【6月号⑥】「構えて、息を吸って、バナナを狙え ―― 爽快さ感じる吹き矢大会 ――」つき

  
 山小屋キャンプ二日目の午前は、吹き矢大会! 山小屋前を会場にして行いました。

 まずは定番のノーマル戦です。今年の的は少し特別でした。外側から三点、六点、九点、十二点、と色別の四重の円に加えて、直径一・五センチ、三十点という高得点の小さな円が中心に追加されました。その緑色の円を狙ってチーム戦で戦いました。

 一人三投ずつ、チームの中で代わる代わる撃っていきます。
  
  
 的の中に当てるだけでも難しいのに、緑の円に命中させるのは至難の業でした。毎度毎度、会場中のみんなが祈るように見守って応援していました。 

 そんな中、一人二人と、見事に緑の円を撃ちぬいていく人も出てきて、その度に大きな歓声が沸き起こりました。見ているだけでも気持ち良く、自分も撃ち抜いてみたい! という気持ちが膨らんでいきました。 
  
 ひたすら中心を狙い続けて当たった瞬間は最高に気持ちよく、ものすごく嬉しかったです。チームのみんなともハイタッチをして、同じ気持ちで喜んでくれているのを感じられ、チームワークも高まっていくように感じました。
  
  
 続いては名人戦。チームから一人選出し、トーナメント方式で戦います。的につけられた風船を先に射抜いた方が勝ち抜いていきます。ここでは決勝戦まで勝ち抜いた、お父さんとまえちゃんの名勝負が繰り広げられました。
 
 第一投目は二人とも空振り。そして第二投目……。まえちゃんが射抜いて風船が割れました! 最後まで集中を切らさずに、見事、名人になったまえちゃんがヒーローのように感じました。チームにも高得点をプレゼントしてくれました。
    

■バナナ風船
  
 最後は団体戦。これまでは名人戦でしか登場していなかった、みんなが憧れの風船割りが取り入れられました。

 的はトロピカルな絵が墨で描かれていて、シンプルかつ可愛らしいものでした。ヤシの木やマンゴーの木、パイナップルの木の、実のなっているところには風船。

 貝の中にある真珠やサクランボの実、カメが産んだ卵にはヨーヨー風船が取り付けられていて、高さや位置も様々、その中で好きな風船を狙って撃っていきます。

 ヨーヨーに命中させるのは結構難しくて、惜しい人もたくさんいました。確実に五十点がもらえる普通サイズの風船を狙うチームもあり、倍の百点がもらえる真珠やサクランボのヨーヨー風船を狙っていくチームもあり。
  
  
 それぞれのチームが作戦を立てながら点数を稼いでいきました。

 その中に一つだけ、バナナ型の細い風船がありました。難しそうだけれど点数は普通の風船と同じだったのでどのチームも狙わない、可愛いのに存在を無視されているバナナ風船にお母さんが提案してくださいました。

「バナナを割ったら三百点にしたら、みんな狙いにいくのではないか」

 そのお母さんのアイデアで一発逆転のチャンスが訪れました。

 三回戦目からそのルールが取り入れられ、そうなったらどのチームも狙いはバナナ。一、二回戦目とは真逆で、みんなバナナ風船しか見えていませんでした。

 バナナコールが山小屋中に響き渡りました。それでもやはり難易度はかなり高く、掠るくらい惜しいチームが続出し、なかなか打ち抜くチームは出てきませんでした。
  

 私たちまえちゃんチームも、もちろんバナナを狙ってここぞとばかりに集中力を発揮し、三人一斉に撃ちました。“バンっ”という破裂音と同時にバナナ風船が割れました! 

 一瞬目を疑ったけれど、奇跡的に命中! みんなからは大きな拍手と歓声をくれて、一番の盛り上がりでした。奇跡的な瞬間をチームの枠を超えて楽しんでいる空気が温かかったです。

 まえちゃんチームでは飛び上がって喜び合いました。その流れで二投目はヨーヨーの真珠も割ることができて、この回だけでかなりの高得点を獲得できました。
  
  
 最後のチーム、お父さんもバナナ狙いでした。さすがお父さん、見事射ち抜いてラストを飾りました。いつも最後の最後には絶対に決めていくお父さんがやっぱり格好良かったです。ラストにふさわしい盛り上がりをもたらしてくださいました。

 自分のチームでなくてもバナナが割れるとつい嬉しくなってしまう、ハラハラドキドキで大盛り上がりの団体戦でした。

 これまで名人戦で恒例だった風船割りでしたが、風船を割る快感をみんなも体験できたら楽しいのではないか、という実行委員さんの計らいでこのような団体戦になったようです。

 実際に割れると本当に快感でした。癖になるような爽快感をたくさん体験できて、気持ちもスカッとした楽しい団体戦でした。

 自分が撃つときも見ているときも終始ドキドキしていて、緊張感とスリル感のある吹き矢大会でした。それでも、盛男おじいちゃんの山での吹き矢はすごく開放的でリフレッシュできた時間でした。