【3月号⑮】「きっと、今年も、なのはなは福でいっぱい!―― 節分の日には、恵方巻と豆まきで鬼退治 ――」なつみ

 ある日の午後、台所作業に、なぜか、たくさんの人が呼ばれました。

(これは、何かがあるな……)

 と察したわたしですが、台所作業で呼ばれなかったので、それは明らかにならないまま、自分の作業に移ろうとしていたところ、「良かったら台所にヘルプに行ってもらえたら」というお誘いがあり、何をできるんだろうと、ワクワクした気持ちで台所へ向かいました。

 さぁ、台所の銀のドアを開けて、「失礼します」と入ると、河上さんが大量の巻きずしを目の前に、手速く動かれていました。ホウレンソウに玉子、さくらでんぶにかんぴょう、椎茸が銀の台の上に並んでいて、ハッと大事なことに気が付きました。

(そうか! 今日は節分! 恵方巻だ!)

 そう、この日は節分。なのはなでは夜ご飯に、太くて長い恵方巻を一人一本贅沢に頂いて、それから夜はみんなで豆まきをして、鬼を追い払い、福を呼ぶ、それはそれはとっても大事な行事の日でした。河上さんの説明を受けたら、早速、台所メンバーみんなで恵方巻をせっせと巻きます。
  
  
 ポイントは、よーくきつく巻くこと。緩いと崩れて食べにくいので、一回巻いたときに、ギュッと掴んで締めます。実は、わたしはお節づくりで伊達巻を作ったとき、まきすの使い方を河上さんから伝授していただいていいたので、(これは実力発揮の絶好の機会だ!)と意気込んで、初めての恵方巻づくりに挑戦しました。

 まずは巻き簀の上に海苔を置き、指に酢水を付けてぱっぱと飛沫をかけます。そのあと、手前二センチ、奥五センチほどを余らせて海苔の上にご飯を広げます。

 このとき、ご飯の厚さにばらつきがあると恵方巻も歪むので、均等に広げます。

 そうしたら、玉子、椎茸、ホウレンソウ、さくらでんぶ、最後に長ーいかんぴょうを一往復させて、大事な、巻きの工程に入ります。河上さんが見せてくださったお手本や、自分が伊達巻を巻いたときの感覚をよーく思い出して、気合を入れて巻き始めます。

 周りを見ると、楽しみながらもみんな真剣です。上手な人の手つきも見ながら、河上さんが教えてくださったポイントで、ギュッと巻きすと材料を掴んで、そのままグッと巻き込みます。

 そして、ご飯がのっていない海苔ののりしろも巻き込んで、最後にまたギュっと締めると、長さ二十センチ、太さ八センチの、立派な恵方巻の完成です!そして、恵方巻の晴れ舞台。夕食の時間、みんなが恵方巻を見て、「わぁ!」と嬉しい歓声を上げて、席に着きます。

 わたしはあまり台所作業に入ることがないのですが、作っていても楽しい、そしてみんなにも嬉しい気持ちになってもらえる恵方巻づくりをさせてもらえて、立派な恵方巻と共に、自分も誇らしい気持ちになりました。

 黒板には、「今年の恵方は、北北西」と書かれていて、みんなが、「どっちだろう?」「あっちだって!」と話して賑やかな雰囲気もまた、嬉しかったです。

 恵方巻を持っていると、作っているときは気付きませんでしたが、やはりとても大きくて、重い。そして、一口大きな口で頬張ると、じんわりと甘さがしみわたって、幸せな味がしました。こんなに立派な恵方巻を、みんなと美味しいねって言いながら頂けるのが、本当に嬉しいなと思いました。
  
  
 そして、漬物皿には、「魔の目(豆)を射る(炒る)」で炒り豆もついていて、後は最後に、豆まきをすれば、今年も古吉野に福が来てくれます。

 今年の豆まきは、ダンスのバディのチームに分かれ、わたしはあけみちゃんチームのみんなと一緒に二、三、四年生の居室を担当しました。あけみちゃんが持ってくれている豆腐パックいっぱいに入った豆を、みんなで少しずつ取って、ドアの内から外へ三回、思いっきり豆を投げ、「鬼は外!」を大きな声で唱えます。

 そして素早く移動し、今度は外から内へ三回豆を投げ、「福は内!」をこれもまた大きな声で唱え、最後にあけみちゃんの声掛けによって、福が逃げないように素早くドアが締め切られました。

 わたしは、今まで何となく豆まきをしていたけれど、そうか、豆まきも本気でしないと意味がないし、面白くないと、あけみちゃんの声掛けによって気が付きました。人生で一番楽しくて、面白くて、みんなと本気での豆まきが幸せだと思いました。きっと、今年も、なのはなは福でいっぱいです。