写真:さとみ  文:たけひと

いまの季節に、なのはなファミリーとその周りで見ることのできる花たち。
それぞれの花の表情と物語を、写真と文章でお届けします。








第51回「矢車菊」

 高らかにセレモニーのラッパを、
     四方八方に吹き鳴らす青紫の花、花、花

 

 野にあって、人の目を惹き付けるけれども、
   容易にはそれ以上、人を寄せ付けない高貴な佇まい

 

 

 

 

 それもそのはず、豊かで、華やかで、品格の高いこの小さな矢車菊は、
   その昔、プロイセン国の傷ついた王子たちを支え続けた

 

 今から200年以上も前のこと、
  ナポレオン率いるフランス軍にプロイセン国が攻め込まれたとき、
        幼い王子たちを引き連れ、ルイーズ王妃は難を逃れた

 

 傷心の王子たちを慰め、励ましたのがこの矢車菊だった
    ルイーズ王妃は矢車菊を摘んで王冠を作り、
      王子達の頭に載せて、再起の日を誓った

 

 やがて王子の1人ウルヘイム王子が初代ドイツの皇帝に就くと、
  皇帝の紋章として選んだのは、不遇の時に志を支え続けてくれた矢車菊だった

 

 

 

 

 それ以来、矢車菊はドイツの国花として、
         いまに至るまで特別な存在感を放つ

 

 矢車菊はいまも誰かを励ますために、
     高らかに四方八方にラッパを吹き鳴らし続けているのだ

 

〈撮影場所:ユーノス畑〉



これまでの花