【3月号②】「曲と、気持ちと、世界が繋がる ―― バンドメンバー、あるべき音を目指して ――」ちさ

   
 『アップタウン・ファンク』『キュア・フォー・ミー』を完成させる!  
 黒板には、そう書いた私たちバンドメンバーの目標が張り出されています。毎週の音楽合宿ごとに二曲ずつ完成させるペースで練習を進めています。曲はたくさんあるけれど、みんなで足並みをそろえて一つひとつ丁寧に形にしていけることが嬉しいなと思っています。  

 個人練習や、体育館での本番に近い合わせに加え、近い役割(パート)同士でのバディ練習、音楽室での合わせ、などいろいろな形で練習を進めて行っています。この新しいやり方が私はとても好きです。  
  
  
 色々な視点、側面から自分の課題を知ることができたり、いきなりの合わせではつかめない音の調和を感じられたり、細かい視点でよくしていけるなと感じています。

■曲の景色、未来を見て  

 特に音楽室で輪になって演奏するとき、外に向かって発信するための演奏とは違って、気持ちを向け合って作っていく感じがとても好きです。それはひとことでいうと、バンド会議! という感じです。  

 音楽を作ることはとても難しいです。譜面通りに弾けば音は出たとしても、それは音楽にならない。 音楽とは人と人との間にあるものだと、お父さんがいつも教えてくれます。  

 自分たちが伝えたいことがないと音楽は生まれません。 譜読みをして形にし、まずは音を作る。しかしその段階は、暇つぶしにおしゃべりをしているのと同じなのだなと思いました。
   
    
 ステージでは、ただのおしゃべりがしたいのではない。本当に伝えたいことがあって、その手段として私たちは奏でているのだと思いました。気持ちや景色が見えて初めて音に意味が生まれるんだと思いました。  

 『エイント・ユア・ママ』のバンドとコーラスの合わせをしているときにあゆちゃんが、
「音の形が見えていて初めて歌えるんだよ。自分の出す音に理想と責任がないといけない」  
 そう教えてくれたことが、とても印象に残っています。

 それはテトリスのコマみたいにくっきりと見えるもの。  
 このお話を聞いたとき、音楽を作っていく自分の気持ちの甘さを知りました。  
  
  
 音のイメージやそのフレーズに込める思いをあゆちゃんが話してくれるとき、曲と自分たちの気持ちと世界とがつながっていくのを感じます。曲の景色や、未来が見えます。そうやってあゆちゃんは音楽を作っているのだなということを感じ、そうでないといけないのだと思いました。

■あるべき音を 
  
 理想を持つとき、二つのことが必要だと思いました。一つは原曲を何度も何度も聞き込み、自分の出したい音のイメージをはっきりと形として描くこと。もう一つは、自分がその曲やその音で何を伝えたいのか、自分の言葉でかみ砕くこと。  

 それはとても難しいことだと感じるけれど、どこまでも気持ちを透明にして、体中の神経を研ぎ澄ませて、あるべき音を見つけられるまで向き合い続けたいです。