【11月号②】「ケニーとなのはなウンパたちの愉快なお誕生日会」まお

 

 おめでとうおめでとう、大好きお父さん! ハッピーバースデー大好きお父さん! いつも僕たちを包んでくれるよ、いつも僕たちをやる気にさせるよ! 楽しい誕生日プレゼント!
  
 十月十四日はケニーこと我らがお父さんのお誕生日です。十月十日にはなのはなのみんなでお誕生会をしました。お父さんのお誕生日会は毎年、みんながチームに分かれて音楽と衣装、ダンスのパフォーマンスを披露します。
  
  
 準備は九月十四日から始まっていました。十四日から、楽器演奏で発表する曲の練習を、フルート、クラリネット、トランペット、トロンボーン、サックス&パーカッションチームに分かれて始めました。

 「畑でもやらなきゃいけないことがたくさんあるのに、いつ練習したらいいんだ!」という声をあげたくなったこともあったとかなかったとか言われておりましたが、そこは工夫がなされました。

 午前は楽器練習、午後は畑の日があったり、午前中の最初の一時間半は楽器で後半は畑、などと変則的なスケジュールが組まれ、時間のない中でも畑と楽器を両立していける仕組みになっていました。

 おかげで誕生日会までの日々は同じ一日でもいろんな種類の活動ができて、とても充実感と活気に満ち溢れていました。古吉野の廊下を歩いていて何かしら楽器の音が聞こえてくるという風景は学生時代の放課後を思い出してしみじみしました。
  
  
 ファッションショーの課題曲発表や衣装準備は九月二十六日から始まりました。まずは課題曲の発表からで、今までなのはなでやったことのある曲から知らない曲、知っている曲など、みながそれぞれワクワクした表情で聴いていました。そしてそれぞれのチームに分かれて衣装考案やファッションショーの演出考案をしました。

 そして、さっそくいくつかのチームが突き当たった壁がありました。今回のファッションショーには全体を通して一貫した、あるテーマがあり、私たちはそのテーマをイメージした演出作りを進めなければなりませんでした。

 課題曲はポップなものから神聖なイメージ、重々しい感じの曲など様々で、「どうやってこれをテーマとつなげればいいんだ!」と頭を悩ませたグループがいくつかありました。私の所属するパーカッションチームもその一つでありました。生みの苦しみを初日からひしひしと感じました。
  
  
 私たちがテーマとしていた物語はカラフルでポップでちょっとダークでブラックユーモアがきいた世界観で、一方私たちのチームの課題曲は切なさや生きる苦しみ、そこから自由になる鳥をテーマに歌った曲で、壮大でどこか神聖な雰囲気のある曲です。

 なかなかいいアイディアが出ませんでしたが、それでも根気強く、リーダーのかにちゃんをはじめとしてみんなが色々と意見を出し合い、まずは演出と衣装案をつめていきました。

 私たちのチームはとにかく衣装の制作を最初にどんどん進めて、音楽に合わせる動きが最終的にまとまったのは誕生日会の前日の夜でした。なかなかフルメンバーが揃うことも少なく、踊り慣れているメンバーの少なさからも、覚えやすく、踊り慣れていなくても見栄えの良い動きを考えるのは一苦労だったように思います。

 それでも、みんなで話し合いながら練習する時間を積み重ねていくごとに「それいいね!」「面白い!」など明るい声が飛ぶこともだんだん増えて楽しい練習時間だったなと思います。

 衣装の制作に関しては、クリエイティブで職人気質なメンバーの多さから、質の高さにはかなり自信がありました。

 そして迎えた十月十日誕生日会当日。午前中は事前の調整や準備で、本番は午後二時スタートです。みんなで歌いながらスキップで登場しました。最初からポップでかわいい世界観たっぷりです。ちっちゃなパレードみたいでした。

 そして、実行委員の皆さんが脚本、演出まで考えて演じられた寸劇をみんなで楽しみました。お父さんの誕生日会に、チャリーと工場長のナウォンカとその一味が乱入してくるというストーリーで、ナウォンカのチョコレート作りの苦悩、そこから抜け出すヒントを、なのはなでの活動を知ることで見つけ出していくナウォンカの姿。

 ストーリーを彩るキャラクターや衣装はカラフルでポップでユーモアがあってかわいくて、笑いもあり感動もある素晴らしい演出でした。この寸劇の場面転換の合間にみんなが練習してきたアンサンブル演奏が挟まり、最後までいろんな演出がたちかわるので飽きることなく楽しめました。
  
  
 みんなの演奏もこの間練習し始めたばかりというのが信じられない出来で、畑や日々の作業の合間にちょっとずつでも練習していた成果の大きさが実感できて、積み重ねの大事さが分かりました。

 私はベースを担当していて、パーカッションとサックスのみんなでアンサンブルのトリを、マイケル・ジャクソンの『スリラー』で担当したのですが、フルメンバーが揃った豪華さは、演奏している自分でも迫力が感じられて、そして楽しんで演奏することができました。

 劇と演奏のあとは、着替えの時間を挟んでからいよいよファッションショーです。私たちのチームは、さきちゃんの着替えが結構大変で、鳥の羽、チュチュ、ゴールドパールの装着に手間取って、かにちゃんやみかちゃんが時間ぎりぎりまで衣装を着せてくれていました。

 私もみんなの手を借りてマントや首飾りを付けてもらったり、頭に装着する鳥のふわふわの頭をイメージした被り物を被るときも、「固定するために頭にタオルを巻いてから被るといい」というアイディアをもらったりして、いろいろと工夫が必要でした。みんなの手伝いやアドバイスがありがたかったです。

■「虹の番人」登場

今まで知らなかった、仲間の特技が披露される演出もありました!

  
 ファッションショー一番手はゆりかちゃんチーム、曲は『レインボー』です。演技前のチームによる前説によると「虹の番人」と名付けられた、シルクハットに茶髪のボブ姿の美少女が最初に華麗に踊っていて、誰だろう? と思って目を凝らすと、なんとやよいちゃんではありませんか。

 器械体操部に所属していたという秘密があったやよいちゃんは今日その特技を披露してくれて、側転を進化させた超絶技法を披露してくれました。そしてほかの色とりどりのメンバーの登場です。

 淡い虹色のドレスのゆりかちゃんや、張り子で作ったという丸いカラフルなパステルカラーのスカートを身に着けた二人の踊り子たち。いつも練習で踊っている『レインボー』を華麗に舞い、その後ろからは白い仮面を顔につけ、長い三角頭ののっぽな色とりどりのバックダンサーが登場して、非現実的な世界観を演出していて夢のような世界でした。

 カラフルなカオナシのような感じです。あゆちゃんチームからゆずりうけたという、光を浴びて虹に輝く雨を模したカラフル透明テープがぶらさがったパステルカラーの傘を手に持ち優雅に踊る姿もまたのびやかで素敵でした。
  
  
 二番手はちさとちゃんチームの『エイント・ユア・ママ』です。カラフルな衣装には、おどると裾の揺れる中東踊り子風ズボンや、お父さんが絶賛しているエミレーツ航空巻きスカーフのついた頭の飾りが踊ると揺れて見る人の心をときめかせます。

 曲名通り、ママ役がいて、よしえちゃんのハリウッド女優顔負けの金髪で白ドレスからすらりとのびる美脚に目を奪われる純白ママや、やすよちゃんの紫の髪の漆黒クールビューティなママの取り合わせも最高でした。

 踊りもノリノリで、みんなのユーモアのある豊かな表情が見られて誕生会を盛り上げてくれました。二人のままがカツラを放り投げる場面は歓声が上がりました。
  

■『バードセットフリー』

  
 三番目は私も所属するかにちゃんチームの『バード・セット・フリー』です。曲中にいれた動きで「これは面白いよね!」といっていた箇所で観客席から笑いが聞こえて安心しました。

 私も気に入っているし、数人にあとからの感想を聴いて評判がよかったのは、卵の背後に小鳥たちに扮した私たちがいるときに、みかちゃんがコンコンと卵をたたくと、さくらちゃんとみつきちゃんが「OH〜」という歌声と同時に顔をひょっこりのぞかせるところです。
  
   
 ほかにも笑いどころとしてはサビの時に顔の両側に掌を向けたポーズをして、そのまま顔と手を左右にふるえさせて、その時の顔がひよこの顔のように口をすぼめていたところです。それとは対称的で、さきちゃんは白い衣装に身を包み立派な羽を広げて華麗に舞う姿は涙が出そうな美しさでした。
  
  
   
 四番手はさとみちゃんチーム、曲は『アップタウン・ファンク』でした。この曲は、私も以前から大好きな曲でブルーノ・マーズが好きになったきっかけでもあったので、この曲が誕生日会の曲の一つだと発表されたときとても心が浮き立ちました。

 さとみちゃんチームには岸本一家(あゆみちゃん、ひでゆきさん、たけちゃん)も参加してくれていて、盛り上がりは最高潮です。メンバーのみんなはそれぞれ個性の強い衣装に身を包み、己のキャラクター性をアピールしていました。ちさちゃんの真顔ですかしてる感じのキャラクターのなり切り具合が個人的に好きでした。

 ひらひらの付いた扇風機や、クラッカー、風船、あと気になるのは舞台の両端で、ノリノリで踊っている二人が乗っている謎の土台などの小物の演出も凝っていました。演奏が終わった後は体育館が散らかったのでそれをモップで回収していたところもシュールで面白かったです。Don’t believe me, just watch!
 
■金色の衣装と黒い傘
 

 五番目はあゆちゃんチームの『マディ・ウォーターズ』です。この曲は最初に聞いた時からすごいオーラを放っていて、野太い男の人の重厚なコーラスから始まって初めて聴く人を驚かせます。

 演出や衣装がどうなるのかとても楽しみでした。泥(Mud)ということで金色の衣装に身を包んだ踊り子たちが登場したときは目から鱗でした。泥は汚い色というイメージだったので、彼女たちの発想力、うまく昇華したあゆちゃんチームのみんなのセンスに脱帽です。
  
  
 金色の衣装に合わせて登場したのが黒い傘。金色と黒が相乗効果でお互いの色を映えさせていました。なおちゃんとあゆちゃんのコンビも映画の悪役の親玉というような貫禄あるオーラがかっこよかったです。

 赤色のスプレーでグラデーションに塗られた黄色い丸いスポンジを、ソフトクリーム状になった針金に刺さった謎の飾りがあゆちゃんの頭に載せられていて、その果実っぽい飾りは何を象徴しているのか気になるところです。

 このチームもゆりかちゃんチーム同様傘を使った踊りがかわいらしかったのですが、ゆりかちゃんチームとはまた違った感じで、踊っているメンバーの表情が笑顔になったりクールな表情になったりと雰囲気の作りこみや表現がMuddyで曲とマッチしていました。このチームもテーマに沿った色を出すのに苦労しただろうなあと想像します。

■『ハッピーフェイス』
   
 最後はゆいちゃんチーム、『ハッピー・フェイス』です。このチームは世界観やモチーフがこだわって設定されていて、まず最初に登場したのは海外のごみ置き場を模した大きな舞台背景のセット。

 メンバーたちはごみの大魔王やカラフルで雑多なもので飾り立てられたピエロたち、頭が大きい謎の白い生命体などに扮し、今の消費社会に警笛を鳴らしたメッセージ性がありました。舞台背景の文字には「TRASH GENERATION」(ごみ世代)の文字がありました。

 最初に登場したのは、ごみを捨てる現代人。サングラスをかけてコートの襟に顔をうずめ、こそこそとごみを捨てます。そこに登場したのはぬいぐるみを腰に付けた真っ赤な鼻のピエロ。そのあとにはごみを捨てた現代人がニコニコ笑顔で踊りだすピエロに変身して一緒に踊り始めるのです。

 すました表情の現代人から笑顔で軽快に踊りだしたピエロのゆいちゃんの変わりっぷりがすごかったです。ぬいぐるみを腰に付けたピエロりんねちゃんも踊りのキレがよく、かわいかったです。
  
  
 そのあとに登場したピエロのお面を付けたコンビはななほちゃんとりなちゃんで、私は彼女たちの練習風景をリビングや体育館で何度か見かけたことがあったので「こうなったんだ!!」と完成形がようやく見られて感動です。二人は心の浮き立ちを表現していて本当に心から楽しそうに踊るのです。

 観客のみんなもHAPPY FACEになっていました。ボーリングのピンのように頭が上に長い白い生命体のような人たちもいて、雑多な衣装や背景の中で異世界感を演出していて、妖精のようで、しかしどこか不気味なオーラがあり、『ハッピー・フェイス』の世界に一気に引き込まれました。

 そしてあけみちゃん演じる大魔王の存在感たるや。ふるまいや表情のクールに、ぞくぞくしました。あけみちゃんは仕事後に急いで帰って着替えをしてこの発表に臨んでいたのですが、お仕事人からパフォーマーへの切り替えの素早さがすごいなと思いました。

 あとからななほちゃんに聞いたのですが、あけみちゃんとは一,二回しか合わせで練習していないそうです。限られた時間であそこまで作り上げたあけみちゃん、チームのみなさまに脱帽です。

■最初から最後まで
 
 誕生会のラストでは、お父さんが恒例の弾き語りをしてくれました。定番の曲を披露してくれて、私も曲を覚えてきました。
  
  
 最後にはみんなでお父さんの周りを囲んで『ヒーロー』を歌いました。とてもあたたかい雰囲気で、なのはならしい風景とはこういう感じかもしれないなと感じました。

 実行委員さん、なのはなのみんなが、お父さんやお母さんを楽しませようと全力で誕生日会に向かって一致団結し、同じ目標に向かって行動してきたことで、最初から最後まで素晴らしい世界をみんなで作り上げられました。

 私もその世界を作り上げる一人になれたことで、より気持ちが入り込んで、みんなと心が一体となり、かわいくてポップだけれど、現代社会に対して何か警鐘を鳴らしたりメッセージを伝える力のある世界の住人となれたような気がします。

 チームのみんなと時間と手間、脳みそのエネルギーを費やして生み出してきた過程は、苦しさやしんどさもあったけれど、誕生会を終えて感じるのは、学び、喜び、楽しみがそれ以上にあったなあということです。
  

10月14日 お父さんのお誕生日 ―― 卒業生からたくさんのお花やプレゼントが届きました! ――

  
 今回のことを次の催しやコンサートにつなげられるだろうということを思うととても嬉しくて楽しみだし、きっと次はいろんなことがレベルアップしてみんなと取り組んでいけるかなという自信になりました。

 お父さんは、「お父さんの誕生日だということを口実にして次のコンサートにつなげるための会ですからね」というようなことをおっしゃっていましたが、お父さんへの日ごろの感謝や、お父さんを楽しませたいという想いがみんなの原動力になっているので、だからこそ心からおめでとうを伝えられてよかったです。お父さん、誕生日おめでとうございます。