【7月号①】「2022年田植え 実りを願って ―― 手植えと、豊年エビと、田植え機応援隊 ――」りな

今年、なのはなファミリーで作る田んぼは全部で17枚。面積にすると約3・3町歩です。種籾から育てた稲の苗も、3日間に渡って機械植えされ、最終日には家族みんなで池下田んぼの手植えをしました!

     
 石生の田んぼ一面に水が張られ、夜にはカエルの合唱で賑やかになる季節。いよいよ田植えをする時期がやってきました。

 みんなで播種をしたトレーが、グラウンド一面にびっしりと並べられていて、トレーの境目が分からないぐらいに青々と稲の苗が均等に出揃っている光景は、とても綺麗です。毎日、朝夕二回、水やりをし、順調に大きくなった稲の苗。途中、稲の補強のために板で上から押さえつけられ、それでもめげずに伸びた苗は、濃い緑色で葉がぴんぴんしていて、とても強い苗に成長していました。
  
  
 六月になり、田植えラッシュが始まりました。お父さんや永禮さんが田植え機で田植えをすすめてくださりました。グラウンド一面にあった苗のトレーも、日に日に少なくなっていき、田んぼに無事旅立っていくのが嬉しいような、寂しいような気持ちになりました。

 そして、田植え最終日、この日はお仕事組さんもいてくれる土曜日で、家族みんなで毎年恒例の、手植えをしました。
  
  
 手植えは、一年の中でも一大イベントです。永禮さんも朝早くから来てくださり、全員が、手植えをする、池下田んぼに集まりました。その日は気温が高く、青空が広がっていて、とても天気の良い手植え日和でした。池下田んぼに着くと、田んぼの水面が波紋なく、静かに広がっていました。青い空を、そのまま水面に映していて、その光景がとても綺麗だなあと思いました。

■助け合い、分け合い

 平らに均された田んぼの畦を崩さないように、みんなで一列になり、田んぼの中に入りました。田んぼに張られた水の中に裸足を入れると、ひんやりと冷たくてとても気持ちが良かったです。思った以上に足はどんどん深くまで、泥の中に埋まっていきました。代掻きがされたあと、泥んこ大会を経て、大勢の足によって練られた田んぼの泥はとてもとろとろしていて柔らかかったです。
  
  
 両端には、あゆちゃんと永禮さんがいて、水糸を張ってくださりました。田んぼの畦に立っている何人かのみんなが、これから行く先に、稲の苗をポンポン投げてくれました。バケツリレーでひとりずつ、稲の苗を手に持って、手植えの準備は万端です。

 お父さんとお母さんが丘の上に立って、タイムを計って、タイムコールをしてくださりました。最初は、一列を10秒で終わらせる目標です。

「よーい、スタート!」お母さんの大きな声が聞こえると同時に、みんなで一斉に稲の苗を植えていきます。水糸には、小さなビーズが等間隔に付いていて、ビーズの真下に稲を三本〜五本植えます。一辺に全員で入ると、一人が分担する距離も短くて、あっという間に一列の田植えが完了しました。
  
  
「移動しまーす!」「オッケーです!」あゆちゃんと永禮さんが連係プレーで、水糸を平行移動してくださって、私達もそれに続きます。隣の人と、植える距離を助け合いながら、時には稲の苗を分け合いながら進んでいく時間が、とても楽しかったです。

 腰を上げてふと見上げると、お父さんとお母さんがほほ笑んで、私達を温かく見守っていてくれました。目の前には、補充のための稲の苗が島のように点々と、水面に浮かんでいます。

 「バッシャーン!!」と大きな音と水しぶきを上げながら、次々と稲が宙を飛んで着地する景色が面白いなあと思いました。よく見るとほとんどの稲の苗が、立って着地していました。どんなに剛速球でもクルクルクルと回りながら、綺麗に着地しているのが、まるで生きているみたいだなあと思いました。
  
  
 夢中になって手植えをしていると、お母さんの声が近くで聞こえ、気が付けばもう、すぐそこにお父さんとお母さんの姿が見えます。後ろを振り返ると、ずらーっと綺麗に並んで稲が水面から顔を出しているのが見えました。
 家族みんなで植えた稲、今年も豊作になったらいいなあと思いました。

■豊年エビ
  
  
 手植えをした後は、お父さんと永禮さんの、機械植えの見学です。まず、お父さんが田植えをしている光田んぼに向かいました。

 光田んぼの水面をみんなで眺めていると、誰かの、「豊年エビだよ!」という声が聞こえてきました。どこだろうどこだろう……探していると、みんなが揃って、指を指して教えてくれました。

 差されたところは、水面の色が少し変わっていて、影のように黒くなっていました。この影が全部豊年エビだよ! そう教えてもらったときは、とても驚きました。豊年エビのいる田んぼは、豊作になると聞きます。豊年エビの登場が、豊作の予兆のようで、嬉しかったです。

■ノンストップターン

 みんなで畦に座ってお父さんの応援をしました。「ガチャコン、ガチャコン」とリズミカルな音をさせながら、どんどんお父さんが近づいてきます。

 目の前で、お父さんの『ノンストップターン』と呼ばれる方向転換を見ることができて、とても嬉しかったです。お父さんの田植え機が通った後は、ぶれることなく真っ直ぐに、稲の列が道筋のように出来ていて、お父さんがかっこいいなあと思いました。
  
  
 永禮さんが田植えをしてくださっている石生山裾田んぼに着いたときは、ちょうど外周を田植えしてくださっているところでした。みんなが座って応援している畦に沿って、永禮さんが田植え機を操作してくださっていました。永禮さんが笑顔で手を振ってくださってとても嬉しかったし、すぐ近くで動いている田植え機が、とても迫力がありました。

 この日で全て、田植えが終わりました。田植えが終わってからも、日に日に稲が葉を青々とさせ、背丈を高くし、分けつして太くなっていくのを感じます。田んぼに旅立ってからも、稲が強く育ってくれたらいいなあと思います。今年も豊作になるよう、みんなと手入れを頑張りたいです。