【12月号④】「新しい風が吹く! ―― 藤井先生から教わる、木版画教室がスタート ――」 ななほ

構図の取り方、色の刷り方、彫刻刀の種類や研ぎ方、紙や絵の具、ばれんの選び方……、どの工程や道具にも繊細な奥深さを秘めた木版画。藤井先生のご指導のもと、木版画の世界へ飛び込みました!

    
 毎週火曜日にアコーステックギターを教えに来て下さっている藤井先生が、これから木版画も教えて下さることになりました。

「ななほちゃん、版画教室に入らない?」

 そう、あゆちゃんに声をかけてもらって思わず、「はい!」と返事はしたものの、

(版画って、彫刻刀を使って彫るんだよね。あれ? 彫った場所と残した場所と、どちらの色がつくんだっけ?)

 と最初は、私みたいな人が版画をしてもいいの、とどこか、不安な気持ちもありました。

 とはいうものの、あゆちゃんに声をかけてもらった日から、畑からの帰り道でも、廊下から見える外の景色を見ても、(版画で、何を題材に作品を作ろうかな?)と版画教室の日をずっと楽しみにしていました。
  
  
 そして迎えた11月11日、第1回目の版画教室。5年生教室にはこれまで藤井先生からプレゼントして頂いた版画の作品が、額縁に入って飾られていて、机の上には彫刻刀や藤井先生が貸して下さった版画の本が並べられています。

 なのはな版画教室1期生は、まよちゃん、さとみちゃん、かにちゃん、さやねちゃんと私の5人です。

 藤井先生の机を囲むように座って、藤井先生から『木版画について』をテーマに説明がありました。

「僕の場合は、彫りの工程が2割で刷りの工程が8割くらいかな」

 私はてっきり、版画と言ったら彫刻刀というイメージがあったので、刷りの方が難しく、時間がかかると聞いた時は驚きました。

 でも、それと同時にこれからどんな世界が待っているのだろうかとワクワクした気持ちになりました。
  
  
 私はこれまでも何度か、藤井先生の作品が飾られている展覧会に、なのはなのみんなで行かせて頂いたことがあったのですが、まさかこうして私も版画の世界を知ることができるだなんて、想像もつきませんでした。でも、藤井先生の柔らかく嬉しそうな笑顔を見ていると、

(私も藤井先生のように版画を通しても表現をしたい)

 と思い、藤井先生がいて下さるなら私にもできるかもしれないと思えました。

 まず、決まった目標は、お正月に向けての年賀状作りです。

 1回目の版画教室があった数日後、版画教室のみんなと集まって、年賀状の下書きをしました。
  

藤井先生の作られた版画作品です

  
 (お正月と言ったら、コマ回しに羽根つき、それと、凧揚げやセブンブリッジ大会! おっと、セブンブリッジ大会を年末年始にするのは、私たちくらいだったかな)

 そんなことを思いながら、題材探しに外を歩いていると、濃いピンク色に染まったサザンカが目に飛び込んできました。

 その、まだ花が咲いて間もない鮮やかに光るサザンカを見たとき、(よし、これに決めた!)と思いました。

 私はあまり絵を描くのが得意ではないのですが、あゆちゃんが、「写真を撮ってそれを描いてもいいね」と話してくれて、それなら書けると思い、描きたいサザンカの写真を撮りました。

 
『スイセン』の作品

  
 それからというもの、迷うことなくサザンカの絵を描き続けたのですが、版画に行く前の下書きという段階で、私は何度も産みの苦しみにぶつかることになるわけです。
  
  
 「ここの葉っぱをどうしようかな? うーん、分からないから後回しにしよう」

 そう思って、どこか心に突っかかりのあるまま迎えた次の週。

 藤井先生に下書きを見て頂くと、「うーん。ここの葉っぱが少し気になるかな」と私が迷った末にそのままにしてしまった葉を指さしてアドバイスを下さいました。

 藤井先生が伝えて下さる構図や輪郭のイメージを頭の中で想像し、想像上で絵をかいてみると、どこか遊びがあって、余裕があって、光がトッピングされたような気がしました。

(きっと、藤井先生の撮られる写真はとても温かく、素敵なものなんだろうな)

 藤井先生の思う作品のイメージを想像するだけで温かい気持ちになり、1つの作品に1つの形に、少しでも美しい表現を、少しでもあるべき世界をと思いながら、私も作品を作っていきたいと思いました。

 2週目の版画教室は、下書きの手直しで終わってしまったのですが、2時間という時間が飛ぶように過ぎてしまうくらいに楽しくて、夢中になって絵を描く時間はとても楽しかったです。

 そして、3週目の版画教室。教室が始まって直ぐ、藤井先生から1人ひとりに素敵なプレゼントがありました。

 小さな宝石箱のような水色の箱を開けると、中には藤井先生がデザインし、丁寧に彫って下さった判子が入っていました。
  
  
 「うん。僕なりには面白くできたかなと思うんだけれど」

 そういいながら藤井先生が渡して下さった判子は、とても優しくて、可愛らしくて、宝物になりました。

「私、何か作ったら全部のものに、これを押したいな」

 かにちゃんの言葉に、頷かずにはいられないくらい、素敵な判子をプレゼントして頂き、この判子に見合うような作品を作りたいと思いました。
  
  
 私は3週目にしてようやく、下書きが完成しトレーシングペーパーに写す工程に入ったのですが、さとみちゃんやまよちゃん、かにちゃんは彫りに入り、藤井先生の説明を一緒に聞いているだけで楽しい気持ちになりました。

 藤井先生が作って下さる温かい雰囲気の中、版画教室のみんなと集中して作品作りをする時間はとても楽しくて、時間が止まってほしいような、このまま夜通し版画作りをしていたいような気持ちになります。

 年末までにサザンカの版画が仕上がるよう、続きも頑張りたいなと思うし、なのはなファミリーで版画をさせて頂けることが嬉しくて、自分の心を磨きながら、版画に向かいたいと思います。