
海の広さに、海の香りに、海の波に心を動かされます。
なのはなの夏と言えば、桃やトウモロコシ、マクワウリに海。お母さんが、「今週末に海に行きますよ」と話してくれた時から、ずっと家族みんなで行く海水浴の日を楽しみにしていました。
(海の日が晴れてくれますように)
(海に何を着て行こうかな?)
と、海というワードを聞いただけで胸が弾み、海に行く前のワクワク感は私にとって、海の楽しみの一つです。

お揃いのサンバイザーで行こう!
海に行くと決まった時、お母さんが子供組を集めて、サンバイザーとペンダントをプレゼントしてくれました。
私はピンク色のサンバイザーをもらったのですが、早速、子供組のみんなとサンバイザーをつけて廊下を歩いていると、みんなが、「わ〜。お揃いだね」「それぞれにピッタリの色だね」「子供組を見ているだけで、海が楽しみになっちゃう!」とすれ違う人がみんな、声をかけてくれて、私たちも嬉しい気持ちが何倍にも広がりました。
海の当日はお母さんが選んで下さった水着を着ていきます。
水着が配られた時、私は桃メンバーのみんなと一緒に衣装室へと取りに行ったのですが、集中して作業をしていた後に、桃メンバーのあんなちゃんやまなかちゃんが、「え〜私。これを着るの〜?」「おかあさ〜ん」と言いながらも、とっても嬉しそうで、楽しそうで、私もちょっぴり恥ずかしい気持ちもあったけれど、お母さんが選んでくれたピンクと黒の水玉模様の水着を着て、海に行けるのが嬉しいなと思いました。
■海へ
キャラバンに乗って、海へ出発!
いよいよ、今日が海という日。朝から誰もが早起きをして、廊下をソワソワ、リビングをソワソワ。
でも、よしえちゃんが用意してくれたキンキンに凍ったマイドリンクが配られて、あゆちゃん運転のキャラバン号に乗り込むと、気分は一気にお出かけムードに。
行きの車の中では、あゆちゃんが海の生き物しりとりや、動物クイズなどを出してくれて、気が付いたら視界いっぱいに、青い海が飛び込んできました。
「早く、はやく! 降りて、おりて!」
みんなと押し合いながら車の外へと飛び出して、りなちゃんと小走りで砂浜へと向かいました。そこには、先発組で海へと向かった須原さん達が建ててくれていたテントが張られていて、海にピッタリのワンピースを着たみんなや、
もうすでに水着になっているみんなが手を振って迎えてくれました。
■砂浜に恐竜が出現!?
さあ、今年の海はどんな海? なのはなでの海は、毎回同じという訳ではありません。
まず初めは、砂のお城・オブジェコンテスト。題して、『サンドアートフェスティバル WPT城&ジュラシックビーチ』。
そう、WPT城のWはワクワクのW。PはプリティのP。TはトロトロのT! 毎年、海に行くと、「お母さんが小さい頃は、こうやって遊んだんだ」と言いながら、お母さんがトロトロタワーの作り方を教えてくれます。
それぞれのチームで思い思いに作る、WPT城。さて、住みたくなるようにワクワクして、外見がプリティで、トロトロなお城は、どんなお城?
そして、ジュラシックビーチは、その名の通り、砂で作る恐竜のアートです。実行委員さんが用意してくれたくじを引き、そこに書かれていた恐竜をテーマに作品を作ります。
海と恐竜。その二つがあると、どんな光景が見られるのでしょうか。サンドアートフェスティバル、スタート!
私はりゅうさんチームで、お城を作りました。砂の上にまえちゃんが描いてくれた図案を基に、同じチームのつきちゃん、さきちゃん、さくらちゃんとひたすら、丸いドームを作ります。
初めは横並びにしようと思っていたドーム。でも、少し方角を変えたらヤドカリになることを発見し、途中からは誰が何と言ったわけでなくても、ヤドカリキャッスルになっていきます。
「ねえ、ここにハートのマークがあったら素敵だと思わない?」
「みて、スベスベになった」
「お母さんのトロトロも、忘れずにね」
みんなと口々に話を交わしながら、砂の上に真ん丸の球体が並んだお城ができて行きました。私が人魚姫だったら、ぜひ、このお城に住んでみたいです。
そして、私たちの後ろでは、りゅうさんやまえちゃん達が恐竜作りに励んでいました。お題は、『アグスティニア』。
私はあまり、恐竜には詳しくないのですが、なのはなファミリーに来てからはトカゲやヤモリが好きになり、恐竜を砂で作ると聞いた時は、とても嬉しかったです。
この恐竜は背中にいくつもの角があり、これを一体、どんな風に表現するのだろうと思っていたのですが、りゅうさんとまえちゃんのセンスがあったら大丈夫。
後ろを振り向く度に、横幅が三メートル以上もある恐竜のオブジェが出来上がっていきました。
そうこうしている間に、一時間が過ぎ、お父さんとお母さんによる審査と講評の時間に。
最初に向かったのは、あゆみちゃんチームの作品があるところ。

おや、この恐竜は『プレシオサウルス』。
チームのあゆみちゃん、あゆちゃんの話によると恐竜の隣には、太陽をモチーフにしたお城と、海をイメージした渦を巻いたオブジェがあり、そのスケールの大きさ、クオリティの高さは声も出ないくらいに、見惚れてしまいます。海のオブジェと繋がるように、プレシオサウルスの胴体、首が円を描いていて、今にも動き出して海の中に潜っていきそうな勢いでした。
それからも、須原さんチーム、お父さんチーム、お母さんチーム、りゅうさんチーム、ひでゆきさんチームと砂浜を歩きながら、みんなが作った作品を見て回ると、どれも短時間で作ったとは思えないようなスケールの大きさ、大胆さもあり、繊細さや緻密さもあり、とてもインパクトの強い作品ばかりでした。

特に印象に残っているのは、お母さんチームでお母さんの大好きなトロトロが『トリケラトプス』を囲んでいて、トリケラトプスも立体的で、このままそうっと、移動させて恐竜博物館に展示したいなと思うほどです。
それぞれのチームで、そのお城や恐竜に関するエピソードもあり、誰もが一生懸命に砂で遊び、誰もが笑顔で楽しんでいる空気に、私も力が湧いてきました。
見事、WPT城で一位に輝いたのは、あゆみちゃんチームの作品。あの太陽と海のお城は、ただの砂にも関わらず、見ているだけで作品に色がついていくような美しさやアーティスティックな要素がたくさんあり、文句なしの作品です。
ワクワク、プリティ、ト〜ロトロ!
みなさんは、どのお城に住んでみたいですか。今夜、私たちが遊んだ海では、砂の恐竜たちが動き出して、海や空、陸で暴れているかもしれないので要注意。
サンドアートフェスティバルのあとは、お昼休憩の時間。
台所チームやお仕事組さん達が用意してくれたお弁当に、キュウリの一本漬けは暑い海にはピッタリの、新鮮さや爽やかさがあり、パワーが湧いてきました。
■お宝発見!
そしてすぐに、二つ目のゲームが始まります。続いては、『新お宝さがしゲーム』。
例年は、海の中にカラーボールを投げ入れて、それをみんなで探していたのですが、今年は波がちょっぴり荒れていたため、お宝探しゲームも新しいバージョンです。
このゲームの説明を簡単にしますと、海の中、陸、岩に隠された色のついたお宝(石)を探すというゲームです。お宝には、色が塗られていて、色によって得点が異なるのですが、それは結果発表までのお楽しみ。
私はつきちゃん、さきちゃんと一緒にお宝探しに出かけました。
岩を覗いては、首をフリフリ。海を潜ってみれば、う〜ん、どこにもお宝の姿はありません。
(いったい、どこにお宝が隠されているの?)と、思いながらも諦めずに砂浜をトコトコ、岩の上をトコトコ歩いていると、見つけました、ピンク色に光輝く何かを。
「あ、見つけた!」
あまりの嬉しさに大きな声を出してしまったのですが、岩と岩の隙間にひっそりと身を隠していた岩を見つけた時の喜びは、何にもかえられないくらい、喜びを感じます。
そして、さきちゃんも手に青いお宝を持っていて、後から合流したせいこちゃんも同じく、青いお宝を片手に走ってきて、私たちのチームは三つのお宝はゲットできました。
もう、お宝はないかしら?
まだ、見つけたい気持ちと、早く海の中へ入りたいという気持ちと戦いながら、やっぱり、海に負けました。
お宝探しの後は、自由時間! みんなで、海で泳ぎ、浮かびます。
この日は波が高く、例年に遊んでいた洞窟のエリアには行けなかったのですが、ただ海の中に入り、波に身を預けて流されるのが、この上なく楽しかったです。
■広い海で伸びのびと
「波来るよ、波来るよ、波来るよ、きゃー!」
「あ、一、二、三、わ〜」
ただ波に流されるだけなのに、どうしてこんなに楽しいんだろう。見渡す限り、永遠に続いているんじゃないかと思うくらいに広い海に入っていると、ただそれだけで海という大きな存在に包み込んでもらっている安心感がありました。
私も最初は、水が冷たいなとか、どうやって海で遊ぶんだろうと思うような気持ちもあったのですが、いざ、海に入ると、海の流れに、みんなの流れに沿って身体が動き、心も動き、幸せな気持ちで満たされていきました。
なつみちゃんと一緒にロープを掴んで、大きな波が来るたびにジャンプをしたり、ビーチボートや浮き輪に捕まって流されたり、海の中で仁王立ちになって波に倒されないゲームをしたり、みんなとだったら何をしていても、しなくても楽しいです。
気が付いたら、みんなと手を繋いでいました。
なのはなファミリーでは友達の為の友達でなく、みんなが仲間で家族だから、海に入っていても特定の人とずっと一緒にいるということがほとんどなくて、私もみんなも、コロコロ色々な人と遊び、流され、笑っていました。その空気の中にいると、涙が出そうなくらいに安心したし、私はこういう仲間を求めていたのだと改めて思いました。
何ができてもできなくても、何をしてもしなくても、いつも仲間の存在が私を助けてくれて、力になってくれて、大きく受け入れてくれます。
そこには見返りも保証も、自分の利益もないから私自身も、伸び伸びと楽しめて笑えて、みんなも誰もが伸びのびとしていて、(ああ、幸せだな)と思いました。
ふと、後ろを振り向いたら、私たちが溺れないようにとお父さんが泳ぎながら見守ってくれていて、ふと上を見上げるとお母さんが岩の上から手を振っていました。ふと横を見るとりゅうさん達がボートに乗りながら、オールではなく手で水面を漕いでいて、その光景に思わず吹き出してしまいます。
りゅうさん達が乗っていたボートには身長の高めの四人の姿があったのに、四人が全員、真剣な顔でりゅうさんの指揮の下、手をパタパタさせていると、海の広さに四人の手が小さく見えて、ペンギンにしか見えません。今にも沈んでしまいそうなボートも面白いアトラクションのようで、ただ遠くから見ているだけでも笑い転げてしまいます。
一時間以上、遊んだでしょうか? 海の中にいると疲れも吹き飛んで、どこまでもこうして浮いていたい、波に流されたいと思ってしまうのですが、そろそろ行こうかと思い陸に上がってからも、楽しいことはたくさんあります。

あゆちゃん達が小さなカニを採っているのを見つけては、私もそこに遊びに行き、何人かの子がビーチバレーをしているのを見れば、思わず笑顔になって、みんなの良い所、好きな所がたくさん見えてきます。
「そろそろ、次のゲームに入ります」
あゆちゃんが声をかけてくれるまで、海にいる間は時が止まっているものだと思い込んでいたのですが、私たちは竜宮城へ行くにはまだ早かったようで、ちゃんと現在進行形で時間は過ぎていたようです。
と、その前に。ずっと楽しみにしていた、あの時間を忘れてはいけません。
■海とフラダンス
そう、ゆりかちゃんによるフラダンスの新曲を、今回、海で初披露!
みんなで砂浜に座り、海を背景にゆりかちゃんの踊る『A REVA』を見ました。
ゆりかちゃんの上品でもあり、力強い表情。そして、粘りもあり、スピード感もあるフラダンスの動きは大人っぽくて、美しく、ゆりかちゃんの踊る姿に心がときめきます。

こんなに素敵な仲間がいると思うだけで嬉しい気持ちになったし、ゆりかちゃんとフラダンス、ゆりかちゃんと海がとてもピッタリで、いつの間にか、ハワイのビーチにみんなとフラダンスショーを見に来ているような気持ちにな」りました。
そして、最後のゲームは『リレー大会』。
私は初め、リレーと聞いた時、
(ああ。あの、砂浜で旗をとる、あのゲームか!)
と思ったのですが、どうやら、なのはなファミリーのリレーは体力勝負の、ガチンコリレーです。
リレーの会場は海の中。砂浜ではなく、海の中。
各チームで走順を決めて、数十メートル先の沖で待っているあゆちゃんめがけて、走ります。
私は二番走者として走ることになったのですが、一番走者のみんなが海へ走っていくのを見た時、まだ水が浅い所まではみんなが猛ダッシュしていくのに、ある時点から誰もが波に押されて海水に潜り、そこからはクロールで進む人、立ち泳ぎをする人などとみんなのスピードがどんどん、遅くなっていきます。
そして、帰り道で見る景色が、スローモーションに見えるのは不思議。どうして、スローモーションに見えるんだ、これは私だけなのかと思ったのですが、それは走ってみたら、誰もが納得する理由があったのです。
そう、海の中では走れない。
第一走者のさくらちゃんからバトンを受け取ってすぐ、沖のほうへ走っていくと、最初は全力で走れたけれど、途中で海へダイブして、それからは作戦変更、クロールで行くことにしました。でも、何だか後ろからものすごい気配を感じます。
顔をあげたら、後ろから須原さんが迫って来ていて、作戦なのか無意識なのか、時々、須原さんに岸の方へ引き戻されるのを感じ、これは絶対に負けたくないと思いました。
そして、折り返し後もクロールで行くと、数人抜かせたものの、顔をあげる度に前、ではなく、横へ横へと流されていき、直線にしたらそんなに距離がないはずが、みんながものすごく遠くに見えました。
全体力、全神経を使って必死に泳いでいくと、何とか水から上がることができました。
でも、そこからも一つ、問題なのが、走れないということ。
水はふくらはぎくらいまでしかなく、普通に立てるけれど、水圧に押され、泳ぎで疲れて足が上がらないので、全力で走っているつもりでも、中々前へと進みません。
これは傍から見たら、スローモーションに見えるのも、無理はないです。
それからの戦いは、どのチームも抜かしては抜かされを繰り返していてそれほど、大きな差は見られなかったのですが、最後、私たちのチームの代表、りゅうさんが五人を抜かしたのには、誰もが驚きの大逆転です。
「りゅうさん、頑張って!」
「もう少し、ひでゆきさんを抜かして」
りゅうさんと先頭を走るひでゆきさんとの距離は二メートルもなかったのですが、ひでゆきさんが一位のままゴールしました。
リレー大会は私の想像を遥かに超えた、新スポーツ競技のようだったのですが、みんなが真剣にでも笑顔で走っている姿を見ていると、爽快な気持ちになったし、あまりにも大きな声で応援をしていた為、声が枯れてしまいました。
でも、それもまた楽しみの一つかもしれません。
■海に教えてもらって
そして、最後の一時間半は自由時間!
真っ先に海へと飛び込むと、ひんやりと冷たい海水に、押し寄せてくる波、そのすべてが尊くて、大切なものに感じました。
お父さんも来て下さって、みんなで海の中で逆立ち選手権や、誰が一番、海の中に潜り続けられるのかを競うゲーム、五人チームで手を繋いで足をつかずにどれだけ浮いていられるかをチームで競うゲームなどをして遊びました。
また、高波に身を乗せて流されたり、りゅうさん達と一緒に一人ずつ、海の中へポーンとダイブするゲームをしたり、何度か一回転やバク転をして遊びました。
ボートに乗っては、何人もの人が集まってみんながボートにしがみつき、一人が海に立てば、気が付いたら五、六人のみんなが同じように海へ立ち、波に立ち向かっていたり、その空気がとても温かかったです。
やよいちゃんやりなちゃんと、シャチのボートに乗っては、ツルツルと滑るのも何度やっても飽きないと感じて、海はただいるだけで心を豊かにしてくれるなと感じました。
海。それは、なのはなの夏には欠かせないイベントの一つです。
海。それは、どこまでも続く広さと深さ、青く澄んだ色で心を癒してくれるものです。
海。それは、私が見えていなかった小さな幸せをたくさん教えてくれるものです。
家族みんなで海水浴へ行き、改めてなのはなの家族みんなで行く海は、スケールが大きく、本気で遊べるのを感じました。
そして、一人ひとりの好きな所をより深く知れて、誰一人と一人ぼっちになる子もおらず、誰もがキラキラとした笑顔で輝いていました。
そして、遊びが終わってからも、片付けや帰りの車までが海です。
みんなで、海に行く時の気持ちを作ったように、帰りの車でもドライバーさんに気持ちを添わせつつ、みんなが疲れていても楽しい空気をお互いに作っていて、何のトラブルもなく、安全に古吉野なのはなのわが家へと帰ってくることができました。
もう、今日の海が夢だったかのように幸福で満たされているのですが、海でリフレッシュされた心と身体を、明日からもフルに動かして、桃の収穫や畑作業もみんなと協力して頑張りたいです。