「三歩太郎の歯ブラシセット」 るりこ

9月3日

○川
 卒業生のいとみちゃん、さきちゃんが帰ってきてくれて、りゅうさん、お仕事組さんも揃う土曜日。蛇淵の滝へ、川遊びに行きました。

 ちょっと曇り空で、朝の収穫時は雨もぱらついていたので、(もしかしたら延期になるかな?)と思って朝食に行ったら、あゆちゃんとりゅうさんがもうすでに水着スタイルで、「おはようございます」と入ってきて、その姿を見て、(あぁ、今日やっぱり行けるんだ。あゆちゃんたちはもう川モードだ)と思って、嬉しくなりました。
 せいこちゃんの誕生日でもあって、朝食の席はいつも以上にみんながハイテンションなのがわかりました。

 蛇淵の滝へ行くのは、少し久しぶりでしたが、変わらずに秘密の場所のように滝の音と生い茂った木々が見えました。
 着くとすぐに、川原の石を探しました。川原の石は形も色もばらばらで、見ていると、いろんな形に見えてきます。さとみちゃんとまみちゃんと、「これ、こんにゃくみたい」「この石、顔があって笑っている」とか、石に生命を見つけて、楽しんでいました。ずっと眺めていても、いつまでも楽しめるなと思うぐらい、石を探してストーリーを組み立てるのは楽しいです。

 それからはチームに分かれて、お宝探しと船づくりをしました。
 わたしはお父さんチームで、さくらちゃんとペアになって、船で使えそうな材料集めをしました。

 ちょっと話は飛びますが、昼食を終えあとは、午後からみんなの前で展示をするために、午前に集めてきたお宝からどれを展示するか、予想価格はいくらにするかを、お父さんとチームのみんなで話し合いました。
 それまでは見つけてきた枝を魔女の杖にしようかと考えていて、ちょっぴりありきたりなストーリーしか浮かばなかったのですが、お父さんが来て一緒に考えてくださったら、見事思いがけない展開になりました。

 お父さんが、ももかちゃんが見つけてきてくれた、何かの繭のようなものを見るなり、「何、その歯磨き粉」と言いました。お父さんの第一声を聞いて、(確かに歯磨き粉に見える!)と思って笑ってしまいました。
 そこから恐竜の歯だった石が、三歩太郎の虫歯になって、ギザギザした葉がハブラシになりました。お父さん曰く、「歯ブラシセット」。
 まさか川で三歩太郎の歯ブラシセットを発掘することになるとは誰一人思ってもみなかっただろうし、そんなふうにユーモアに変えられるお父さんが、本当に本当にすごいなと思いました。

 結局、わたしたちのチームは鑑定団に、歯ブラシセットと大蛇の目と大蛇のお乳の固まりと大蛇の化身の4つを鑑定してもらいました。それらはすべて、お父さんが命名してくださったものでした。予想価格もです。

 それなのに、いざお父さんの鑑定が始まると、鑑定価格は予想価格を450万上回る結果に! さすが、お父さんは優しいなと思っていたら、お父さんの鑑定の講評が、
「これは……ただのキノコです。これも……ただの葉っぱです。歯ブラシじゃないです」と。
(えーーー! 言ったのお父さんじゃん!)と思いながらも、良い意味で、わたしたちを裏切ってくださるお父さんが本当に面白くて、こういうことが社会性で、人を喜ばせるということなのかなと思いました。
 お父さんの鑑定にはお腹が痛くなるほどに笑って、久しぶりにこんなに笑えたなと思いました。
 
 今日お父さんチームでいて、わたしももっと頭を柔らかくして、固定概念みたいなものを吹き飛ばせるくらいの面白い発想ができたら自由で、生きるのももっと楽しめるのかなと思いました。
 そういう親になれたら、子供も傷つかなくて、楽しく生きられると思いました。