十二月も半ばに入ったころ、とっても太くてとっても立派な竹が軽トラに載って運ばれてきた。
盛男おじいちゃんの山から、みんなが門松用に頂いてきた物だ。
なんて奇麗で大きいんだろう!と思って気になっていたから門松作りの作業に呼ばれたときはすごくわくわく嬉しかった。
おじいちゃんとの作業も初めてだったので、さらにどきどきした。盛男おじいちゃんに教えていただきながら、竹を切ったり組み立てたりしていく。
組み立てるときに使う棕梠縄の使い方一つでも、たくさん教えていただけることがあり、びっくりした。
結び方一つひとつが奇麗に見えるためだったり、固く結べてほどけないようにと男結びをしてくださったり、しっかり意味があっての縛り方、結び方で作っていくんだなあと教わった。
門松の土台の周りに巻く縄を藁でなうときには、おじいちゃんが経験された戦争中のお話もしてくださった。
その場に生えている植物を藁のように手でなって、ロープを作り、十数メートル下の洞窟へ降りて隠れていたそうだ。
そこでどう生き抜いていたか、食料はどうだったのか、そばにいる人の様子まで細かく描写された話を聞いていると、どんどん引き込まれてつい手が止まってしまうほどに聞き入っていた。
本当に死と隣合わせの中を生きていらっしゃったんだなあと思うと、自分の何かに対しての怖いという気持ちがとても小さいものに感じた。
おじいちゃんの話し方はとても真剣だけれどユーモアもあって、もっともっとお話ししてもらいたくなった。
門松の土台ができあがり、飾りつけもさせてもらう。どれも自分たちで集めてきたもので、松や梅まで切ったものを使うので驚いた。
そういえば門松って作ったことがないし、ちゃんと見たことも無かった。松竹梅揃って、そのほかおめでたいものだらけの門松は、誰が見てもとっても豪華で立派なものにできあがった。きっと、こんなに素敵な門松は、どこを探しても見つけられないなあと思う。
おじいちゃんとみんなの暖かい空気のなかで作らせてもらえたことが本当に嬉しかったし、すごく楽しかった。
またおじいちゃんのお話を聞きながら、たくさん色々なことを教えていただけたらいいなあと思う。
玄関を通るたびに凛と立った二つの門松を見て、これを作ったんだなあと心の中で誇らしくなっている。