
7月23日のなのはな
青い空に、白い雲。そして、広くて深い青い海。
夏といったら、やっぱり海!家族みんなで海水浴へ、出発です。
今週の初め、お母さんから「土曜日に海に行きます!みなさん、海に行く心づもりをお願いしますね」と話して下さってから、頭の中は海一色。
海を思っただけで、「畑作業も桃作業も何でもこい!」という強い気持ちになりました。
とはいうものの、(本当に海に行けるの? これは夢、それとも現実?)とまだ海に行くという実感が湧いてこなかったのも事実でした。でも、今朝はいつもよりちょっぴり早く目が覚めると、隣にいる子も、その隣にいる子も目を開けてソワソワしている様子。そして、起きてすぐにお母さんが選んでくれたピンクと黒の水着を着て、お母さんが子供組のみんなにプレゼントしてくれたサンバイザーとペンダントをつけると、ようやく、海だ! と平常心が保てないくらいに、ワクワクしました。
あゆちゃんが事前に考えてくれた車割りを見て、それぞれが車に乗り、海に向かいます。
私はあゆちゃん車のキャラバンだったのですが、道中の車の中でも夏のイベントの話や、海に住んでいる生き物をテーマとしたしりとり、あゆちゃんによる海クイズなどを楽しみながら、1分1秒、時間が過ぎるにつれて確実に海へと近づいているのを感じました。
そして、トンネルをくぐり、なだらかな坂を登ったら、視界いっぱいに飛び込んできたのが、青い海。それがあまりにも目線の高さに水平線が見えたため、同じ車に乗っていた子が「え、あれが海?」と言っていたのも可愛らしく、本当に海に来てしまったのだと思いました。

さあ、ここからは思いっきり楽しむ時間。
まず初めは、砂のお城・オブジェコンテスト。題して、『サンドアートフェスティバル WPT城&ジェラシックビーチ』。
この題名を聞いて、ピンときた方も来ない方もいるかもしれませんが、WPT城のWはワクワクのW。PはプリティのP。TはトロトロのT!。
毎年、海に行くと「お母さんが小さい頃は、こうやって遊んだんだ」と言いながら、お母さんがトロトロタワーの作り方を教えてくれます。
それぞれのチームで思い思いに作る、WPT城。さて、住みたくなるようにワクワクして、外見がプリティで、トロトロなお城は、どんなお城?
そして、ジェラシックビーチは、その名の通り、砂で作る恐竜のアートです。実行委員さんが用意してくれたくじを引き、そこに書かれていた恐竜をテーマに作品を作ります。
海と恐竜。その2つが合わさるとどんな光景が見られるのでしょうか。サンドアートフェスティバル、スタート!
私はりゅうさんチームで、お城を作りました。砂の上にまえちゃんが描いてくれた図案を基に、同じチームのつきちゃん、さきちゃん、さくらちゃんとひたすら、丸いドームを作ります。
初めは横並びにしようと思っていたドーム。でも、少し方角を変えたらヤドカリになることを発見し、途中からは誰が何と言ったわけでなくても、ヤドカリキャッスルになっていきます。
「ねえ、ここにハートのマークがあったら素敵だと思わない?」
「みて、スベスベになった」
「お母さんのトロトロも、忘れずにね」
みんなと口々に話を交わしながら、砂の上に真ん丸の球体が並んだお城ができて行きました。私が人魚姫だったら、ぜひ、このお城に住んでみたいです。
そして、私たちの後ろではりゅうさんやまえちゃん達が恐竜作りに励んでいました。お題は、『アグスティニア』。
私はあまり、恐竜には詳しくないのですが、なのはなファミリーに来てからはトカゲやヤモリが好きになり、恐竜を砂で作ると聞いた時は、とても嬉しかったです。
この恐竜は背中にいくつもの角があり、これを一体、どんな風に表現するのだろうと思っていたのですが、りゅうさんとまえちゃんのセンスがあったら大丈夫。
後ろを振り向く度に、横幅が3メートル以上もある恐竜のオブジェが出来上がっていきました。
そうこうしている間に、1時間が過ぎ、お父さんとお母さんによる審査と講評の時間に。
最初に向かったのは、あゆみちゃんチームの作品。
おや、この恐竜は『プレシオサウルス』。
チームのあゆみちゃん、あゆちゃんの話によると恐竜の隣には、太陽をモチーフにしたお城と、海をイメージした渦を巻いたオブジェがあり、そのスケールの大きさ、クオリティの高さは声も出ないくらいに、見惚れてしまいます。
海のオブジェと繋がるように、プレシオサウルスの胴体、首が円を描いていて、今にも動き出して海の中に潜っていきそうな勢いでした。
続いては、須原さんチーム。
須原さんチームのお城は2つあり、1つはお父さんのお城、2つはお母さんのお城で、お父さんとお母さんが話をする時はお城とお城を繋いでいるジップラインで滑らなければいけないという、何とも可愛らしい構造と説明に、思わず笑顔になりました。
恐竜も空を飛んでいる様子がそのまま、砂浜に形になっていて、その迫力と可愛らしいクリクリとした瞳は、まさに、プリティでした。
それからも、お父さんチーム、お母さんチーム、りゅうさんチーム、ひでゆきさんチームと砂浜を歩きながら、みんなが作った作品を見て回ると、どれも短時間で作ったとは思えないようなスケールの大きさ、大胆さもあり、繊細さや緻密さもあり、とてもインパクトの強い作品ばかりでした。
特に印象に残っているのは、お母さんチームでお母さんの大好きなトロトロが『トリケラトプス』を囲んでいて、トリケラトプスも立体的で、このままそうっと、板に移動して恐竜博物館に展示したいなと思う程でした。
それぞれのチームで、そのお城や恐竜に関するエピソードもあり、誰もが一生懸命に砂で遊び、誰もが笑顔で楽しんでいる空気に、私も力が湧いてきました。
見事、WPT城で1位に輝いたのは、あゆみちゃんチームの作品。あの太陽と海のお城は、ただの砂にも関わらず、見ているだけで作品に色がついていくような美しさやアーティスティックな要素がたくさんあり、文句なしの作品です。
ワクワク、プリティ、ト~ロトロ!
みなさんは、どのお城に住んでみたいですか。今夜、私たちが遊んだ海では、砂の恐竜たちが動き出して、海や空、陸で暴れているかもしれないので要注意です。
サンドアートフェスティバルのあとは、お昼休憩の時間。
台所チームやお仕事組さん達が用意してくれたお弁当に、キュウリの一本漬けは暑い海にはピッタリの、新鮮さや爽やかさがあり、パワーが湧いてきました。
そしてすぐに、2つ目のゲームが始まります。続いては、『お宝さがしゲーム』。
このゲームの説明を簡単にしますと、海の中、陸、岩に隠された色のついたお宝(石)を探すというゲームです。お宝には、色が塗られていて、色によって得点が異なるのですが、それは結果発表までのお楽しみ。
私はつきちゃん、さきちゃんと一緒にお宝探しに出かけました。
岩を覗いては、首をフリフリ。海を潜ってみれば、う~ん、どこにもお宝の姿はありません。
(いったい、どこにお宝が隠されているの?)と、思いながらも諦めずに砂浜をトコトコ、岩の上をトコトコ歩いていると、見つけました、ピンク色に光輝く何かを。
「あ、見つけた!」。
あまりの嬉しさに大きな声を出してしまったのですが、岩と岩の隙間にひっそりと身を隠していた岩を見つけた時に喜びは、何にも変えられないくらい、喜びを感じます。
そして、さきちゃんも手に青いお宝を持っていて、後から合流したせいこちゃんも同じく、青いお宝を片手に走ってきて、私たちのチームは3つのお宝はゲットできました。
もう、お宝はないかしら?まだ、見つけたい気持ちと、早く海の中へ入りたいという気持ちと戦いながら、やっぱり、海に負けました。
お宝探しの後は、自由時間!みんなで、海を潜り、泳ぎ、浮かびます。
この日は波が高く、例年に遊んでいた洞窟のエリアには行けなかったのですが、ただ海の中に入り、波に身を預けて流されるのが、この上なく楽しかったです。
「波来るよ、波来るよ、波来るよ、きゃー!」
「あ、1、2、3、わ~」
ただ波に流されるだけなのに、どうしてこんなに楽しいんだろう。見渡す限り、永遠に続いているんじゃないかと思うくらいに広い海に入っていると、ただそれだけで海という大きな存在に包み込んでもらっている安心感がありました。
私も最初は、水が冷たいなとか、どうやって海で遊ぶんだろうと思うような気持ちもあったのですが、いざ、海に入ると、海に流れに、みんなの流れに沿って身体が動き、心も動き、幸せな気持ちで満たされていきました。
なつみちゃんと一緒にロープに掴んで、大きな波が来るたびにジャンプをしたり、ビーチボートや浮き輪に捕まって流されたり、海の中で仁王立ちになって波に倒されないゲームをしたり、みんなとだったら何をしていても、しなくても楽しいです。
なのはなファミリーでは友達の為の友達はいらなく、みんなが仲間で家族だから、海に入っていても特定の人とずっと一緒にいるということがほとんどなくて、私もみんなも、コロコロ色々な人と遊び、流され、笑っていました。その空気の中にいると、涙が出そうなくらいに安心したし、私はこういう仲間を求めていたのだと改めて思いました。
何ができてもできなくても、何をしてもしなくても、いつも仲間の存在が私を助けてくれて、力になってくれて、大きく受け入れてくれます。そこには見返りも保証も、自分の利益もないから私自身も、伸び伸びと楽しめて笑えて、みんなも誰もが伸び伸びとしていて、(ああ、幸せだな)と思いました。
ふと、後ろを振り向いたら、私たちが溺れないようにとお父さんが泳ぎながら見守ってくれていて、ふと上を見上げるとお母さんが岩の上から手を振っていて、ふと横を見るとりゅうさん達がボートに乗りながら、オールではなく手で水面を漕いでいて、その光景に思わずプッと吹き出してしまいます。
だって、りゅうさん達が乗っていたボートには身長の高めの4人の姿があったのに、4人が全員、真剣な顔でりゅうさんの指揮の下、手をパタパタさせていると、何だかペンギンのようで可愛かったです。
1時間以上、遊んだでしょうか? 海の中にいると疲れも吹き飛んで、どこまでもこうして浮いていたい、波に流されたいと思ってしまうのですが、そろそろ行こうかと思い陸に上がってからも、楽しいことはたくさんあります。あゆちゃん達がサワガニを採っているのを見つけては、私もそこに遊びに行き、何人かの子がビーチバレーをしているのを見れば、思わず笑顔になって、みんなの良い所、好きな所がたくさん見えてきます。
***
「そろそろ、次のゲームに入ります」。
あゆちゃんが声をかけてくれるまで、海にいる間は時が止まっているものだと思い込んでいたのですが、私たちは竜宮城へ行くにはまだ早かったようで、ちゃんと時間は過ぎていたようです。
そして、お楽しみの『リレー大会』。
私は初め、リレーと聞いた時(ああ。あの、砂浜で旗をとる、あのゲームか!)と思ったのですが、どうやら、なのはなファミリーのリレーは体力勝負の、ガチンコリレーです。
リレーの会場は海の中。砂浜ではなく、海の中。
各チームで走者順を決めて、数十メートル先の沖で待っているあゆちゃんめがけて、走ります。
私は2番走者で走ることになったのですが、1番走者のみんなが海へ走っていくのを見た時、まだ水が浅い所まではみんなが猛ダッシュしていくのに、ある時点から誰もが波に押されて海水に潜り、そこからはクロールで進む人、立ち泳ぎをする人などとみんなのスピードがどんどん、遅くなっていきます。
そして、帰りは息よりももっと、スローモーションに見えるのは不思議。どうして、スノーモーションに見えるんだ、これは私だけなのかと思ったのですが、それは走ってみたら、誰もが納得する理由があったのです。
そう、海の中では走れない。これは、基本原則でしょうか?
第1走者のさくらちゃんからバトンを受け取って直ぐ、沖の方へ走っていくと最初は全力で走れたけれど、途中で海へダイブして、それからは作戦変更、クロールで行くことにしました。でも、何だか後ろからものすごい気配を感じます。
顔をあげたら、後ろから須原さんが迫って来ていて、作戦なのか無意識なのか、時々、須原さんに岸の方へ引き戻されるのを感じ、これは絶対に負けたくないと思いました。そして、折り返し後もクロールで行くと、数人抜かせたものの、顔をあげる度に前、ではなく、横へ横へと流されていき、直線にしたらそんなに距離がないはずが、みんながものすごく遠くに見えました。
でも、全体力、全神経を使って必死に泳いでいくと、何とか岸の方へと帰ることができました。でも、そこからも1つ、問題なのか、走れないということ。
水はふくらはぎくらいまでしかなく、普通に立てるけれど、水圧に押されて足が上がらない、泳ぎで疲れて足が上がらないので、全力で走っているつもりでも、中々前へと進みません。
これは傍から見たら、スローモーションに見えるのも、無理はないです。
それからの戦いは、どのチームも抜かしては抜かされを繰り返していてそれほど、大きな差は見られなかったのですが、最後、私たちのチームの代表、りゅうさんが5人を抜かしたのには、誰もが驚きの大逆転です。
「りゅうさん、頑張って!」
「もう少し、ひでゆきさんを抜かして」
りゅうさんと先頭を走るひでゆきさんとの距離は2メートルもなかったのですが、さすが、なのはなの子は男性陣も、勝負ごとに関しては目の色が変わるため、ひでゆきさんが1位のまま逃げ切りました。
リレー大会は私の想像を遥かに超えた、新スポーツ競技のようだったのですが、みんなが真剣にでも笑顔で走っている姿を見ていると、爽快な気持ちになったし、あまりにも大きな声で応援をしていた為、声が枯れてしまいました。でも、それもまた楽しみの1つかもしれません。
そして、最後の1時間半は自由時間!
今回は、天候や高波の都合もあって、スイカ割りとフォトコンテストはまた後日となったのですが、たっぷりとあった自由時間も、一瞬にして過ぎて行きました。
お父さんも来て下さって、みんなで海の中で逆立ち選手権や、誰が一番、海の中に潜り続けられるのかを競うゲーム、5人チームで手を繋いで足をつかずにどれだけ浮いていられるかをチームで競うゲームなどをして遊びました。
また、高波に身を乗せて流されたり、りゅうさん達と一緒に1人ずつ、海の中へポーンとダイブするゲームをしたり、何度か一回転やバク転をして遊びました。
ボートに乗っては、何人もの人が集まってみんながボートにしがみつき、1人が海に立てば、気が付いたら5、6人のみんなが同じように海へ立ち、波に立ち向かっていたり、その空気がとても温かかったです。
海。それは、なのはなの夏には欠かせないイベントの1つです。
海。それは、どこまでも続く広さと深さ、青く澄んだ色で心を癒してくれるものです。
海。それは、私が見えていなかった小さな幸せをたくさん教えてくれるものです。
家族みんなで海水浴へ行き、改めてなのはなの家族みんなで行く海は、スケールが大きく、本気で遊べるのを感じました。そして、1人ひとりの好きな所をより深く知れて、誰1人と1人ぼっちになる子もいなく、誰もがキラキラとした笑顔で輝いていました。
そして、遊びが終わってからも、片付けや帰りの車までが海です。みんなで、海に行く時の気持ちを作ったように、帰りの車でもドライバーさんに気持を添わせつつ、みんながお互いに気遣いながら楽しい空気を作っていて、安全に古吉野なのはなのわが家へと返ってくることができました。
もう、今日の海が夢だったかのように幸福で満たされているのですが、海でリフレッシュされた心と身体を、明日からもフルに動かして、桃の収穫や畑作業もみんなと協力して頑張りたいです。
ああ、また海に行きたいな。大きくて広い海、またお会いしましょう。
あ~、楽しかった!
(ななほ)