【新春号㉕】「赤い襷と笑顔で繋ぐ ―― 第五十回勝央町一周駅伝大会に出場 ――」よしみ

勝央町1周駅伝大会は7つの区間に分かれた、約21.8キロのコースを襷で繋ぎ、レースの順位とタイムを競う大会です。約3週間前から練習を始め、本番に挑みました。結果は一般女子の部で総合優勝。また、6つの区間で区間賞をいただきました!

  
 「頑張ってね!! 私も応援行くね!!」

 前日の夜、すれ違うたびにみんなが声をかけてくれて、いよいよ明日が本番なんだと気が引き締まりました。

 十二月十二日(イッチニッ、イッチニッの日でした)、第五十回勝央町一周駅伝大会が行なわれ、今年はなのはなファミリーから一チームが参加しました。

■初めての駅伝

 私は、今回の大会で初めて駅伝メンバーとして走らせていただくことになりました。なのはなに来るまではマラソンなんてほとんど走れなかったし、なのはなに来てからもまだ数回しかランニングを経験していなかったので、駅伝メンバーに選ばれたとき最初は不安な気持ちでいっぱいでした。

 駅伝大会に向けて練習が始まったのは、大会当日から約半月ほど前でした。練習メニューは、主に古吉野の周辺のランニングです。
      

大会当日は全員で応援に行き、鳴りものを使って選手に声援を送りました

  
 いくつかコースがあり、最初は一番易しくて走りやすい梅の木コースからスタートして徐々に身体を慣らしていきました。梅の木コースに慣れてくると、次はすごく急な坂道がある石生一周コースを走り、体力と気力も鍛えていきます。

「石生の坂を走ることができたらフルマラソンも走れるよ」

 とあゆちゃんが話してくれて、石生一周コースをランニングするたびに、最初は全然なかった自信も少しずつついていきました。
  

小・中学生や社会人の選手など、全二十二チームが集まりました

   
 なのはなのランニングでは恒例の、みんなでのお題回しもあって、駅伝練習期間中もメンバーのみんなで毎回様々なお題についてコメントを回しながら走り、同じコースを走っていてもいつも新鮮な気持ちで走ることができて、とても楽しかったです。
    
 練習の終盤では、石生コースを自分のペースで走る練習もしたのですが、そのおかげで駅伝の実際のコースでのペース配分の目安も掴むことができたなと思います。

 それに、一区間の距離も、梅の木コースや石生コースと大体同じくらいだったので、本番もこれまでのランニング練習と同じ感覚で走ることができました。みんなと一緒にランニングをした時間が本当に楽しくて、練習してきた過程は自分にとって、とても大切な時間になりました。

■いよいよ出発

 そしていよいよ駅伝大会当日。前日からすでに緊張でドキドキしていたけれど、前日の夜の集合のときにお父さんとお母さんが応援の言葉をくれたり、なのはなのみんなもお風呂や廊下で会うたびに、「頑張ってね!」と声をかけてくれて、みんなからたくさんパワーをいただきました。
    

     
 それに、今回の駅伝大会ではコロナの影響で声での応援ができないと聞いていたのですが、みんながタンバリンや鈴などの応援グッズを持って応援に行くよと言ってくれてすごく嬉しかったです。

 その日の夜は緊張でいつもより全然眠れず、一時間おきに目が覚めたりして、まさに私は運動会前の小学生みたいな状態です。

 当日は駅伝メンバーのみんなでいつもより早めに朝食をいただいたのですが、朝食の席には一人ひとりに赤いシュシュが置かれてあり、みんなの頭についたお揃いのシュシュを見ると、自分は一人じゃないことを改めて感じて、みんなの存在が本当に心強く思いました。 
  
 午前八時に古吉野を出発し、開会式が行なわれる勝央町役場へ向かいました。この場所は駅伝大会のゴール地点でもあり、ゴールの看板も設置されてあって、それを見て私は、「あぁ、本当にいよいよ始まるんだな」と実感して緊張は更に高まります。

 マネージャーをしてくれるあゆちゃんが、開会式が始まる前、受付での手続きをして、一人ひとりにゼッケンを配ってくれました。

 私に配られたゼッケンには【三一五−五】とかかれてあり、【−】のあとの数字が何区かを示していました。
  
  
 受付のときにいただいたセットのなかには人数分の手袋や水分補給用のお水なども入っていて、当日は比較的寒さは厳しくなかったものの、やっぱり手先が冷えてくるので、暖かい手袋がとてもありがたかったです。
   
 開会式が始まる前、一区と二区の人が出発する放送がかかりました。なのはなでは一区をのりよちゃん、二区をせいこちゃんが走ります。二人とも少し緊張した様子もあったけれど、笑顔で、「行ってきます!!」と言って出発していきました。

■赤い襷を肩にかけて

 三区のえみちゃん、四区のりなちゃんも出発し、いよいよ五区の私と六区のちさちゃんも出発の時間です。あゆちゃんと七区のやよいちゃんに手を振り、二人でバス乗り場へ移動しました。
  
  
 五区のバスが出発するとき、ふと窓から外を見るとちさちゃんが手を振ってガッツポーズをしてくれていました。声は聞こえないけれど、ちさちゃんが、「頑張ろ!!」と言ってくれているように感じてとても嬉しかったです。

 五区は豊久田のぶどう選果場からスタートします。五区の中継所に着いてからは、五十分ほど待ち時間がありました。
  
  
 まわりには自分の知っている人は誰もいなくて少し心細くなっていると、一台の車が通り過ぎ、窓から、「よしみちゃん!!」と私を呼ぶ声が聞こえてきました。ハッとして車のほうを見ると、五区を応援してくれるなのはなのみんなが窓から笑顔で手を振りながら、「頑張ってね!!!」と言ってくれて、みんなと会えただけで一気に緊張がとけたし、それと同時に力がみなぎってきて、「自分は一人じゃない。みんながいるから大丈夫だ!」と思うことができました。
  

  
■みんなの力があって

 十時五十分ごろ、すでに出場チームのうち半分ほどの男性チームは四区から五区の人に襷を渡していて、もうそろ四区のりなちゃんが来るころかなと思いながら、りなちゃんの姿が見えるのを待っていたときです。
  
  
 遠くから女の子が走って来るのが見えました。その女の子が猛スピードで近づいてきて、私は駅伝の役員の方がゼッケン番号を言うよりも早く、その女の子がりなちゃんだということを真っ先に確信しました。

 「りなちゃーん!!」と叫んで大きく手を振ると、りなちゃんも私に気づいてくれて笑顔を返してくれます。四区の間にある長い坂道を走って来たとは想像できないくらい、りなちゃんの走りは軽やかで速くて本当にかっこよかったです。

 りなちゃんが二十メートル、十メートル、五メートル、とだんだん近づいてきて、そして、「よしみちゃんファイト!!」と言いながら私に力強く襷を渡してくれました。

 一区ののりよちゃん、二区のせいこちゃん、三区のえみちゃん、そして四区のりなちゃんが全力で走って繋いできた赤い襷を肩にかけ、いよいよ自分の走る番です。
  
  
 五区の総距離は二・八キロ、最初は平坦な道が続きますが、終盤に山を越えるため大きな上り坂があります。一度も走ったことのないコースなので、不安は積もるほどありました。

 坂道があるとは聞いていましたが、どの地点で坂を迎えるのか分からないため、どうペース杯分を作れば良いか分からないまま走りました。

 ただ、ランニング練習で石生一周コースを走っていたので、駅伝のコースもきっと走れるだろうと思うことができたなと思います。しかし、少し自分の力を過信しすぎて最初からペースを上げて走ったため、中盤くらいからはもうすでに苦しかったです。

 五区は車通りが少ない道で、走り始めは人の姿もあまりありませんでした。ですが、走っていると地域のおじいさんやおばあさんが道路脇で立っていてくださり、「頑張って!」と手を振って応援してくださりました。

■みんなの応援を力にして

 丁度走り始めて半分を過ぎたころ、前方から何かの音が聞こえてきます。前を向くと、少し先でなのはなのみんながタンバリンや鈴を鳴らしながら私が来るのを待っていてくれました。

 みんなの前を通り過ぎたあとも、また車で私を追い越して少し先で待っていてくれたり、他の区間の応援だったみんなも次々と駆けつけてきてくれて、ずっとずっと応援してくれていました。どこを走っていてもなのはなのみんなが立って応援してくれていて、みんなの存在が本当に心強くて嬉しかったです。
  
  
 最後に控える上り坂は、これまでの練習よりも少し苦しく感じました。きっと一人だったらペースダウンしていたと思います。

 ですが、登る途中でも、登り切った途中でもお父さんやお母さん、なのはなのみんなが応援してくれました。みんなの応援に応えながら

走っていると、気がついたら坂を登り切っていて、そのときの自分は、自分の力ではなくみんなの力で走ることができていたと思います。

■楽しい気持ちでいっぱい

 最後までなのはなのみんなや地域の方々が暖かい応援をしてくださって、そんななかで走らせていただけて本当に自分は幸せ者だなと感じました。苦しさなんか途中から吹き飛んで、楽しい気持ちでいっぱいでした。 

 坂道を下っていくと、百メートルほど先に六区の中継所が見え、赤いシュシュをつけたちさちゃんが見えました。
 
  
 ちさちゃんは私を見つけると大きく手を振ってくれて、私はそのとき、ちさちゃんに少しでも早く襷を渡したい気持ちで残っている力を全て出して走っていたと思います。

 どこにこんな力が残っていたのだろうと不思議に思ったほどです。「ちさちゃんファイト!!」と言って襷を渡すと、ちさちゃんは、「ナイスファイト!!」と言って笑顔で軽快に走り出していきました。
  
  
 走り終わったあとも、なのはなのみんなが、「お疲れ様!」と言ってくれて、走り出してからはあっという間だったけれど本当に心も身体も満たされた気持ちになりました。

 その後はバスに乗ってゴール地点の勝央町役場前まで帰り、最終区を走っているやよいちゃんが帰ってくるのを、応援しているみんなと一緒に待ちました。
  

  
■一般女子の部で優勝!

 なのはなのみんなが持つタンバリンや鈴などの音が鳴っていると、声は出せないけれどとても活気のある空気になります。それに走っていてもすぐになのはなのみんなだと気づくことができて、とても嬉しかったです。
  
  
 少し待っていると、やよいちゃんの姿が見えてきました。やよいちゃんはキラキラとした華のある笑顔で帰って来て、みんなの代表として最終区を走っているやよいちゃんがすごく奇麗でかっこよかったです。
  
  
 駅伝大会の結果は、一般女子の部で優勝でした。

 一区ののりよちゃんから始まり、二区のせいこちゃん、三区のえみちゃん、四区のりなちゃん、五区の私、六区のちさちゃん、そして七区のやよいちゃん。みんなで力を合わせて襷を繋いでできた優勝でした。
  
  
 それに、この優勝は駅伝メンバーだけの力ではなくて、なのはなのお父さん、お母さん、みんなの力で得ることのできた結果だと思いました。それに、永禮さんや須原さんも応援に来てくださっていて、本当にたくさんの方々に支えられて自分も走らせていただけたことが本当に本当にありがたかったです。
  
  
 今回の駅伝大会で感じた気持ちをしっかりと心に入れて、これからもなのはなのみんなと一緒に成長していきたいです。