【8月号⑮】「味噌樽をあけてみると ―― 仕込んだ味噌に五か月ぶりの再会 ――」しなこ

   
 コージーくん、なまコちゃん、潤菜ちゃん、久しぶり!

 コージーくん、なまコちゃん、潤菜ちゃんは糀の名前です。今年二月に味噌の仕込みをしたとき、味噌作りのメンバーで、育てた糀に名前をつけました。コージーくんとなまコちゃんは白大豆と一緒になり、潤菜ちゃんは黒大豆と一緒になり、それぞれ味噌として樽に仕込みました。

 サマータイム真っ只中、一息ついた雨の日に、味噌の天地返しをみんなとしました。五か月ぶりの再会です。

 味噌作りでは、ゆりかちゃんが中心になってくれて、今回の天地返しも、ゆりかちゃんがやり方を教えてくれて進めていきました。

 天地返しをすることで、発酵が促され、均一になります。

 今年仕込んだ味噌は三樽あり、それぞれの樽に三〜四人ずつ分かれて天地返しをしました。

 味噌たちの見た目は、まだ、五か月前とあまり変わらないように見えました。白大豆味噌は白味噌のように大豆の白さがあり、黒大豆味噌は黒大豆の皮の黒さが残っていました。
  

味噌樽めがけて、勢いよく味噌玉を投球!

 

 私は、潤菜ちゃんの黒大豆味噌の天地返しをしました。

 別の樽を用意して、樽から樽へ味噌を移していきます。手で味噌を混ぜつつ、手に味噌を持ち、空気が抜けるように、味噌を味噌にぶつけていくようにして樽に入れていきます。

■美味しくなるために

「えいっ!」と思わず声が出ました。少し乱暴に扱っているようにも見えますが、味噌が美味しくなるための作業です。

 やっている私たちも、味噌と味噌とがぶつかる瞬間が少し快感でもあり、私も楽しかったし、みんなも楽しそうでした。
  

味噌樽を開けると、天然の味噌溜まりが!

 

 発酵中の味噌からは、「味噌溜まり」が出てきていました。味噌溜まりは、発酵の過程で出た、旨味のエキスです。今回は、味噌溜まりも味噌に混ぜ込んでいます。

 味噌を移し終えたら、表面を平らにして、殺菌のための塩を表面に振りました。そして、空気が入らないようにしっかり密閉し、天地返しは完了です。
  
  
 味噌たちは味噌蔵へと帰っていきました。天地返しを終えたみんなの手はとてもスベスベしていて、味噌には美容効果があるようです。

 味噌ができあがるのは、三年後。美味しい味噌になってほしいです。