【8月号②】「過去、未来、そして今 ―― 自立へ向けて、新しい視点から取り組む回復ミーティング ――」るりこ

「回復には、理解することが大事だよ。どこまでも、理解だ」

 ミーティング期間中、お父さんが繰り返す言葉が、ずっとわたしの胸の中にありました。

 約二週間にわたって、回復ミーティングが行われました。今回は新たな視点から取り組んだ、新ミーティングです。 

 わたしたちがなのはなファミリーに集まってきたのには、みんなが共通する理由があります。

 それは、この世の中に対する生きにくさを抱えてきて、摂食障害という症状と闘ってきたということ。それを乗り越えたいと強く願っていること。

 そして、摂食障害を乗り越えた先に、痛みや生きにくさを知っているわたしたちだからこそ果たせること、誰もが心を病むことなく、優しい気持ちで、幸せを感じながら生きられる世界を作ってい一人として生きることです。

 わたしたちは苦しんできたとき、どうやったら摂食障害から回復することができるのか、どうしたら未来に希望を持って生きていけるのか、その疑問をずっと抱えてきてきました。そういう状況のなかで、なのはなファミリーに辿り着きました。
  
  
 わたしたちがずっと求めていた答えは、なのはなファミリーにありました。お父さんとお母さんが答えをもっていました。

 どうしたら摂食障害から克服できるのか、未来に希望をもって、立ち直っていけるのか。日々のお父さんとお母さんのお話や、みんなと過ごす活動を通して、その答えが少しずつわかっていき、なのはなファミリーに来る前の自分からは信じられないくらいに、症状がおさまり、回復の兆しも感じられるようになりました。

 その回復の兆しを確かにするために、「回復ミーティング」といって、自分自身の生きにくさに真っ正面から向き合って、解決を与える取り組みが行われます。

 これまで、過去のことを掘り下げる「心の傷を癒すミーティング」から、未来に対してどう希望を持つのかを考える、「自尊心のミーティング」を経てきました。

 そして今回は新たな観点から、『今』を見つめる、「生きにくさや悲観的な気持ちを解決するミーティング」が行われることになりました。

■大きな目的

 私は今回、実行委員の一人として、このミーティングを作る過程から、携わりました。

「過去、未来、そして今。この三つのミーティングが繋がれば、回復のルートが必ず確立する。確立したら、これからなのはなに来てくれる人にも、一つのまとまったミーティングとして広げて、すぐにでも回復の軌道にのることができる。それを一緒に探していこう」

 そうお父さんが話してくれたとき、とても大きな希望を感じました。
  
  
 これまでのミーティングで過去と未来に対してケジメは付けられたけれど、心の中で時々くすぶるものの正体が明らかになって、より生きやすく感じられるようになるのだということがとても嬉しく、ミーティングに真摯な気持ちで取り組んでいきたいと思いました。

 今回のミーティングの大きな目的は、これまでのミーティングからさらに一歩踏み込んで、幼少期の体験や記憶が、現在の自分の認識や思考にどんな影響を与えているのかを考えて、まずは自分自身を知ることです。そして、今抱えている問題をしっかり整理して、適切な評価を下すことで、抱えてきた生きにくさや躓きを解消して、前向きな思考を持続させながら回復に向かって進んでいくことが大きな目的です。

 講義は九回にわたって行われ、毎回テーマをもって、さまざまな視点から考えていきました。

 まずお父さんが講義をしてくれて、それに沿った設問への答えを、作文として書きます。作文を書いた上で、お父さんが正しい解釈や理解を教えてくれるという流れです。

 第一回目の講義では、過去の体験が現在の認識や思考に影響をあたえているということを、お父さんが図解にして教えてくれました。そのことを理解した上で、客観的に自分を見ると、どういう部分で現在の自分が作られているのかということがはっきりできた気がしました。そして、自分自身に対する評価や自信の有無も、もしかしたら間違っているのかもしれないと知ることができました。

 そこに繋がる第四回の講義は、特に心に残りました。

 第一回から三回までの講義を踏まえて、普段の自分自身の行動や考え方について掘り下げていきました。また、同じような体験や気持ちをもつ人同士でチームを組んで、OMTをして、自分たちに客観性を持たせました。

 そうすると、これまで短所だと思っていたことが、実は過去の体験に影響しているもので、問題を解決して、生きにくさを解消したら、改善していけるものだとわかったことがとても嬉しかったです。

 こんなふうに一つひとつの問題に解決を与えて、どう改善していけばよいのか理解ができると、不安な気持ちが消えて、心がすっと軽くなるような気がしました。

■理想の生き方

 第五回目の講義では、理想の生き方を考えました。

 わたしたちがこの先、自立したときに、どんな心持ちで未来に向かって進んでいったらよいのか。しっかりと病を克服して、生きていくにはどうしたらよいのか。

 そこを曖昧にせず、はっきりさせることで、より前向きな思考が続くことを教えてもらいました。

 そこで、より目標を明確にするために、世の中にプラスの影響をもたらした人物について、みんなで調べて、十一人の候補が挙がりました。

 その人たちに共通していることは、「利他的な気持ちで、新しい価値を生み出し、世の中の多くの人々にプラスの影響をもたらしている」ということでした。

 なかでも特に素晴らしいなと感じた人物について調べれば調べるほどに、「利他心」というキーワードがたくさん出てきました。

 いつもお父さんが、回復していくときに利他心を持つことが大切だよと教えてくださいます。自分の利益のために回復するとすれば、簡単に諦めがついてしまうけれど、まだ見ぬ誰かのため、自分たちと同じような生きにくさを抱えている人たちのために回復しようと思うと、絶対に諦めるわけにはいきません。「誰かのため」と思う気持ちが、意欲をかき立ててくれて、そのためにもっと良くなりたい、良く生きたいと思う気持ちが強く湧いてきます。

「利他心を持って生きていく」

 その気持ちが、どこまでも自分を前に進ませてくれます。

 今回のミーティングを通して、改めてまだ見ぬ誰かのために回復していくことに、回復の意味があることを理解できました。

 また、理想の人物を調べることで、実際に利他心の気持ちで多くの人々にプラスの影響を与える生き方をしている人を知り、とても希望を感じました。

 わたしも方向性をしっかり据えて、誰かの役に立つ生き方をしていきたいです。

 講義は様々な形で行われました。お父さんの講義を中心に、作文を書いたり、OMTをしたり、ときには課題DVDを見て、適切な関係の取り方を学んだりしました。

 そしてどんな形にしろ、最後に落とし込むことは、理解です。

 例え今すぐそれが解決できなくても、理解することで、道が開けることを教えてもらいました。

■理解されている

 自分自身や過去に向き合うことは、決して簡単なものではありません。とても勇気がいることです。

 でもこうして真っ直ぐな気持ちでミーティングが受けられるのは、仲間の存在があるからです。自分一人だととても心細いけれど、同じ痛みを知り、共感し理解してくれる、お父さん、お母さん、みんなの存在があるから、勇気を出して一歩を踏み出すことができます。

 今回もOMTをしたり、作文を書いているなかで、わたし自身、みんなと共感する部分がたくさんあり、理解されていると感じる場面がたくさんありました。

 同じ生きにくさを乗り越える仲間だからこそできること、見つけられる答えがあって、次の世代の人へ残せる道を、この仲間たちと切り開いていっているのだなと思いました。

 最終講義では、ここまでミーティングを進めてきた最後のケジメとして、決着をつける気持ちを、「手紙」という形で言葉にしました。

 作文を書いていると、ここまでみんなと進めてきた第一講義から順を追って、理解してきた一つひとつのキーワードが辿り着くべき答えに繋がっていくのを感じました。抱えてきた生きづらさや悲観的な気持ちがどうして湧いてきてしまうのかということにしっかり整理がつけられました。

 そしてこれからはどう変わっていくべきなのか。

 お父さんとお母さんが示してくださる答えは、たった一つでした。

 今、わたしの周りには、お父さん、お母さん、なのはなの大切な仲間がいます。これからのわたしは一人で闘わなくても、どんなときでも必ず手を差し伸べて、一緒に進もうと助けてくれる仲間がいます。そこには安心があって、恐れる気持ち、不安な気持ちは要りません。だから、もう後ろを振り返ったり、自分を守らなくてもよいのです。決着をつけて、手放しても大丈夫なのです。

 これから先は、今回のミーティングを通して学んだ、利他心の気持ち、誰かのために、と生きていく理想の生き方、そして今回の過程を通して深く理解して共感した、人と人との信頼関係の築き方、血縁関係のない人との間に育まれる、愛情を持った関係を自らの手で作り上げていける人になれるように回復していきたいです。そのために、まずはそうなりたいと強く願いながら、毎日を誠実な気持ちで生きていきます。
  

ミーティングに一区切りがついた日の翌日、東の空に大きな虹が架かりました!

   
 そして、お父さん、お母さん、なのはなの仲間たちと、わたしたちが回復して、世の中を誰もが生きやすい、優しい世の中へと変えていく使命を果たせるように、みんなと手を繋いで、人生を切り拓いていきたいです。

 ミーティングの最後に、お父さんがこう話してくれました。

「今いるメンバーだから、できたミーティング、考えることのできたミーティングだったね。これを土台に、もっと密度濃く完成形に作り上げて、次世代の人たちに繋げられるものにしよう」

 わたし自身、今回のミーティングを経て、自分を一材料にすることで、大きく成長することができたと感じます。ミーティングを終えた今、毎日がこれまで以上に活き活きとした意欲がみなぎっています。

 なのはな畑を広めたい。わたしたちが回復して、自立していく先に、誰もが生きやすい、優しい世界を広げられるよう、今回のミーティングを深く理解して、みんなと前に進んでいきたいです。