
12月1日のなのはな
「甘雨」という言葉を、食事の席のコメントで教えてくれた子がいました。草木を育む、恵みの雨。その言葉のとおり、土寄せをしたばかりのジャガイモや、さまざまな野菜たちに降り注いだ雨の一晩があけ、私たちは今日、室内でのフルメニューや、音楽練習、そしてミーティングに取り組みました。

この日、始まったミーティングは、なのはなファミリーでとても大切にしている課題DVDのうちの一つを題材として、進めていくものです。気持ちを作る礎の一つとなる、ミーティングです。
午後からは、課題DVDを観たのちに、作文書きに取り掛かりました。
一つの作品を見るときには、解釈と鑑賞が大切だと、いつも教えてもらいます。
正しい解釈をしたうえに、初めて鑑賞が成り立つ。もしも間違った解釈をしてしまえば、その先になにを感じ、考えるのか、という鑑賞の部分もまた間違ってしまいます。
今日は、解釈と鑑賞に関する、いくつかの設問に沿って、文章を書き進めていきました。設問に答え、自分のなかにDVDの内容を収めてから、改めて感想文を書き、お父さんとお母さんの講義を聞くのです。
課題DVDを観ていると、そのなかに登場する一つひとつの場面に嬉しくなり、ある場面では悲しくなり、そして全編を通して、深い優しさが心に染み込み、あふれ出てきました。
「みんなが、生きにくさを感じて苦しんだ、その生きにくさというのは、主人公と同じ種類のものなんだよ」
前日に、お父さんが、そう話してくれました。
優しさが社会の基本であること。私たちの苦しんだ枠組みの中では、ともすると、いかに人よりも上に立ち、少しでも損をしない立場につくかを考え、学歴や資格を得ることに汲々としてしまう。学歴や資格を得たとしても人間味から離れていく。優しさを持っていては取り残されてしまうような気持ちになる。けれど、そうではない――お父さんの言葉が思い返されました。
答えがこのDVDの中にある。その答えを見つけてね、とお母さんが言いました。
誰もが優しい気持ちを持ち寄り生きられる社会を作る一人として、深く人間味を持って、優しく生きたい、そのために、このミーティングにきちんと向き合っていきます。
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夜には、勝央文化ホールで、勝央金時太鼓の練習がありました。
2022年1月30日にはこのホールで、勝央金時太鼓保存会35周年記念コンサート『風の宴』が開かれます。私たち、なのはなの太鼓チーム10名は、保存会会長の竹内さんのご指導のもと、『那岐おろし』『金太郎囃子』という2曲を練習しています。
午後7時から始まる練習へ向けてホールへ着くと、舞台の中央奥にひな壇が組まれ、その上に大太鼓が鎮座していました。
舞台袖に並び、本番のステージへ上がるときにはどのルートを通るのか、どのような順番で歩くのかということを確認しました。そして、暗転している状態から、演奏が始まるとどのようにライトが当たっていくのかということを、大まかに竹内さんからお聞きすると、いま目の前に広がっている660の座席へ向かって、自分たちが照明のなか和太鼓を叩いている、本番の光景が脳裏に描かれ、気が引き締まりました。
今日の練習では、『那岐おろし』を初めから、少しずつ場面を区切りながら、音の強弱や、腕の角度、顔を上げる角度などを、竹内さんが細かく指導してくださいました。後半には、保存会の方々と演奏する『金太郎ばやし』の練習をしました。
当日、誇りを持って思い切り演奏をできるよう、太鼓チームで精一杯準備をしていきます。
(かに)