4月4日(月)「スプリングコンサートの舞台を作る ――ホール入り1日目」

4月4日のなのはな

 スプリングコンサートまで6日。食堂の黒板には『ホール入り当日』という文字が書かれています。
 昨夜のミーティングで、お母さんが、なのはなファミリーができるまで、そして、摂食障害を回復する意味について改めて話してくれました。

 私たちは何のためにスプリングコンサートのステージに立つのか、そして何を伝えるために表現するのか。
 お父さんとお母さんが書いてくださったコンサートの脚本には、私たちが生きていく意味、求めていた答えがすべて詰まっています。

 ダンスやコーラス、バンド演奏はもちろんのこと、舞台美術や照明、音響にグッズも全て自分達で考え、作っていくなのはなのコンサート。ホール入り当日で、緊張もしたのですが、(1日1日、ベストを尽くそう)という気持ちで朝を迎えました。

 

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〈朝から、永禮さんが回送車を運転してくださり、大量のパイプや大道具を搬入することができました〉

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 なのはなのコンサートは毎回、メンバーが同じとは限らないのですが、事前にかにちゃんが照明の仕込みについて教えてくれたり、照明班のみんなと役割分担や手順の確認もし、勝央文化ホールに到着してから自動運転で照明の吊り込みが始まりました。

 私は前回のコンサートでも照明係でかにちゃん達と照明の吊り込みをさせていただいたのですが、今年はホールの竹内さんと、照明スタッフの田村さんという方が照明を見て下さり、分からないことがあったら丁寧に教えて下さりました。

 

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 私はまず、カラーフィルターとゴボの準備をさせていただき、照明の色となるフィルターをホルダーにセットしました。カラーフィルターはそれぞれの番号で色分けがされていて、色の種類も青は青でも薄い青、緑がかった青、紫がかった青などたくさんあるのですが、かにちゃんが考えて作ってくれた仕込み図を基に、青、濃いオレンジ、ピンク、緑、黄色などのフィルターをセットしていきました。

 

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 第3サスペンションバトンはオレンジと青のフィルターが入ります。
 照明の吊り込みは第3サスペンションバトンから始め、第2、第1、第8バトン、プロセニアムバトンと進んでいきました。ホールの竹内さんがバトンを下ろして下さり、そこに仕込み図通りに灯体を吊っていきました。

 灯体はいくつかの種類があるのですが、仕込み図にあるようにフレネルレンズ、平凸レンズ、ソースフォーなど灯体の種類と位置を間違えないように慎重に作業を進めていきました。
 灯体は舞台の天井に吊るすこともあり、とても緊張したのですが、金具をきちんととめて、サスバトンに書かれてある印を基に、1間にいくつ吊るか、どの種類をどの方向につるかを見ながら灯体を吊っていくのはとても面白く、楽しかったです。

 

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 ホールの竹内さんと田村さんがミラーボールも吊って下さり、照明の吊り込みをしている時から、シュートで光を見るのが楽しみになったし、どんな照明のステージになるんだろうとワクワクしました。
 ゴボもかにちゃんが選んでくれた、3種類の模様を準備しました。照明の吊り込みは照明係が初めての人がほとんどの中で、かにちゃんが立ててくれた段取り通りにとても順調に進んでいきました。

 私は、なのはなに来るまでホールとか舞台の照明などとは無縁だったのですが、こんなふうに舞台の照明が作られていき、自分達で1からスプリングコンサートを作れるというのがとても嬉しくて、ありがたい経験だなと思います。ホールの方も、スッとなのはなの気持ちに沿って、見えない所でたくさん助けて頂いたり、とても温かい空気で照明の仕込みが進んでいきました。

 改めて勝央文化ホールのステージでコンサートができること、竹内さんやホールの方に温かく受け入れて頂き、ホール入りで1週間、準備をできる事はとてもありがたく、恵まれていることだなと思いました。

 

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 一通り、舞台の頭上に吊るす照明の仕込みができた後は、床に置くライトの準備や、舞台背景の布の吊り込みと同時進行で、他の準備も進んでいきました。私は途中、2階の投光室で灯体の入れ替えや吊り込みをさせていただいたのですが、竹内さんが、
「ここに階段があるから、ここに登って気を付けて、設置してな!」
 と声をかけて下さり、高い所なのでくれぐれも、落ちないように落ち着いて作業を進めました。

 

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 2階の投光室から舞台のほうを見下ろすと、とても綺麗に照明が照らされていたり、舞台背景の布がキラキラと色鮮やかに輝いていて、つい見惚れてしまう位、美しかったです。
 また、一番上にある調光室では、田村さんがパッチ(編注:光を操作する“調光卓”に、ライトの回路を割り当てる作業)をして下さっていて、自分達が準備した照明が、ただ光っているだけで、とても満たされたような温かい気持ちになりました。

 

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 午後からは舞台背景の作業が一段落してから、シュートの作業に入ります。シュートではかにちゃんが前から見ながら、灯体の向きの調整や光の調整をしていきました。その姿がとてもカッコ良くて、シュートをしている姿も1つのステージのように凛としていて、いつまで見ていても飽きないなというくらい、とても面白かったです。

 田村さんが長い竿を使って灯体の向きを動かしている姿や、竹内さんと田村さん、かにちゃんが話をしている空気を側で感じているだけで、私もこの緊張感や空気を常に持っていないといけないなと思ったし、より美しいステージにしたい、美しい表現をしたいと強く思いました。

 なのはなのスプリングコンサートのステージは、本当にたくさんの人の手で作られていきます。私もその中の1人として自分にできることは全力でやりたいし、いつも仲間の存在、たくさんの人に支えらていることを忘れずに、コンサートにも日々の生活にも向かいたいと思いました。

 

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 今週は『凡事徹底』をテーマに、最後の1週間をみんなと最後の最後まで詰めていきます。
 当たり前のことをきちんとする。
 挨拶や片付け、時間を守るなど基本的なことをきちんとして、なのはなの子として恥ずかしくないような態度、言動を常に意識して、残りの6日間も粘り強く最後まで気持ちを引き締めて向かいます。

 少し緊張したり、自分ができていない所があるような気がして不安になることもあるのですが、コンサートの過程が私たちがよく生きていくために、回復する為に必要なことがたくさん詰まっていることを忘れずに、1日1日を、1分1秒を大切に、意味のあるものにしていきます。

 さあ、どんな照明が出来上がっているのか。それは、コンサート当日のお楽しみです!

(ななほ)

 

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 今日はとうとうホール入り当日です。舞台美術係の1人として、ホールに行かせてもらいました。
 エルフや、何台もの軽トラで積めるだけの大道具や、フレームを組むためのパイプを載せて、ホールへ向かいます。これからホールのステージを、なのはなのコンサートの舞台に作るんだなあと思うと、とても緊張して、これまで何回も通ったことのあるホールへの行き道が、まるで知らない所に行くかのように新鮮に見えました。

 桜が満開で、天気も晴れ晴れとしていました。それだけでも少し希望が持てるような気がしたし、スムーズに進んだらいいなあと思いました。

 

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 ホールに着くと、竹内さんやスタッフの方が迎えて下さりました。ホールのステージでは、照明班のみんなが照明の吊り込みをしていました。ステージの頭上に吊られているライトのバトンが、全て降ろされている光景は初めてで、とても驚きました。こんなにもたくさんの数と種類のライトがステージの頭上にセッティングされて、絶妙な照明を作り出しているんだなあと思って凄いなあと思いました。

 照明班が照明の吊り込みをしている間、舞台美術係は、舞台背景や、ステージのパイプをホールへ運び出しました。その中には、吊り物の星や、月もありました。

 まえちゃんから、事前にどんな舞台背景にするのか、図面を見せてもらいました。図面の中央には、バンドメンバーの乗るステージ。その上には、三日月と、大きな流れ星が描かれていました。

 図面の中で見た大きさよりも、遥かに大きな月と星がたくさんありました。こんなに大きな星も、お客さんから見えるステージの中では、ほんの小さな一部分なのだろうなあと思って、そのスケールの大きさを改めて感じました。

 

 

 初めは、舞台背景の吊り込みをしました。照明のライトのように、ステージの頭上には、いくつもの吊りものバトンがあって、そのバトンに吊ることができるようになっていました。ホールの方が、バトンを下ろしてくださって、みんなで吊り物の準備に取り掛かりました。

 バトンにロープを付けて、そのロープにテグスを通して、山脈のような形に仕込んだ布を吊り込みます。あらかじめロープとテグスの準備が整っていて、山の布の吊り込みはとてもスムーズに進められました。吊り込みがしやすいように、竹内さんや、ホールの方がその都度バトンの上げ下げをしてくださって、ありがたくてとても嬉しかったです。

 バトンが上に上がると、まるで布が宙に浮いていくように見えて、とてもわくわくしました。吊った布は紺色と水色の二色あって、まるで波が出来ているようでとても綺麗でした。

 

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 布の吊り物の前には、流れ星を吊ります。流れ星は、金色にピカピカと輝いた星に黄色、水色、青色の布が付いていました。この布を、バトンから星までを繋ぐように斜めに吊ることがとても難しかったです。星が傾いてしまったり、布が緩みすぎてしまったり、反対に引きつってしまったり……。お父さんやお母さんも、たくさんアイデアを出してくれて、みんなで一番綺麗な方法を試行錯誤しながら模索しました。

 お父さんがバトンからすぐ近くの位置で布を絞ってくださると、これまで太く、緩みすぎていた布がシュッと細くなって、本当に流れ星が落ちていくようなシルエットになりました。納得がいくまで粘り強く試し続けて、最後にはとても綺麗な流れ星を吊ることが出来て、とても達成感を感じました。図面に描かれていたものを、大きな舞台で現実に再現することが出来て、とても嬉しかったし、本当に一人ひとりの力がないとできないことだなあと思いました。

 

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 吊り込みが完了してからは、須原さんを中心にパイプの組み立てが始まりました。「カンカンカン」、トンカチを叩く音が小刻みに聞こえます。るりこちゃんやさくらちゃん、ちさちゃんが腰袋を付けて、手際よくパイプを組み立てていく姿がとてもかっこよかったです。私達も部品を運んだり、部品を止める作業に入りました。

 組んだステージは、本番はバンドメンバーさんが乗って演奏します。楽器や人がたくさん乗ってもびくともしないような、頑丈なステージが作られていました。10段ほどのある階段をサイドに設置して、登ってみると、想像以上にステージの上は高かったです。ステージに飾る大道具も一部取り付けることが出来て、着々と、何も無かったステージがどんどん私達の作り出したい世界に近づいていくようで、嬉しかったです。

 

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 コンサートは、見に来てくれるお客さんに、伝えたい景色や、伝えたい気持ちを表現する機会です。それは、音楽劇や、ダンス、演奏だけではなく、舞台背景や照明も同じなのだと思いました。続きがあるので、明日も気持ちを引き締めて、進められたらいいなと思いました。

 明日からは全員でのホール入りなので、ステージの空気を作る一人として、役割を果たしたいです。

(りな)

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〈『はなよめ』という品種の桃の、人工受粉用の花粉を採取しました!〉