柿採れば 心がはずむ 霧の朝
外を出歩けば、(ここにも、あそこにも、柿の木があったのだな)と気付く時期になり、まだ黄色いものから、濃いオレンジに色づいたものまで、葉の少なくなった木に、オーナメントのように柿の実がついている光景を見ると、(採りに行かなくちゃ!)という気分になります。
なのはなの柿の木は、全部で十二箇所、二十本あります。新しくイチジクを作っている畑や、ブルーベリーを作っている畑にも、柿の木を発見しました。
今年は熟れるのが早い木があり、八月に採れるものがあったのには驚きましたが、十月に入り、全体が揃って熟れ始め、朝食前の収穫が日々の楽しみなっています。

今年の柿は裏年で、あまり実がつかないと思っていたのですが、場所によっては豊作で、たわわになった柿を高枝切りバサミで枝ごと採ると、ずっしりと重みを感じます。
■甘柿と渋柿の違い
新しく採ることになった柿の木は、果たして甘柿か渋柿かと、少し囓ってチェックをしてみることにしました。
私は、これまで、渋柿を体験したことがなく、以前、渋柿を食べたことのある子から、 「口の中に渋さが広がる感じ。そして、口の中の水分が全てとられて、砂漠化する」 と聞いて、どんなものかと想像するだけでした。
けれど今回、ブルーベリー畑の柿の木の実を囓ったとき、まさにその表現通りのことが口の中で再現されました。
最初は一瞬だけ甘い。そして突然やってくる渋みの後、口の中は砂漠化。こういうことだったのかと、口の中の酷い状態を体感しながら、渋柿を理解したのでした。
それから、なのはなにある多くの木は、丸くて可愛い形と甘さから判断するに、富有柿でしょうか。熟し柿になっても美味しく、硬いままでもおいしく頂けるのが嬉しいです。
上を見上げ、高枝切りバサミをコントロールしながらの収穫は少し難しいです。逆光になり、熟れ具合が見えにくかったり、枝が混み合っていると、うまく挟むことができなかったりします。
しかし、日々の成果が出て来たのか、高枝切りバサミ使いも上達してきたかもしれません。混み合って難しい枝の間も、柿を取り落とすことなく収穫できるようになってきました。
■欠かせない朝の楽しみに
高い場所を採るとき、一緒に収穫に行った子に、受け取ってもらうことがあります。高枝切りバサミの先端を、そのまま相方の子の手元にもっていくと、キャッチしてもらえて、不要な枝を鋏で落としてくれます。
二人で柿を採っていることを感じられ、この時間は本当に楽しいです。
柔らかくなった熟し柿だと、高枝切りバサミで挟んでも、ぼとっと落ちてしまうことがあります。
そのときの残念さといったらありませんが、一緒になって、「ああ、綺麗な熟し柿だったのに残念」「クラッシュしてしまいましたね」「まだ救えるかな?」「いや、駄目ですね」と言いあうのも楽しいです。
今、柿採りは三巡目に入っています。綺麗な柿を採るだけでも楽しいけれど、美味しく頂けて、みんなにも喜んでもらえるということで、欠かせない朝の楽しみです。霜に三回ほどあてると甘さがのる、と地域の方から教えていただき、十一月に入ってからの収穫も期待で胸がはずみます。
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―― イチゴの生長 ――
盛男おじいちゃんから、2019年に「宝幸(ほうこう)」という品種のイチゴの株を頂きました。私は大切な仲間から引き継いで、このイチゴの栽培に携わることになりました。
2020年に、親株のランナーから子株を作りました。
2021年に子株が大きく成長し、たくさんの果実を付けたので、この夏に子株を増やすことにしました。
子株たちはすくすくと育ち、54株を新たに作り出すことに成功しました。毎日の水やりや手入れを欠かさず、丹念に祈りを込めて成長させた子株は、現在、冬越しの準備のため、ビニールハウスへ移動しました。
54株の株たちが無事に冬越しをし、来年の春に白い可愛い花を付けるのを楽しみに、これからも毎日の水やりや枯れ葉摘み、害虫チェックなどの細かい手入れも欠かさず見守り続けていきます。
イチゴは白い花と赤い実を付ける、とても縁起の良い果実です。
なのはなファミリー農園に良い「縁」をつなぐ希望の果実になるよう、祈りを込めて育てていきます。
(まつ)