【8月号⑥】「晴れの日、雨の日、桃畑 ―― 初めての桃の収穫 ――」つき

   
 六月に収穫が始まった「はなよめ」を皮切りに、なのはな桃部会の桃も次々と収穫が続いています。最初は、繊細な桃を収獲するのに、おそれの気持ちが強かったのですが、段々と手付きも慣れてきて、チームワークもとても良くなってきました。

 これまで、「はなよめ」「日川白鳳」「加納岩白桃」「白鳳」「紅清水」「なつごころ」と、五品種の収穫をしてきて、品種によって色、形、大きさ、香りが違ってくるのがとても面白いな、と思います。当然、収穫基準も変わってくるので、品種が変わるごとに覚えて、収穫していくのも毎回、新鮮な気持ちにもなれて楽しいです。

 例えば、「加納岩白桃」は緑色が完全に抜けて、全体が黄味がかったクリーム色になったくらいが収穫適期ですが、今収穫している「白鳳」や「紅清水」は、「加納岩白桃」よりも若干緑色が残る品種なので、それも考慮して全体の色が黄色っぽくなってきたくらいが丁度良いです。
  
  
 少しの違いのようにも感じるけれど、収穫をしていると、その違いは大きく感じられます。早採りにも過熟にもならないように、一番ベストなタイミングで収穫をしていくのはとても難しいけれど、それが楽しいです。

 収穫は二人一組で行います。一人が採り、もう一人が手元で桃を受け取ってコンテナに入れていくというのを交代で行っていきます。二人の目で、早採りになっていないかを一つずつ確認していきます。

 なおかつ、収穫の初めに、あんなちゃんが基準の確認をしてくれたり、収穫を始めて十玉採ったらあんなちゃんのチェックが入り、早採りになっているか、もう一日置けるか、丁度いいか、あんなちゃんの目で確認をしてくれます。そうすると正しい基準をしっかりと確認できて、自分が早採り傾向になっていないかも自覚できるので、積み重ねていけることがとてもありがたいです。
  
  
 判断に迷ったら、いつでも、あんなちゃんがすぐに答えてくれて、その度に自分たちでも少しずつ理解を深めていけることが嬉しいです。

 桃はとても繊細で、採り方を間違えたり、少し力を入れたただけで指跡や枝当たりが出てしまいます。

■繊細さとスピード感

 あんなちゃんは、いとも簡単にサクサクと採っていっているように見えますが、指跡も当たりもほぼなく、きれいな状態で収穫をしていくのが本当にすごいです。

 実際に自分がやっていると、慎重になり過ぎて桃に触れる時間が長くなってしまったり、上手い力の込め具合が分からず、辺りを出してしまったりと、潔さと慎重さのバランスがとても難しいと感じます。

 けれど毎日収穫をしていくなかで、当たりを出さないようにするにはどうしたらいいかを考え、あんなちゃんの採る手付きを見たり教えてもらったりしていくと、少しずつコツが掴めてきました。
  
  
 あんなちゃんのようなスピード感と繊細さを目指したいと思いながらも、まだまだそこには到達はできません。

 判断に迷ったり、当たりをださないように収穫するのに時間がかかってしまいますが、最初の頃よりは素早く、当たりをださないで収穫できるようになってきました。

 これからは中生、晩生の収穫になると大玉になってくるので、難しくもなってくると思いますが、日々吸収して、あんなちゃんのように繊細さを保ちつつもスピード感も持てるように頑張りたいと思います。

■桃を守るために走る

 収穫している品種と、収穫間近の品種の樹には、水分調整として樹の下にブルーシートを敷いています。二人で一枚のブルーシートの両端を持って敷いていくだけの作業ですが、私はとても好きです。

 二人で息を合わせてブルーシートを敷いて行くのも楽しいし、一本の樹に対して二枚使っているブルーシートをつなぐように、鉄パイプをクルクルと巻きこんでいくと、水が入る隙間がないくらいにぴったりと桃の樹の下にブルーシートが敷かれていくのが、とても気持ちが良くて、桃を守っている気持ちになります。

 急な雨の場合は桃メンバーに留まることなく、なのはなファミリーのメンバー総出でブルーシート敷きに出動することもあります。土砂降りの雨の中での作業になることもありますが、雨を気にすることなく全身びしょぬれになれるのも、大人になったらそうあることではなく、それもみんな楽しんで桃を守るために走り回ります。

 自分が勇敢になったような、ヒーローになったような気持ちにもなって、毎回ブルーシート敷きは達成感があります。それに、どんなに雨が降ってもこれでもう大丈夫だという安心感があり、心配することなく大きく構えて雨の日を過ごせることが嬉しいです。

 なのはなの桃は、お父さん、お母さん、あんなちゃんをはじめ、なのはなファミリーみんなで守ってできています。

 ヤガなどの害虫や、鳥や害獣から守るために、桃の樹にネットを掛けています。ネットもブルーシートと同様、収穫している品種と収穫間近の品種の樹にかけます。大がかりで難しい作業でしたが、最初はお父さんが見てくださって、効率の良い作業の進め方や役割分担を確立することができました。
  
  
 なのはなの桃畑は、ネットを掛けやすいように樹の周りにポールが立てられています。そのポールとポールをつなぐように、ポールの最上部にマイカ線を張って、そこを這ってネットがカーテンのようにするするとかけられていきます。

■チームワーク

 役割分担としては、一本目のポールのそばに脚立で登る人が対称で二人。その間で少し低めの脚立に登って真ん中を補助するように持ち上げる人。二本目のポール近くに脚立で登る人が対称で二人。ポールに付く脚立の人は、脚立を移動させながらドンドン追い越していき、バトンをパスするようにネットを掛けていきます。

 下にいる人で、下でたぐまっているネットを、脚立の人に合わせて引っぱったり、脚立の人にネットを受け渡したりと、サポートをします。
  

桃の実を害獣や害鳥、夜蛾から守るため、桃にネットをかけています

   
 この方法は、役割分担がはっきりとしているので、チームみんなで息を合わせやすく、とてもスムーズにネットを掛けていくことができました。
     
 でも、みんなが同じ集中力と緊張感を持ち、息を合わせてなければできない作業で、毎日一緒に作業をしている桃メンバーならではのチームワークを発揮できたような気がします。

 最初は動き方に戸惑うこともありましたが、お父さんがその都度指示をしてくださり、それぞれが自分の役割のコツやポイントを掴んでいくことができました。慣れてくると、誰が何を言うわけでもなく個々が自動運転で自分の役割にサッとついて、流れるように作業が進んでいくのが、とても気持ちよかったです。

 ネットが掛けられた後は、ウエディングドレスを桃の樹に着せたようで、異世界に来たかのような光景が、とてもきれいでした。それをみると、本当に大きな達成感をみんなで味わえたことが本当に嬉しかったです。
  
  
 七月は天気が崩れることが多い日が続いたため、桃のネットが風や雨の重みなどではぐれてしまったり、ネットを支えているポールが傾いていしまうことがあり、その補強作業をしました。

 まずは傾いてしまっているポールの補強からとりかかりました。ポールの真横に竹を打ち込んで、ポールと竹をしっかりと結びます。そして、支えとして斜めに竹の杭を打って、さらに結び、固定します。そうしてまっすぐに立ったポールは、とても安定感があって、しっかりと支えてくれそうな安心感がありました。

 次に、伐採した使わない木を丁度良い長さに切って、それをネットの補強のための杭として、一本の樹に対して四か所ほど杭を打ち込んでいきます。そこにネットの裾部分を巻き付け、スズランテープでしっかりと結び付けます。

 そうすると、重石を乗せるよりもしっかりと固定され、強い雨風にさらされても絶対に大丈夫だと思えました。簡単でシンプルなこの方法が見つかって嬉しかったし、安心だなと思います。

■同じ気持ちを共有して

 収穫のあとには、選果ハウスで、桃の糖度測定や、選別を行います。選果ハウスで休憩をとるのも、リフレッシュできる時間です。余裕ができたときは、いつもお母さんが下さったルイボスティーをみんなでいただきます。
  

 それまでぐっと集中していた状態から一旦解かれて飲むルイボスティーは本当においしくて、心も身体も落ち着き、休まります。あんなちゃんから興味深い桃の話を聞かせてもらえるのも、楽しい時間です。

 白鳳と紅清水の収穫がピークを迎え、浅間白桃の収穫も、七月二十五日から始まりました。毎日収穫に追われて大変ではありますが、その大変さを上回る楽しさと充実感と達成感で満たされます。

 桃メンバー全員が同じ気持ちを共有して乗り越えていける空気感が、お互いの支えや力になっていると感じます。だから日々頑張れるのが桃作業です。気持ちを一つに、この夏を乗り越えたいと思います!