【新春号⑮】「スペシャルなクリスマス ―― お餅つき、アンサンブル、ゲーム大会 ――」せいこ

 クリスマスに、なのはなではお餅つき大会を行ないました。

 なのはな友の会のゲストの方も来てくださり、一層にぎやかで活気ある空気が、十二月二十五日の古吉野いっぱいに広がります。中庭では、みんなで代わり番こに杵と臼でお餅をついていきました。
  
  
 「よいしょ! よいしょ!」

 日頃の畑作業で培った力強さを存分に発揮して、手早くお餅をついていくみんながすごくたくましかったです。
  
  
 私は、午後のクリスマス会に備えて、朝から、サンタに変身してつきあがったお餅を丸めていたのですが、サンタがお餅を丸めているという姿も、周りからみると、なかなか面白かったみたいです。 

 三が日でみんなでいただくお雑煮のお餅や豆餅も、二時間ほどであっという間についてしまって、改めて、みんなの力のすごさを感じました。
  

■クリスマスにお餅つき

 お餅つきをした午後には、クリスマス会を行ないました。アンサンブルメンバーによる演奏と、ゲーム大会。
  
  
 サンタやトナカイになった私たちアンサンブルメンバーは、年末年始に作東バレンタインホテルで演奏する曲目を一足早く、みんなにお披露目することができました。

■みんなに演奏をプレゼント

 私は、サックスのさとみちゃんと、ドラムのかにちゃんとのアンサンブルで、『キャラバンの到着』という曲を演奏させていただきました。

 印象深いメインテーマのフレーズを耳にすると、すぐさまこの曲の大人っぽい世界観に引き込まれます。

 ジャズワルツのメインテーマから、中盤は四拍子のスウィングのリズムを行ったり来たりして、調号もコロコロと変わる曲で、難しいのですが、弾けば弾くほどこの曲の彩りが豊かさに魅了されて、私の大好きな曲の一つになりました。
  
   

 なのはなに来る前までにも、私は、楽器を演奏する機会が少しあったのですが、当時は、演奏したり、音楽を聴いたりするのがものすごく辛かったです。そのときは、なぜこんなにも音楽に触れることが辛いのかがわからなかったのですが、今思うと、当時の私の周りには、「音楽のための音楽」ばかりが蔓延っていました。

 私の周りの人が、「良い曲だ」「こんな風に演奏したら良い」という曲は、いくら音楽的にすごい技術だったりしても、私の心の中まで救ってくれるものではなくて、私は、何を目指して、どんな気持ちで演奏したら良いのか、という肝心なことが、ずっとずっとわからないままで、それが辛かったのだと思います。

 なのはなの演奏では、いつだって、演奏する曲を通して、「何を伝えたいか」をみんなで考えます。 

  

ツインギターの新曲『インスピレーション』

   
 お父さん、お母さん、みんなのおかげで、少しずつ自分の傷が癒され、生きる意味を教わるなかで、私は、「誰もが心に深い傷を負うことのない、あるべき世界」を表現する手段としてなら、心の底から幸せを感じて音楽が奏でられることを知りました。

 今回のアンサンブルの演奏の練習のなかで、もう一つ大好きになった曲があります。さやねちゃんの演奏する『ナユタ』です。さやねちゃんが奏でる音は、一音一音に気持ちが込められていて、繊細です。そして、ギターに向かうさやねちゃんの表情には祈りが込められているように感じます。

 原曲をどこまでも聴き込み、自分のものにして、その上で、さらに原曲を昇華して、もう一段階高みの精神を表現しているさやねちゃんが本当にすごいと思いました。

 私もさやねちゃんのように音楽に向き合い続けたいと強く思います。そんな尊敬するアンサンブルメンバーのみんなと、クリスマス会の演奏もできて、すごくありがたかったです。演奏のあとには、アンサンブルメンバー主催の、ゲーム大会を開催しました。

 一つ目は、「進化系玉入れ」。ただの玉入れとは一味違います。

 体育館に円状にコーンを並べ、円の内側で、アンサンブルメンバーは、籠を背負って、くるくると走り回ります。
  
  
 そして、チームにわかれたみんなには、円の外側から動き回る私たちの背負った籠に玉を入れてもらうというものです。

■お楽しみゲーム大会

 私は、「自分の籠には玉を入れさせまい!」となるべく不規則な動きを入れながら逃げ回っていたのですが、時々、一瞬にして五つくらい玉を入れられることもあり、すごく悔しかったです。

 チームは六チーム、したがって六回戦行なったので、終わったときには、さすがにくるくる回りすぎて、満身創痍。

 それも含めて、とても楽しかったし、みんなも楽しんでくれていたみたいで嬉しかったです。

 続いてのゲームは「○×クイズ」。

 お正月飾りや、神社のお参りの作法、おせち料理や、各地のお雑煮などに関するクイズを、正解した人だけが次の問題に進めるという方式で行ないました。
  
  
 クリスマスカラーを取り入れたコーディネートで、お洒落したみんなが、ああでもない、こうでもない、と考えながらクイズを楽しんでくれて、私たちも温かい気持ちでいっぱいになりました。

 そのあとには、しめ縄づくりを、盛男おじいちゃんに教えていただきました。

 おじいちゃんがいてくださるおかげで、毎年、お正月の飾りを自分たちで作ることができ、気持ちを正して新年を迎える準備ができるのが、すごくありがたくて嬉しいことだなぁと、つくづく感じます。

 みんなで作ったたくさんのしめ縄は、古吉野の廊下や部屋にたくさん飾ることができました。

 なのはなのクリスマス。昨年は特に、たくさんのイベントが盛り込まれた楽しい一日となりました。二〇二二年も、良い年になりますように。