしてから、夜、ぐっすりと眠れるようになりました。

 本当に気持ち次第で、目の前のことに向ける気持ちが変わったり、未来に対する希望の持ち方も大きく変わるなと感じます。

 私たちは常に自分の中に時限爆弾があって、逃げようと思えば逃げることはできるし、諦めようと思えば簡単に諦められるけれど、私には仲間がいるから、何があっても信じる気持ちを忘れずにいたいし、これから出会うまだ見ぬ誰かのために、自分だけのオリジナルのサクセスストーリーを作るつもりで、自分が乗り越えなければいけない壁に真っ直ぐ、向き合っていきたいです。

 また、違う話からお父さんとお母さんが、
「障害を持った子は、障害があることが悲しいのではなく、障害を持っていると言うことで社会からドロップアウトしてしまうことが悲しい」
 という話しをしてくださり、改めて、私もそれが悲しかったんだなと思いました。

 摂食障害になったとき、もう私には未来がないと思ったとき。何度も、回復したら、症状が止まったら普通になれる、元通りになれると思ったけれど、自分では症状が止められなかったし、症状がなくなったところで、もう私の生きていく場所、生きていく道はないと思っていました。
 安心して未来を生きられると思える場所がありませんでした。

 周りからの目線や評価が怖くて、普通の学校に行けなくなったときも、本当は戻りたいけれど、もうそこには自分の居場所はないと思って居て、だけれど、このまま症状を持ち続けて生きて行くには、あまりにも、未来が真っ暗で、絶望的でした。

 今日、お父さんとお母さんの話を聞いて、改めて私があれだけ苦しかったのは、社会からドロップアウトしたという怖さ、もう自分が生きていける場所はどこにもないという不安があったからだったんだなと思ったし、今の時代は、誰もが、そういう空気に怯えて、強がってみたり、自分に嘘をついてみたりして、本当に優しい関係、横社会が築きにくくなっているんだなと感じました。

 なのはなファミリーは私の心のふるさとです。なのはなファミリーのような場所がもっとたくさん、今の世界にあったらどれだけ多くの人が生きる場所、明るい未来を見れるだろうと思うし、私はなのはなの気持ちを広げていく1人として、世の中に自立していくんだと思うと、希望を感じました。