【7月号⑨】「それはまるで、宝石のよう ―― たわわに実るミニトマトの収穫 ――」なつみ

  
 ハウスの裏で大きなグミの実が鈴なりに赤く色づきはじめ、それに誘われるようにして、崖崩れハウス三棟に植わっているミニトマトも緑から白、白から赤みがかったピンクへと色づいていきました。

 なのはなでは、薄皮ミニトマト「ピンキー」と「きら〜ず」という、ピンクと黄色の品種を育てています。

 一房が四十センチ近くもあるような、長ーい房が出来ていたり、メガツインP56の葉面散布で、花火のようにハウス内いっぱいに黄色いお花が咲いたりしていて、綺麗にみんなで育てているミニトマトのハウスの前を通るたびに、誇らしい気持ちになります。

 気温が高くなってくると、トマトにはつきものの「トマトサビダニ」という害虫被害も出てきましたが、葉摘み後に防除をし、植え付けるときにお父さんと考えた、週に一回のメガツインP56(リンカリ肥料)とアミノ酸の葉面散布により、虫に負けないほど元気な株に育っています。
  
  
 わたしは今年、初めてミニトマトの担当になり、所属している畑Cチームのリーダーである、よしみちゃんも一緒にみてくれて、それがとても心強かったです。

 最初は、伸びていく株を見て、どうしたら良いかさえ分からなかった私ですが、お母さんからは、ミニトマトは泥はねが嫌いなこと。お父さんからは、トマトが吸収する石灰は、硫酸石灰と硝酸石灰しかないことと、どちらかを週に一回、液肥で与えること。ミニトマトを担当したことがあるしなこちゃんからは、脇芽は早めに摘むこと。竹に沿わせて誘引することなどを教えてもらいました。

 今までのミニトマト栽培の記録や、担当したことがある子がたくさんのミニトマトのいろはを教えてくれて、それを基に手入れをしていきました。
  
  
 ミニトマトは気温が上昇するごとに、ぐんぐんと伸びていき、誘引と脇芽摘みは四日置きに行わなければならい程の旺盛さで、ミニトマトの生長速度と、わたしたちの手入れはいつも追いかけっこのようで、終わりがないようだけれど、それが嬉しくもありました。

 また、雨の日には大人数でハウスに入って手入れをして、色づいてゆく、つやつやとしたかわいらしい姿を見てもらって、一緒に触れあってもらえて、みんなのミニトマトとして、手入れのときも、食卓に出たときも、喜ばれる存在であるミニトマトを育てさせてもらえたことが嬉しかったです。

 初めて収穫した日は、本当にキラキラと、まるで宝石のように輝いていて、思わずうっとりしてしまいました。れいこちゃんが一緒に基準を確認して、採ってくれました。

 宝石のようなミニトマト。このミニトマト、本当に宝石にできないかな。 そう思っていると、指輪を入れる透明の箱を見つけました。
  
  
 蓋を開き、白いクッションの上にピンキーを乗せると、思わず「うわぁ」と声が出るほど可愛くて、本当に宝石みたいで、食事の席でみんなに見てもらえたことも嬉しかったし、そのミニトマトを美味しそうに食べるたけちゃんの笑顔を見ると、幸せな気持ちになりました。

 最初は色づかなくて、まだかな、まだかなと焦る気持ちがありましたが、今ではコンスタントに五キロほど取れ続けていて、豊作で美しいミニトマトが、みんなのお陰で取れ続けられて、有難いことだなと思います。
  
  
 今では背丈は二メートル程になり、約十房目で摘芯されています。

 最後まで綺麗で甘く、美味しい実が穫れ続けるように、気持ちを切らさずに見守っていきたいです。