【新春号⑦】「あなたの独楽は回るコマ!?ハラハラ、ドキドキ、コマ回し大会!」りな

 二人羽織から始まって、書き初め、百人一首……元日から、家族みんなとたくさんのお正月遊びをしました。今日は、三が日、最後の日です。この日の午後は、コマ回し、羽根つき大会です。

 体育館の入り口には、チームわけが書かれた紙が貼られていて、私はあゆちゃんリーダーの、緑チームでした。
  
  
 ピンク、オレンジ、黄色……色分けされたチームが全部で六チームあり、全六チームで戦います。そのチームの色のフリースを着ると、誰がどのチームなのかがよくわかるし、体育館全体が、とてもカラフルに、色鮮やかになりました。

■独楽の舞台

 体育館のステージ側には、木枠のついた、ベニヤ板で作られた大きなコートが。ここでコマを回すんだなあと思って、ワクワクしました。全チーム揃ったところで、実行委員さんの寸劇が始まりました。

 宇宙に新しくできた『ナノ星』。ナノ星から、何やらここ、なのはなファミリーでしているお正月遊びを、こっそりと覗き見ている人たちがいました。

「あれは何をしているコマ?」

「私たちが住んでいるところでは、重力がなくてできないハネ!」

 何やら話し合っている人たちは、不思議な格好をして、まるで宇宙人のよう。その中で赤い色をした、一際目立つ宇宙人は、りゅうさん演じる、宇宙人たちを引き連れる隊長のようでした。
  
  
 宇宙人たちは、私たちがしているお正月遊びに加わりたくて、地球へ着陸します。宇宙人たちの、規則正しい動きや、ちょっぴり可笑しい動きがとても可愛くて、体育館がほんのり暖かい気持ちで包まれました。

 実行委員さんの寸劇を見て、私も、ナノ星の宇宙人のように、早くコマ回しと羽根つきがしたくなりました。実行委員さんがお手本で見せてくれるコマ回しは、見ていても気持ちが良いぐらい綺麗で、凄いなあと思いました。

 コマ回しは、コマが回り続けるタイムで競い合います。コマの配布は、チームリーダーさんがくじをひいて、引いたくじのコマをもらいました。

 コマ回し、と聞くと誰もが木ゴマを思い浮かべるのではないかなあと思います。しかし、なのはなのコマ回し大会は、木ゴマだけではなく、アルミゴマ、手回しゴマ、糸引きゴマの四種類があって、それぞれの種類ごとに対決します。

 あゆちゃんがくじを引いて、チームメンバーのもとへもってきてくれたコマセットの中には、手回しゴマ一つ、糸引きゴマ二つ、アルミゴマ二つ、木ゴマが二つはいっていました。そして、どれも袋の封が切られていない新しいものでした。

 どのチームも、新しいコマを使っての対戦で、技術がより重要になってくるのだなあと思いました。
  
  
 練習の時間が三十分間あり、その時間で、チームの中で誰がどのコマを使って試合に出るかを話し合います。練習時間の中で、一人が四種類のコマを回せるように、みんなでコマを交換しあいました。

 私は、お正月遊びのなかで唯一、得意だと思っていたことが、コマ回しでした。糸引きゴマや、アルミゴマはあまり回せないけれど、前回は木ゴマを回すことができました。

 今回も、私は木ゴマの試合に出たいな、と思って木ゴマを練習時間に回してみると、何回も失敗をしてしまいました。木ゴマがあまり回せなくなっていたことが少し悲しかったのですが、これまであまり回してこなかった他のコマにも挑戦することができました。

 色々なコマを回してみると、大きさも形も全く同じの種類のコマでも、回り方やバランスが一つひとつ違っていることに気が付きました。

 これまで、回す練習だけして、コマに着目することはなかったけれど、今年初めてコマに着目して見ることができて、コマもそれぞれ性質が違っているんだなあと知ることができました。そして、アルミゴマや、木ゴマは紐も重要なポイントの一つです。

 相性の良い、コマと紐を探し出していくのが、何だか一緒に試合に出る相棒のようだなあと思って、嬉しかったです。
    
 コマは見た目もとてもカラフルで鮮やかでした。一つひとつのコマに塗られている色が違っていて、コレクションしたくなるぐらい可愛いなあと思いました。

 そして、糸引きゴマは先端に、丸い頭がついて、その下に糸がくるくると回る輪があって、下には丸みを帯びたコマの本体があります。

 言葉で表すことは難しいけれど、糸引きゴマを見ると、実行委員さんが演じていた宇宙人を思い出すような、不思議な形をしていて、回っている光景も、少しUFOのようだなあと思いました。私のチームの糸引きゴマは、赤、白、青に塗られていて、とてもかっこよかったです。

■回る! 回る!

 手回しゴマは、きのこのような形をしている小さなコマで、親指と人差指で捻じりながら離して、回すコマです。私はこれまで、きのこのかさの部分の、丸くなっているところがくるくると回るのかなあと思っていました。しかし、実行委員さんのデモンストレーションで、反対の、細い棒のような部分が軸となって回るのだと知りました。

 そして、正式には、芯棒を上から指で持ち、回すようです。すると、最初は丸い部分が地面についてまわるけれど、次第にコマ自身で丸い部分を持ち上げて逆さになり、芯棒を軸にして回るのだそうです。

 その光景が見たくて、何回も試してみたけれど、丸い部分が持ち上がるところまではいくけれど、そこでコマが力尽きて、芯棒を軸にして回るところまでは見られませんでした。でも、高速で回転しながら、どんどんと形を変えていく手回しゴマは、見ていてもとてもワクワクして楽しかったです。
  
  
 アルミゴマは、木ゴマよりも軽くて、紐を引くときも、コマを繊細に感じなければいけなくて、ちゃんとアルミゴマが地面に着地するかどうか、ドキドキしました。失敗したかもしれない……そう思って見ると、少し身体を揺らしながらも、奇麗に回っていて、とても嬉しかったです。

 練習時間に全員が全種類のコマを回してみたところで、作戦会議を立てました。試合は全部で十二試合。一種類のコマで、三回戦戦うことができます。私は、手回しゴマとアルミゴマの二試合に出ることになりました。

 試合は、ステージ側の、大きなコートの中で戦います。どのチームのコマが、どの段階で止まったのかを明確にするために、チームの中で審判係を作って、チームのコマが回っている間は、ネームプレートを上げて、コマの胴が板についた時点で、ネームプレートを下げます。

 緑チームでは、あゆちゃんとななほちゃんが審判係になってくれました。

 最初の試合は、手回しゴマ対戦です。まよちゃん、さとみちゃんが、全チームのなかで、三位という良い結果を出してくれました。良い流れを崩さないよう、気持ちを引き締めて試合に出ました。

 全てはこのコマにかかっているんだなあと思うと、「コマよ、頼んだ!」と言いたいような気持ちになりました。「よーい、スタート!」の合図と共に、できる限りの速さで親指と人差指をこすり合わせて、コマを飛ばせました。 

■「コマよ、頼んだ!』

 六つのコマが、コートの中で、くるくると模様を描いて勢いよく回っていきます。目の前には、さっき飛ばしたばかりのコマが、少しゆらゆらしながら、けれど力強く回っています。

 コマに手を合わせて、「頑張れ! 頑張れ!」とエールを送り続けました。すると、コマも応えるように、最後の力を振り絞って、回り続けてくれました。コマが心強い仲間のように感じました。  

  
 コマが力尽きて止まってしまったときに、ふと周りを見てみると、まだ回っているコマが二つしかありませんでした。結果は、三位でした。後ろを振り返ると、同じチームのみんなが笑顔でハイタッチをしてくれて、とても嬉しかったです。

 そのあとも、手回しゴマ、アルミゴマ、木ゴマへと試合は移っていきます。手回しゴマが六つ、回っている光景はとても可愛かったし、まるでUFOが動いているみたいでした。アルミゴマや木ゴマは、色とりどりの円が空中に作られて、とても華やかな模様を作っていました。

 そして、周りを見てみると、誰もがチームのコマに、手を合わせて、祈るような気持ちで見守っていました。コマに大きな声援をおくっている人もいました。
  
  
 コマは、人ではないし、生物でもないけれど、コマを回す人が気持ちを込めて送り出したコマは、命が吹き込まれたかのように、活き活きと見えました。そして、応援しているみんなも、まるで生きているかのように、コマを見守っていました。

 コマ回しならではの真剣さと暖かい空気があって、そのなかでみんなと遊ぶことができてとても嬉しかったです。コマと、コマを回す人との間にちょっとしたストーリーがあって、観戦していてもとても楽しかったです。チームから代表としてでたコマを、みんなでしゃがんでコマにエールを送っている時間もコマと同じぐらい緊張感があってハラハラドキドキして、気持ちが燃え立ったなあと思いました。

■『ナノ星』に着陸!

 木ゴマの試合のなかで、とても面白いコマがありました。木の枠の真ん中に、胴が地面についてしまうのではないかと思うほどにグラグラと揺れているコマがありました。
 
 
 しかし、辛うじて重心がぶれているものの、地面にはついていません。限界のところで、ずっと踏ん張っているコマに目が釘付けになって、他のチームのコマだけれど、ああ、もう少しで止まってしまうのかな……。頑張れ! と心の中で応援していました。

 すると、次々と、奇麗に高速回転していたコマ達が力尽きて止まってしまうなかで、その一つのコマだけは、どんどん加速して、ふらついていた胴が真っ直ぐに立て直されてくるではありませんか! 
  
  
 一番不安定だったコマが、最後まで生き残り、一位となった逆転劇のあった試合は、見ていても次が想定できなくて、ハラハラしてとても楽しかったです。

 コマ回し大会が終わったかと思った矢先、また宇宙人が現れて、宇宙に新しくできた『ナノ星』を紹介してくれます。

 そして、私たちの目の前にあるコートの中にも、さっきまでにはなかった『ナノ星』があるではありませんか! そう、このナノ星にコマを無事着陸させることができるかどうか、名人戦始まりです!
  
     
 ナノ星は、みかん台でできていました。六つのコマがこの上で回ると窮屈なほどの大きさの台でした。コマは、木ゴマを使います。

コマが台に乗って、さらに回っていることが条件で、着陸成功とみなされます。緑チームでは、一試合目にゆりかちゃん、二試合目にあゆちゃんが出てくれることになりました。

 運命の一試合目。会場がシンとして、だれもが固唾を飲んで、選手を見守ります。何か発言をすると、集中力を妨げてしまうのではないかと思うぐらい、緊張感が張り詰めていました。
  
  
 合図で、六チームのコマが一斉に宙に舞います。ほんの一瞬の出来事に感じて、ゆりかちゃんの投げるコマを一瞬見失い、何があったのか少しの間、飲み込めませんでした。

 台の上で唯一回っているコマがありました。ゆりかちゃんの投げたコマでした。「やったー!」ゆりかちゃんのとびきりの笑顔が飛び込んできて、チームのみんなと抱き合って喜びました。無事、ナノ星に着陸することができました! 宇宙人から報酬としてもらったのは、宇宙人にとって一番おいしいという「ミカン」でした。
  
  
 コマ回し最終結果は、緑チームは四位でした。一位になれなかったことは悔しかったけれど、たくさんの種類のコマを回すことが出来るようになって、コマに命を吹き込んで、真剣勝負する時間が、とても楽しかったです。家族みんなと、お正月にコマ回し大会を出来て、嬉しかったです。