9月4日
「生まれちゃった!」
突然、まなかちゃんがそう言うので、(え、何が生まれたの?)と驚きながらまなかちゃんの方へ駆け寄ると、小さな小さなサワガニの赤ちゃんがよちよち歩きで水槽の中を動き回っていました。
サワガニの誕生。ほんの数分前まで、お父さんとお母さんが、「このサワガニ、卵を持っているね」と話していたのに、その卵からサワガニが孵ってしまうなんて、なんだか奇跡のようでした。
あゆちゃんやまえちゃんに、「サワガニの赤ちゃんが、生まれました」と言いに行くと、1年生教室からスタッフさんたちがぞろぞろと出てきて、一緒に生まれたばかりのサワガニを見ました。
私は卵の状態は見ていなかったのですが、思っていたよりも赤ちゃんのサワガニは大きくて、可愛かったです。
話は変わりますが、今日から桃の秋季剪定が始まりました。
私はこれまでにも何度か桃の秋季剪定に入らせていただいているのですが、改めてあんなちゃんから秋季剪定のやり方、基本的な考え方、目的を教えてもらえて嬉しかったです。
日当たりの改善、作業性の改善、樹形の形成。
秋季剪定は冬季剪定に比べると大胆で、内向した枝や下がっている枝、ならせ枝として使い切った枝などのいらない枝は今の間にばっさりと切り落とします。
あんなちゃんが、
「今の時期は桃の養分が流動しているから、養分を上に引っ張るため、上のほうは冬季剪定で切る」
ということも教えてくれました。
また、養分の関係で秋季ではすり切りではなく、ほぞ切りで剪定していきます。
あんなちゃんの手元で枝の回収や保護材塗りをしながら、
(次はどの枝を切るかな)
(この枝はいらないように見えるから、あんなちゃんは切るだろうか)
など、自分の頭でも考えながら、あんなちゃんが剪定する様子をそばで見て、教えてもらえたことが嬉しかったです。
また、新しいメンバーで秋季剪定が始まって、たくさんのみんなと桃の作業を覚えていけることが嬉しかったです。
今日は日差しが強くて暑かったのですが、作業の途中に台所さんがマクワウリスムージーのデリバリーをしてくれました。
みんなと一緒に、「逆ドライブスルーだね」といいながらキンキンに冷えたマクワウリスムージーをもらって、桃の木の下に座っていただきました。
桃の木の下は日陰で涼しく、時より吹く風が秋らしくて、とても心が穏やかになりました。
「このマクワウリスムージーは格別においしいね」
「りゅうさんの手作りパンと、スムージーでベーカリーができそうだね」
「私、なのはなのミルキークイーンでおにぎり屋さんもしてみたいな」
みんなと休憩の時に話しをしたり、自分の片手に透明なカップに、蛍光ブルーのストローが刺さったスムージーがあると言うだけでも、華やかでわくわくして、桃メンバーのみんなと笑い合えた時間に安心した気持ちになりました。
また、作業が終わって脚立を運んでいたとき、ふと上の方に何かが見えました。心に引っかかる何か、どこか知っている何か。
(あ、あれはサルナシだ!)
そう思ってあんなちゃんに言いに行くと、「え、どこどこ?」とついてきてくれて、みんなで畑ツアーをして帰りました。
その桃畑には、桃の木にむかごが自生していたり、毎年同じ場所にアケビがなっているのは知っていたのですが、サルナシがあったなんて、気がつきませんでした。
お父さんが、「知っていると、目に入る」といっていたように、ちょうど、昨日の夜の集合でお父さんが、
「みなさん、サルナシは知っていますか? 小さなキウイのようで、皮をむかずに食べられて……」
と話していたから、サルナシが目にとまったんだろうなと思います。
ざっと見る感じ、300個、いや取り切れないくらいのサルナシがついていて、山の中で足場が悪かったり、高い場所は10メートル以上になるかなと思い、簡単には採れないのですが、あんなちゃんが、
「明日、剪定の前に採ろうか。みんなも、みたいよね。お土産にしよう」
と話してくれて、明日が楽しみです。
また、いつもは桃と、四つ葉のクローバー、雑草、空しか見えていなかったのですが、開墾26アールの畑の周りには栗の木がたくさんあって、みんなと、「山の幸だね」と笑って帰ってきました。
サルナシは名前は聞いたことがあったのですが、食べたことがないので、どんな果実なのか楽しみです。
今日は5本の樹の剪定を進めました。桃の収穫も終わってから、桃の選果ハウスの片付けやウレタン洗いなども進めていたのですが、それらも今日で切りがつき、新たな気持ちで桃の作業に向かえるのが嬉しいなと思います。
私たちにとっては、4月の春が1年の始まりのようなのですが、桃にとっては9月の秋が1年の始まりです。私も、桃と一緒にこの1年も、成長していきたいです。