スプリングコンサートへ向けて、卒業生ののんちゃんからの、本格的なダンスの振り入れが始まりました。
一月に新しくのんちゃんが振り入れをしてくれた曲は、『マディ・ウォーターズ』『バード・セット・フリー』『ホーリー・ウォーター』『ハッピー・フェイス』の四曲です。
「お母さんが何を言わなくても、いつも、のんは、思った通りの振付けにしてくれる」
お母さんがそう言うように、まるで元からその形があったかのように、それぞれの全く違う世界観の曲に、ぴったりと合った振付けを、のんちゃんは作りだしてくれます。
のんちゃんの振付けには、伝えたい思いが凝縮されているため、踊りこむほど、心持ちも深く、強くなっていきます。
また、のんちゃんは、大人数の、それぞれ違う動きのある振付けを、最初から最後まで笑顔で、明るく、私たちに伝えてくれます。
のんちゃんは常に意志を持っていて、こうあるべき、という答えがあります。のんちゃんの持つ大きな力や、心持ちからも、学ばせてもらうことばかりでした。
そんな、のんちゃんからの振り入れをしてもらえることが、本当に貴重で、かけがえのない経験だと感じました。
■曲のイメージを深めて
『マディ・ウォーターズ』は、あけみちゃんとしほちゃんが細胞の核になって、私たちは円になって取り囲み、動きで、うねりや分裂、爆発を表現します。
中には前転をして、円を広げたり、仰向けになって、電気が走ったかのように一瞬上体を起こしたりと、今までにない、面白い振付けが盛り込まれていました。
最後には、全員がぎゅっと中心に凝縮され、爆発を起こします。中心には、腕を絡ませて立つあけみちゃんと、しほちゃんが残っている、という終わり方でした。
スプリングコンサートの、宇宙と人体、というテーマを予感させる、スケールの大きなダンスだと思いました。
あけみちゃんとしほちゃんを取り囲む、私たちは、意識を高く持ち、動きを洗練させて、全員で一つの生き物に見えるように、なっていきたいと思いました。
『バード・セット・フリー』は、ジャンヌ・ダルクのようなイメージ、とのんちゃんが教えてくれました。
その通り、サビでは、扉を開いて、鞘に手をかけ、剣を振るう振付けがありました。実際に剣は持たないけれど、これは心の剣であり、私たちの気持ちが、これから戦いに行くのだと感じました。
「私はもう、飛ぶ準備ができている」
という歌詞のように、信念を胸にして、戦いに出るジャンヌ・ダルクそのものの動きが、本当にかっこよかったです。
強い意志と、女性の持つしなやかさを兼ね備えて、美しく踊れるようになりたいと思いました。
『ホーリー・ウォーター』は、のんちゃん、あけみちゃん、しほちゃん、なるちゃんがメインで踊り、私たちは、高いところから四人を見下ろすようにして、踊ります。
どこまでも清らかな水を、手のひらで天に捧げるような、美しい振付けが、象徴的に繰り返される曲でした。
この曲は、春の山に、美しい水の湧き出る湖があって、木漏れ日がキラキラと降り注いでいるかのような、透き通った印象がありました。本当に綺麗な曲だと思いました。
振付けも、透き通った世界に吸い込まれていくかのように、美しかったです。瞳にたくさんの光を入れて、希望を持って踊りたいと思いました。
『ハッピーフェイス』は、少し異色な空気感のある曲でした。
初めてこの曲を聴いたときは、背筋がぞくっとするような、底知れなさを感じました。コミカルなメロディの裏に、深い悲しさがあり、世界観にぐっと引き込まれるようでした。
のんちゃんに振り入れをしてもらったとき、この曲のイメージと振付けがぴったりと重なっていて、踊りながら、感情が溢れてくるように感じました。
「意志を持っているけれど、操り人形なの」
と、のんちゃんが教えてくれました。
ピエロの笑顔に隠された、大きな怒りと、悲しみ、強烈な心の叫びが、全身を使った動きで、表現されていました。
振付けの中には、片足で空気椅子に座るような振付けもあり、テンポも速く、とても難しいダンスでした。
まずは振りを完全に身体に入れること。そして、ブレずに踊れるようになること。必死に踊るのではなく、余裕を残して、魅せるダンスにすること。その上で、気持ちを出して踊ること。
■本番に向けて
私はまだ、課題が山積みです。果たして、ちゃんと形にすることができるだろうか、という大きな不安があります。
けれど、本当に素敵な、のんちゃんの振付けのダンスを踊らせてもらえることが、とても嬉しいです。ピンチをチャンスに変えて、本気で練習をして、伸び伸びと踊れるようになりたい、と思いました。
のんちゃんのダンスを、たくさん踊らせてもらえることが、本当に嬉しいです。とにかく踊り込んで、気持ちも身体も、強く、なっていきたいと思います。