
11月6日のなのはな
ユズ畑の周辺を通るたびに、畑に植わる1本の木に目が釘付けになります。
遠くからでも、辺りを明るくぱっと照らすような、鮮やかな黄色が木を彩っています。
その光景が、まるで丸いオーナメントをぶら下げているように綺麗です。
そう、このオーナメントはユズです! 11月に入り、ユズの実が着々と、色づき始めてきました。
今日は、さやねちゃんと一緒にユズの収穫をさせてもらいました。
今季初めてのこともあり、とてもワクワクしていました。
ユズは、全部が黄色くなったころよりも、8割ほど色づいたぐらいの熟れ加減の実が、一番香りが強く、収穫適期です。
今日はユズの収穫一巡目で、ユズに一番良い時期に、収穫できることが嬉しいなあと思いました。
遠くからぽつりぽつりと小さく見えていたユズの実も、近くで見てみると、握りこぶしぐらいの大きさがあり、ふわっと甘くて爽やかな香りに包まれました。
枝に隠された、木の内側にも、ユズの実がたわわに付いていました。今年も、ユズが大豊作でした。
ユズの枝には、長くて鋭いとげがあります。太いもの、細いもの、枝にびっしりと付いています。
そのとげの枝に守られるように、ユズの実はなっていました。
ユズを取ろうと手を伸ばすと、軍手を付けていても、とげが容赦なく手を刺してきます。チクリチクリと痛いです。
でも、勇気を出して、手を入れます。イバラに潜むお姫様を救うような、そんな気持ちになりました。
実をとげで傷つけないように、無事に収穫することが難しく、でもスリルがあってとても楽しいなあと思いました。
さやねちゃんと一緒に、ユズの実を夢中になって収穫していました。
高い位置に付いている実は、脚立に乗って、収穫をしました。
見上げるほどの高い位置に、実が付いていたけれど、脚立に登ると、すぐ手の届く位置にユズがおりてきました。
今日は、ユズ畑のユズと、崖崩れ下ハウスのユズの収穫をすることが出来ました。
ユズの収穫をしていると、時間があっという間に感じて、すぐに収穫かごがいっぱいになりました。
今日だけで、47キロのユズの実を収穫することができて、さやねちゃんと、良い時期にたくさんのユズを収穫できたことがとても嬉しかったです。
まだ畑には、色づくのを待っている実がたくさんあります。
農産倉庫には、収穫されたユズの実が、加工されるのを待っています。
ユズは、ジャムや、味噌や、たくさんのものに加工されて、生まれ変わることができます。お正月にも欠かせません。
今年も、食卓を華やかに、豊かにしてくれたらいいなあと思いました。
(りな)
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なのはなの果樹をより充実したものにする為に、定期的に行っている果樹会議。
今回の果樹会議では、お父さんや果樹会議のみんなと、実際に各果樹の畑を回りました。
今後、どのような手入れが必要で、どんな風に進めていくのか。今、果樹のコンデションや現状はどうなのか。
資料を見て計画を立てたり、話し合いをするだけでは分かりにくいことも、実際に畑を見たら答えがあります。
〈池上桃畑に植わるポポ―の木。ポポーはこれから挿し木をして増やしていく予定です〉
私は今、なつみちゃんと一緒に桃の担当として果樹会議に出席しています。
11月の桃は、来年に向けての準備の時期です。桃の樹は落葉期に入りました。
光合成をしたっぷりと養分を蓄えた樹が、自分から葉っぱを落葉させる様子は、自然の生き物がたくさんの食料を集めて冬眠する時のように見えます。
そして、落葉期に入っているのは桃だけではありません。
スモモはもちろんのこと、ブドウやイチジク、ポポーも落葉期に入っていて、私たちが衣替えをして冬支度をするように、果樹たちも冬に向けて準備をしています。
果樹会議では、夕の子桃畑、石生の桃畑、開墾桃畑、新桃畑の4枚の桃畑に、ブドウ、ポポー、イチジク、ブルーベリーという順番で回りました。
夕の子畑では土壌改良についてお父さんに相談しました。
この当たりの畑や田んぼは粘土質の場所が多いです。
夕の子畑は桃畑の中でも特に、粘土質が強い畑の為、今年はサツマイモのつると籾殻を畑前面に敷きました。
今後、どのように土壌改良をしていくか。お父さんが実際に畑を見て、「サツマイモのつるが枯れてきたら管理機や耕耘機で耕そう」と話してくれました。
「土壌改良で耕すなら、1月2月の外が零度を下回る頃がいいね。土の表面が凍りつくことで、畑の中にある雑草の種や病気の元になる菌が死滅するんだよ」、お父さんが1つの質問に対し、10の答えをくれました。
また、新桃畑に関しても4年生の樹にしては少し育ちが悪い様に感じていたのですが、果樹会議のみんなと話す中で土壌水分の変動が多くて上手く育ちにくいことが分かりました。
今後、それらの畑に、桃の樹にどのような手入れをしていくのか、私たちだけでは少し考えるのが難しいことも、お父さんやみんなの力で前に進んでいきます。
新桃畑にはバーク堆肥で木の周りをマルチングするようにして、土の保水力を高め、よりフカフカの畑に改良していくことが決まりました。

果樹を見る時は、目先のことだけではなく、何年も、何十年も先の未来を予測し、良いイメージを持って考えなければいけません。
自分ひとりだとそのスケールの大きさに、頭を悩ませてしまうことも多いのですが、果樹会議のメンバー全員で、それぞれの果樹を見て、今後の手入れの相談や今の状況を情報交換したり、その果樹の説明をしながら作業のことも共有していける時間が嬉しいです。
池上のブドウ畑の土がサツマイモのつると籾殻のお陰で、踏んでしまうのが申し訳ないくらいにフカフカの畑に変身しているのを見た時は、(こんなに良い土だったら、良いブドウがなるに決まっている)と思わずにはいられないほどでした。

また、各果樹の下草についても進化していました。
果樹会議で下草について話題が出たお陰で、桃には『ナギナタガヤ』、スモモには『ヘアリーベッチ』、イチジクには『ダイカンドラ』とそれぞれの果樹に一番適した下草を育てることができています。
土壌、敷き草、日当たりなどを踏まえて、その果樹に必要な手入れやコンデションが良いのか悪いのか、お父さんと果樹会議のみんなで話し合いながら畑を見廻る時間は、とても充実していました。
なのはなで育てる果樹をどのように見るか、どう成長させて、良い果樹にしていくかという過程は私たちをとても成長させてくれると感じます。
果樹と向き合い、今できる一番良い手入れをする、果樹にとって一番良いあり方をしようと思うと頭も心も体もフル回転させていかなければ結果がでません。
その面白さ、楽しさ、難しさを感じながら、いつも新鮮に果樹に向き合えるように気持ちを作っていきたいです。
これからも果樹も私たちも成長していけるように、みんなと一緒に果樹を育てていきたいです。
(ななほ)
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