「綺麗な音と、優しい気持ち」 えつこ

1月4日

 先日は、バレンタインホテルで演奏をさせてもらえたことが、とてもありがたかったです。お客様の前で演奏させてもらうことで、逆に私がお客様から力をもらったように感じました。それから、自分の課題も自覚することができて、この経験が本当にありがたかったです。本番に向かう過程も、大変なことも含めて全て楽しかったです。

 私は、『リベルタンゴ』と『ニューシネマパラダイスメドレー』で主に低音パートを吹いていましたが、『ニューシネマパラダイスメドレー』の4曲目の『成長』で、メロディー部分を担当しました。
 私は、これまでも低音パートを担当させてもらうことが多く、高い音やメロディーを吹くことに苦手意識が強いです。しかし、ゆりかちゃんが、私を信じてこのメロディーを任せてくれたのだから、絶対に頑張ろうと思っていました。
 ある日、突然、ずっと吹けなかった高い高いドの音が吹けるようになり、そのことに安心してしまったことが、間違っていました。謙虚でなかったです。だからだったと思います。1回目の本番当日の30日のリハーサルのときに、また吹けなくなってしまいました。お父さんに、「この部分だけ削ろうか」と、言わせてしまいました。それでは据わりが悪いので最後まで吹くことになりましたが、今までみんなと練習を積み重ねてきたのに、お父さんにこの曲を削るかどうかと言わせてしまうくらいの音を出してしまったことが、申し訳なくて悲しくて仕方なかったです。

 私は、吹かないほうが良いのではないかと思ってしまい、ゆりかちゃんに、直前になってこんなことを言うべきではないとわかっておきながら、相談してしまいました。浅はかで無責任であったと、今はとても反省しています。

 ゆりかちゃんは、「みんなのために、吹くんだよ」と、言いました。この言葉を思い出すと、書いている今も、不覚にも涙がこみあげてしまいました。今リビングで日記を書いていて、人の目があるので、頑張ってこらえています。
 ホテルの方に喜んでもらうため、いつもなのはなのことを思って働いているあけみちゃんのために、なのはなのために、何より聴いてくださるお客様に気持ちを音で伝えるために、未熟だろうがなんだろうが、吹くと決めたら吹くんだと、思いました。
 コンサートは大成功で、アンコールが起こり、なのはなの気持ちを求めている人がいるのだと、救われた気持ちになりました。私個人としては、課題を感じた日となりましたが、そのことも含めて、その場にいさせてもらえることがただありがたかったです。

 2回目のコンサートでは、少しでも改善して臨みたかったです。しかし、1人で練習していると、できない悔しさから涙が止まらず、吹けなくなってしまいました。このままではいけないと、お正月で忙しいところを申し訳なかったのですが、お父さんに相談させていただきました。こんな私の相談にも、お時間をとってくださり、本当に本当にありがとうございます。たった1日だけど、絶対に、最大限の努力で良くしたいと思いました。

 お父さんのアドバイスで、私は無駄に力んで音が汚くなっていることに気がつきました。自分の音でいっぱいいっぱいになって、周りを感じることができていなかったです。いつも余裕がなくて、余裕がないわりには、肝心なところで力が入っていないです。
 これは、楽器を吹くとき以外にも、作業のときなども、同じではないか。その普段の姿勢が、こうして音にも表れててしまっているのではないかと、思いました。
 私は、また涙が止まらなくなってしまいました。こんなにも無神経な音を平気でさらしていたのかと、恥ずかしく思いました。普段の生活でも、この音のように無神経でがさつなのかと、申し訳なさと恥ずかしさで涙が止まりませんでした。絶対に良くしたいと、思いました。

 それから、限られた時間ではありますが、少しでも良くしたくて、5分でもすき間時間があればそこを狙って、少しでも多く、柔らかく綺麗な音を吹く練習をしました。1日、しかもお正月遊びの合間をぬっての数分間の練習でちゃんと吹けるようになるほど楽器は甘くないということを痛感しましたが、それでも、最後まで諦めずに私にできる最大限を尽くしたかったです。

 2日のリハーサルでは、お父さんが、良くなったと、言って下さいました。私は今までどれだけひとりよがりで、周りの音を聴いていなかったのだろうと、思いました。周りを感じようという意識を、持ちました。自身の音への不安はありましたが、演奏させてもらう以上は、やるしかないと、できる最大限を尽くしました。
 演奏は、成功でした。お客様やホテルの方、あけみちゃんに喜んでもらえたことが、とても嬉しかったです。

 そして、私にとっても、直視するのが怖くてずっとうやむやにぼかしていた私の課題に気がついた演奏会でもありました。これだけ長くトロンボーンを吹いておきながら、こんなにトロンボーンが大好きなのに、悔しくて心が痛いのですが、でも、トロンボーンが好きだから、諦めずに、練習し続けます。今は未熟でも、これから練習してもっと高められるのだということと、すごく成長が遅い私だけど、こんな私だからこそこれからどうなるのか試してみたいと思うと、気持ちが明るくなります。

 もっと綺麗な音が吹けるようになったら、人に聴かせられるような音楽を演奏できるようになったら、もっと人に優しくなれる気がします。もっと人に優しく、真面目に、謙虚な気持ちで生活できたら、もっと綺麗な音を吹けるようになるのだと思います。

 悔しい思いをしたけれど、そのおかげで、心に火がつきました。今日も、朝食前の1時間を使って、マウスピースだけで音を出して唇に柔軟性をつける練習を15分と、優しく綺麗な音でロングトーンをする練習を15分、低音でのロングトーンを15分、高音域を広げる練習を15分、というメニューで基礎練習をしました。11間の練習でも、自分の音が変わっていくのを感じて、楽しかったです。それが積み重なるように、続けたいです。

 正直、私は、基礎練習を軽く見ていました。曲の練習をしていたらそれが基礎練習にもなるのではないか? という自分に都合の良い考え方をしていました。しかし、私は基本がまずなっていないということを自覚したので、基礎練習をコツコツと続けることにしました。

 一時の感情でものすごく練習して燃え尽きて続かない、というのが私のパターンだと思います。ちゃんと続けられて積み重ねられる練習メニューを考えて、三日坊主を何度もやっていたら続けられた、というイメージで、積み重ねます。これから私はどう変わっていけるのか、楽しみです。

 話はコンサートからそれてしまいましたが、このバレンタインホテルでの演奏を経験させてもらえたことが、とてもありがたかったです。ありがとうございます。