「優しさに包まれた成人式」 りんね

 

 私は、なのはなに来るまでは、自分が成人のお祝いをできると思っていませんでした。成人を一緒にお祝いできるような、仲間もいなかったし、大人になることに希望がありませんでした。
 振袖や、お祝い、思い出作り、といったことは、自分にとって縁遠いものだと思っていました。

 なのはなに来て、お父さんお母さん、大勢の家族に受け入れていただき、みんなの中で日々の役割を持って、前向きに生きることができるようになりました。
 私は成長が遅く、人としてまだまだ未熟ですが、人間らしい生活を送れることは、今までの人生でも初めてのことで、自分がみんなの中で生活できていることは、奇跡的だと感じられます。

 今では親しみを持って接してくれる家族が大勢いて、成人式も、なのはなの子としてお祝いして頂けることになりました。
 曲がりなりにも、なのはなの子として認めてもらえていること、優しい気持ちをたくさん向けて、惜しみなくお祝いをしてくれる家族がいること、正しい成人としての心持ちを教えてくれるお父さんやお母さんがいること……そんな環境にいられることが、本当に恵まれていると感じました。
 改めて、なのはなで成人をお祝いして頂けたことに、深く感謝しています。

 

 

 今年の成人は、卒業生のひなのちゃん、えみちゃんと、私の3人でした。
 ひなのちゃんは鳥取の大学で勉強をしていますが、成人式には帰ってきてくれて、一緒に撮影やお祝いもすることができました。ひなのちゃんが帰ってきてくれて、一緒にお祝いできたことが、とても嬉しかったです。

 1月5日、計画立てから、成人式のフォトムービー作りが始まりました。6日から9日の当日まで、フォトムービーチームのみんなの中で、たくさんの撮影をしていただきました。
 フォトムービーチームは、かにちゃん、あゆちゃん、ゆりかちゃん、ななほちゃん、つきちゃん、りなちゃん、さやちゃん、まなかちゃんでした。ちさちゃんやはるかちゃんも、学校のレポートの合間に、応援に来てくれました。
 撮影の期間中、かにちゃんを中心にしたチームのみんなに、いつも支えられていました。
「将来、自分の子供に見せたときに、お母さんはこういう人たちに囲まれて、こういう生き方をしていた、ということが分かるような、子供にも希望になるようなムービーにしていきたい」
 かにちゃんが、フォトムービーを作るときの気持ちを教えてくれました。そして、私の好きなこと、どういう風に自分を見せたいか、ということも尊重した上で、いいものを作るために尽力してくれました。

 最初はとても緊張していて、不安でいっぱいでしたが、計画立てのときにチームのみんなが、フォトムービー作りを楽しみな気持ちや、いいものを作りたい、という暖かい気持ちをたくさん向けてくれたため、気が付くと、不安よりも嬉しい気持ちが大きくなっていました。

 撮影のための衣装考案では、これが着てみたかった、という憧れの衣装も着させてもらいました。どれも今の自分にしっくりときて、ときめくような衣装ばかりで、嬉しかったです。
 撮影中は、チームだけではなく、応援に来てくれたみんなも含め、絶えずみんなから「かわいい」「素敵」と声をかけてもらい、優しい笑顔を向けてもらいました。みんなの空気感にとても気持ちが和んで、緊張がほぐれました。
 カメラマンのかにちゃんが、細かなところまで、ポーズの取り方や、表情のイメージを言葉にして伝えてくれました。
 それは、「朝起きたら、一面雪景色だったときの驚いた表情」だったり、「後ろからすごく嬉しそうな声で、名前を呼ばれて振り返ったときの表情」だったり、「レインボー・チェイサーの、虹を追いかけていくような、希望を見つめる表情」だったりと、かにちゃんらしい、思わず嬉しくなってしまうような優しい言葉でした。
 言葉を聞いてイメージすると、固まっていた表情も、動きや希望のある表情に変わっていったように思います。

 ムービーの中でアコースティックギターを演奏したい、という願望も、快く叶えてもらうことができました。
 ギターを演奏するのにも、みんなが柔らかな温かい気持ちだけで向かい合ってくれたため、やはり非常に緊張もしたけれど、ちゃんと演奏を形にすることができました。
 みんなの心が、今回のフォトムービーに表れるのだと思います。暖かく応援してくれるみんなに囲まれて、撮影期間を過ごせたことが、ありがたかったです。

 

 

 成人式の当日は、朝早くからあゆちゃん、ゆりかちゃんにヘアメイクをしていただきました。また、その様子のビデオや写真の撮影にも、まえちゃんやちさとちゃん、ななほちゃんが来てくれて、りゅうさんも、応援に来てくださいました。
 みんなが、「本当にかわいい!」と何度だって言ってくれて、緊張も和むような明るい空気を作ってくれました。
 ヘアメイクは、事前に練習も行い、振袖や、今の私にとって一番いいものを、優しさと高い技術で、作ってもらいました。
 ベースメイクは、ゆりかちゃんが得意で、ツヤのある肌にしてくれました。その他のポイントメイクや、ヘアは、あゆちゃんがしてくれました。
 あゆちゃんにメイクをしてもらうと、あゆちゃんとそっくりのくっきりとした濃い眉毛になりました。そのメイクで過ごしていると、みんなからも、「眉毛があゆちゃんと同じだね」と何度が声をかけてもらいました。眉毛だけでも、あゆちゃんと同じだと思うと、とても嬉しかったです。

 ヘアも、秘密道具を仕込んだお団子になっていたのですが、成人式の日、河上さんやたくさんのみんなから、「こりゃ、多少のことでは崩れんわ」「本当に綺麗なお団子だね」と褒めてもらいました。
 あゆちゃんから、私の髪の毛は細くて量は少ないけれど、とても扱いやすいと言ってもらって、また、あゆちゃんも同じ髪質だと教えてもらいました。そんな共通点があることを想うと、自分の髪の毛も好きだと思えて、嬉しかったです。

 

 

 振袖も、ひなのちゃん、えみちゃんに続いて、村上さんに着付けていただきました。
 村上さんは、熟練した手つきで、どんどん一人ひとりを隙のない美しい着こなしに着付けてくださいました。
 村上さんが毎年なのはなに来てくださるから、安心してなのはなから成人式へ出発できるので、本当にありがたいなと思いました。
 初めて着る振袖に、緊張もありましたが、実際に袖を通し、着付けていただくと、自分が引き締められるような、新成人を形作ってもらうような気がしました。なのはなで代々受け継がれてきた、赤い地に鶴の描かれた、美しい振袖を着させてもらえることが、本当に嬉しかったです。

 成人式の会場へ向かうと、なのはなのみんなの姿もあって、その代表として、ひなのちゃんやえみちゃんと新成人の立場であれることが、とても心強かったです。
 岡本さん、木村さん、田野さん、といった方々にも、なのはなの子として見てもらって、お祝いの声をかけていただけたことが嬉しかったです。

 会場から帰ると、全員での集合写真を撮りました。そこには、ひでゆきさんもたけちゃんと一緒に、お祝いに来てくださり、とても嬉しかったです。

 その後は那岐山を背景にして、外での撮影を行いました。外の撮影は、太陽がまぶしくて、なかなか目を開けられないけれど、冬の晴れた空の下で、気持ちが澄み渡りました。
 この日は気温も穏やかで、落ち着いて3人の撮影ができて、嬉しかったです。

 午後は、みんなが作ってくれた素晴らしい会場で、なのはな写真館の撮影を行いました。

 撮影場所は3ブースになっていて、あゆちゃん、かにちゃん、まえちゃんのそれぞれのブースで撮影をしていただきました。
 あゆちゃんのブースでは、照明のみんなの距離感がとても近かったです。蛍光灯を持ったみんなに、ぐっと取り囲まれて、目の前には大きなレンズを構えたあゆちゃん、という光景でした。もう後には引き返せない感じもあり、非日常的なワクワクした気持ちになりました。

 どのブースでも、どこを見ても、みんなの満面の笑顔がありました。多様なポーズや表情作りもカメラマンの方々から、伝えてもらって、本当にたくさんの写真を撮っていただいたことが、とてもありがたかったです。
 ポーズをとって写真に写った私は、おそらく私ではなくて、なのはなの成人の子としての、あるべき姿に写してもらったのではないかなと思います。
 溌剌としていて、前向きで明るく、自信に満ちている。そんな自分を演じられて、ありがたいなと思いました。

 

 

 最後は、二十歳の抱負を言う動画の撮影がありました。
 ひなのちゃんが、
「なのはなでみんなから優しい気持ちを向けてもらったことは、成人式の日だけではなく、今までも、ずっとそうでした。なのはなの気持ちを広げていく手段として、勉強をしていきたいです」
 と言っていたことや、えみちゃんが、
「大きな声で、明るく外向きに、いつも笑顔でありたいです」
 と言っていたことなど、2人が真剣な表情で抱負を言っている場にいさせてもらえて、とても嬉しかったです。
 私も、抱負を言うのはとても緊張していたけれど、かにちゃんが、
「編集できるから、言いやすいところから落ち着いて言っていいよ」
 と言ってくれて、なんとか撮影を終えることができました。

 私の二十歳の抱負のテーマは、「感謝」でした。未熟でも、なのはなの家族に受け入れてもらって、なのはなで一から生きていけることへの感謝を忘れないこと。
 そして、自分の拘りを無くして、相手を尊重すること。また、なのはなのみんなの利益になるように、責任を持って行動すること。
 今の自分に必要だと思うことを、言葉にすることができて、ありがたかったです。

 抱負の撮影が終わると、振袖を脱ぐパソコン室へ向かう道中、かにちゃんが付き添ってくれました。
「名残惜しいね」と言いつつ、かにちゃんの成人式のときのお話なども聞かせていただいて、嬉しかったです。
 振袖を脱いでしまうと、ほっとすると同時に、魔法がとけてしまうような寂しさもありました。けれど、本当に満ち足りた一日だったので、思い残すことはありませんでした。

 また、私は2年くらい前までは、強い頻尿に悩んでいました。ひどいときは15分に1回はトイレへ行かなければならなかったし、常に尿意があって辛かったです。
 けれど成人式の当日では、朝7時半に振袖を着てから、午後5時半に振袖を脱ぐまで、全くトイレの心配がありませんでした。そのため、生理的なことに気持ちを捕らわれることなく、一日を過ごすことができました。
 これは私にとっては、格段に生きやすくなったことでもあり、ものすごく嬉しかったです。

 夜は、お父さんとお母さんが、成人式についてのお話をしてくださいました。
 昔、武家の男の子が一人前の大人になったことを示す、元服という儀式が成人式の元になっていること。そして町が主催する成人式とは、その町でしっかりと働く大人になって、町に税金を納めてください、ということを新成人たちに伝えることが、本来の目的だと教えてもらいました。

 私もみんなにたくさんお祝いしてもらったけれど、まだあるべき心が追い付いていません。
 けれど、とにかく今の小さな自分に対する拘りを無くして、みんなの中で、少しずつ、今回私たちがしてもらったように、誰かをとても嬉しい気持ちにさせることができるような、しっかりとした大人になっていきたいです。

 

 

感想文メニュー・・

「暖かい気持ちを返していけるように」 ひなの(卒業生)

「優しさに包まれた成人式」 りんね

「みんなの中で気持ちを作り上げてもらって」 えみ

「私たちの大切な日」 りな

「3人から学ぶ『大人のあり方』」 せいこ

「お祝いする喜びを」 ななほ

 

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