【6月号⑳】「初めて触れる、勝央金時太鼓の世界 ―― 新しい構成での『風の舞』『わかば』 ――」ななほ


「タッッタッッタッタタタン」
 
 廊下を歩いていても、畑作業からの帰り道でも、頭の中で太鼓の音が響きます。
 
 スプリングコンサートが終わり、畑や桃も本格的に始まった頃、私の中でもう一つ、新しく始まったことがあります。それは、勝央金時太鼓です。
 
 今季かられいこちゃんと一緒に金時太鼓に入らせて頂くことになり、なのはな金時太鼓のメンバーも十一人となりました。

 お父さんとお母さんから金時太鼓のお誘いがあった時は、(自分が本当に太鼓を叩けるようになるんだろうか)と不安な気持ちもあったのですが、今までなのはなから金時太鼓に向かっていたみんなの存在に勇気をもらい、太鼓に夢中になっています。

 そして、三月末に行われた、金時太鼓結成三十五周年記念コンサートを見させて頂いた時から、密かに、(私も、太鼓を叩いてみたいな)と思っていた自分もいました。太鼓の響き、太鼓を叩いているみんなのキリっとした表情や放たれている空気にとても憧れて、太鼓の世界を見てみたいと思っていました。

 かにちゃんから真っ白なメープルの樹で作られたバチを受け取り、勝央文化ホールへ。

 初回は、勝央金時太鼓保存会の会長で、先生でもあり、ホールの館長でもある竹内さんに教えて頂きながら、基礎練習をしました。

 とその前に、まずは準備体操。
 勝央文化ホールに行くと、ついコンサートを思い出して身体が緊張していたのですが、お客さんのいない客席、何もない真っ新なステージで、準備体操をします。

 でも、この準備体操が思っていた以上にきつく、太鼓メンバーのみんなが、「太鼓はどちらかと言うと、体育会系かな」と言っていた意味がすぐに分かりました。
  
  
 バチを握った腕を真上にあげて、足を六十度の角度に前へと出し、前に出した足の膝を90度より深い角度にキープし、屈伸します。そして立ち上がる。

 ただ、これを二往復半分、繰り返すだけなのですが、この準備体操を一言で表すと、『サウナ気分を満喫できる、ストレッチ・スクワット』とでもいいましょうか。

 その位、準備体操の段階で汗だくになり、次の日は太ももの後ろが確実に筋肉痛になってしまいます。

 勇ましく、力強く太鼓を叩くには、畑とはまた違う、太鼓筋が必要なのだと感じ、いつか、筋肉痛が起きなくなる日を夢に、太鼓筋を鍛えていきたいと思いました。

 そして、竹内さんが基本のバチの振り上げ方、叩き方から丁寧に教えて下さり、その後もテンポを速くしていきながら、太鼓を叩いていきました。竹内さんがお手本で、ドーンと一発叩いてくださった時、床がゆれているように感じるくらい、力強く、勇ましくて、私もこんな風に叩いてみたいと思いました。

 私は今まで、コンサートの照明係などで竹内さんと関わらせて頂く機会があったのですが、竹内さんは太鼓を教えて下さる時も、優しくて、大きくて、竹内さんの作って下さる空気に安心します。
  
 
「ここに低い天井があるとして、それにバチを突き刺すように」
「ジャンケンでパーを出す時、こんな風に力を入れる人はいない。その反対にグーを出す時は力入れるけん。バチを上にあげる時はパーにして、太鼓を叩くギリギリに力を入れてグーにする」
 
 私は力が入る過ぎるあまり、音が出なかったり、腕が竹内さんのいう『電車のパンタグラフのように腕をくの字にする』というのを忘れてしまうことがあるのですが、竹内さんがユーモアをまじえて教えてくださる基礎の姿勢を何度も聞いて、叩いていくうちに、段々と叩きやすさや音の質が変わっていくのを感じます。

 竹内さんが、
「自分が鞭だとしたら、身体の肩までが鞭の柄の部分で、腕からバチまでが鞭の部分だと思ったらいい」
 と話して下さり、これからもっと練習して、正しい形を身体に癖づけていきたいです。

 でも、またしばらくすると身体に力が入り、竹内さんに、「じゃあ、普通に力を抜いて立ってみて」と言われても、「力、入っとるな~」と笑われてしまうこともあり、自分でも自分の身体が上手く使えないことに、悔しさと面白さを感じました。

 太鼓に習い始めて二週間目からは、『風の舞』の楽譜をもらい、曲の練習が始まりました。

 『風の舞』は三月の太鼓のコンサートで、なのはな太鼓メンバーのみんなが初めに演奏した曲なのですが、その曲を私も演奏できるのだと思うと、とてもワクワクしました。

 太鼓のコンサートの時、締太鼓から始まるこの曲を聴いた時、その響き渡る太鼓の音、時に優しく、時に激しく風が舞うような太鼓の強弱、振動に涙が溢れてきて、私も、そんな風に表現したいと思いました。
  
 
 今回からは、今までなのはなから太鼓に通っていたメンバーも、新しいパートをするということで、かにちゃんやつきちゃんが大太鼓を叩いていたり、あけみちゃんやふみちゃんが締太鼓。私は宮太鼓を叩くことになりました。

 宮太鼓では、りなちゃんが一小節ごとに区切ってどちらの腕から叩き始めるのか、強弱のつけ方や、姿勢なども細かく教えてくれて、初めは見よう見まねで覚えて行きました。というのも、楽譜はあり、読むこともできるけれど、いざ、太鼓を叩いていると楽譜を読んでいる余裕がなくて、全体の流れや感覚で覚えていきます。

 『風の舞』の練習が始まってからは、太鼓に向かう車の道中で口太鼓をして覚えていくのが習慣になってしまう位、覚えるのも、口で合わせるのも楽しいです。

「今日も、口太鼓をして練習に行こう!」

 そう誰かが言うと、「口ではどこでも叩けるからね」と誰かが言い、口太鼓でもみんなが真剣に練習をします。その空気の中にいると心が正されるし、(ああ、太鼓が好きだな)(太鼓に出会えて良かったな)と思います。

 そして、五月中旬すぎからは『わかば』の練習も始まりました。『わかば』は以前にも、なのはなのみんなが演奏するのを聞いたことがあったのですが、楽譜を見ると、改めて、(こんなに素敵な曲だったのか)と好きなフレーズが出てきます。

 まだ練習は始まったばかりだけれど、竹内さんが、「ここは小さく」「ここはフォルテだから、アクセントはもちろん強くするけれど、刻みもフォルテということを忘れないように」と基本的なことから丁寧に教えて下さり、太鼓の練習に行くたびに、太鼓が楽しい気持ちともっと上手になりたいという気持ちでやる気が湧いてきます。

 太鼓の世界。お父さんが、日本語や英語があるように、太鼓にも太鼓語というものがあると良く話して下さるのですが、少しずつ、太鼓語にもなれてきた自分がいます。

 初めての太鼓。最初は右も左も分からなくて不安な気持ちもあったのですが、竹内さんやかにちゃん、今までなのはなから金時太鼓に通っていたみんながいてくれるから、とても前向きで希望を持って太鼓に向かえます。

 初めてのことに挑戦する不安はもちろんあるけれど、それと同じくらい、いや、それよりも遥かに大きく、初めてのことに挑戦する楽しさや喜びを感じます。目標や理想を持って、これからも太鼓と一緒に、心と身体を鍛えていきます。

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~ 母の日に伝えた気持ち ~
  

母の日。
家族みんなでお母さんの好きな餃子とチャーハンを作り、
お母さんへの感謝の気持を伝えました。
  


夜には、お仕事組さんから母の日の手紙が送られ、
卒業生のみんなからも、たくさんのお花や手紙、プレゼントが届きました。