「優しい仲間を」 ななほ

8月21日

 1週間にわたって行われた短期合宿ミーティングも終わり、少し寂しいような、でもほっとしたような心地がしています。

 私は今回、サポートメンバーとしてこの合宿に参加させていただいたのですが、お父さんの講義や合宿に参加してくれた子たちと過ごす中で、改めて気がついたことがたくさんありました。

 そして、今いる場所が世界で一番、素敵な場所だと心から感じます。
 誰といても、どこにいても幸せを感じること。たとえ、もうだめだと思うような残念なことが起きたとしても、仲間の存在があれば、何でも乗り越えていけると信じられること。

 ミーティングの講義の中で、お母さんが読んでくださった本のテーマにもあったけれど、今の私は、目の前の生活に満足できて、たとえ、何かが足りないとしても、目の前にある幸せがちゃんと感じられます。

 今日、ミーティングに来てくれた子たちのお見送りをしたあと、お父さんとサポートメンバーのみんなで1時間程度、まとめの会をしたのですが、そのときのお父さんの話が嬉しかったです。

 人を敵か味方かで見てはいけないこと。
 今、なのはなで生活していると、私も含めて誰もが発展途上だけれど、誰もが良く生きたい、なのはなの気持ちで利他心を持って生きていきたいと思っているから、とても優しくて温かい関係があります。

 ちょうど、ミーティングに来てくれた子たちとも話していたけれど、なのはなファミリーは家でも、学校でも、職場でもなければ、誰もがイメージする『施設』とも少し違った、優しい場所だなと感じます。

 よい意味で縛りやルールというものがないから、自由な考え方や行動ができたり、飼いたいと言えば、猫だって飼えます。(昨日から、まつりちゃんがなのはなの猫になってくれて、とても人懐っこく、小さくて大切に育てていきたいです)

 お父さんも話していたように、誰がスタッフさんで入所者なのかも分からないくらい、みんなが症状を手放して、生き生きと活動していたり、笑顔なことに、合宿に来てくれた子たちが、
「思って居た施設という場所と違くて、みんなが笑顔で楽しかった」
「1週間があまりにも早くて、でも一夏分くらい遊んで、とっても充実した時間だった」
 と話してくれたのも、嬉しかったです。

 この1週間、講義の時間以外でもお父さんとお母さんと食事の準備や、セミとりに出かけたり、UNOやジェンガで遊んだりと、一緒に過ごす時間が長く、お父さんとお母さんの姿から、大人の対応や社会性もたくさん教えてもらいました。

 相手に気持ちを沿わせるということに関しても、自分がユアペースになって相手に尽くしたり、時に相手に踏み込みすぎるのではなく、相手に任せるところは任せて、自分のやるべきことはやるということが、自然にできるお父さんとお母さんを見ていると、私もそうなりたいし、それが優しいことなのだと感じました。

 お父さんが、
「夫婦の間でも、役割が決まっていて、お互いに踏み込みすぎない」
 と話してくれて、私は時として、相手の顔色をうかがってその場限りの相手に気持ちを沿わせる、相手のために力を尽くすという人になってしまい、自分が苦しくなったり、どこまで自分がしたら良いのか分からなくなるのだと思いました。

 また、まとめの会でお父さんが『演じる』ことについても話してくれました。

 子供の前ではお母さんを演じて、夫の前では妻を演じて、仕事場では求められている人材、よい部下、あるいは社長を演じて、そのどれもが本当の自分だとお父さんは話してくれます。
 今、なのはなにいたら演じなくても良いのと思ってしまうけれど、私も常に演じているのだと思いました。

 その場にあった空気感や態度、表情をユアペースではなく、自分から演じて空気を作る1人としての役割を果たすことも演じるの1つだし、常に素の自分100パーセントでいることはないなと思います。

 だけれど、必要以上に演じすぎたり、無理をして良い人でいようと取り繕う必要はなく、等身大の自分でその場にあった人を演じて、今の自分のベストを尽くしていたら良いんだなと思い、お父さんのお話が嬉しかったです。

 話は変わるけれど、この1週間、毎日のように朝起きたら喉がかれてしまうくらい、たくさん笑って遊びました。

 人と人との間に幸せがあること。
 それを強く感じた1週間でした。

 最初はみんな、初対面でお互いに緊張もしていたのですが、最後の方には、お互いに助け合い、許し合い、楽しめる関係になっていて、1週間分の信頼関係が来てくれた子とお父さん、来てくれた子となのはなファミリー、そして私たちの間で築かれているのを感じて、こんな風になのはなの気持ちを広げていくんだなと思いました。

 今回のミーティングの中でも、お父さんが、
「自分たちが摂食障害から回復し、外に出て働く中で、1人でも周りの人に利他的な気持ちを広げていき、その人の家庭、子供が利他的になったら良いなと思いながら、なのはなの子として自立していくんだよ」
 と話してくれて、嬉しかったです。

 私はどこか、何か大きなことをしなければいけないという気持ちになって、今の自分を情けなく思ったり、気持ちが疲れたりすることが時としてあるのですが、今、なのはなにいても利他的な気持ちで過ごして、利他心を持って生きていきたいという仲間を増やしていくことができます。

 それと同じように、たとえ自立して働き始めたとしても、何か大きなことをするという以前に、なのはなの子として自分の周りから少しずつ、仲間を増やしていき、たとえ私の世代では小さいとしても、次の世代、次の世代へと優しい仲間を増やしていったら良いんだなと思い、希望を感じました。

 もうすぐ消灯です。いつもありがとうございます。