【10月号⑧】「速さと質の両方を求めて ―― 白菜の定植と、本気の畝立て選手権 ――」つき

 冬野菜の代表格、白菜の定植を行いました。
 九月七日、この日は白菜第一弾の植え付けです。まず、全員で畝立てから始まりました。リーダーのやよいちゃんが、突然満面の笑顔で、「今日は畝立て選手権をしたいと思います!」と言ってくれて、いつもの黙々と作業をする畝立てから一変して、本気の“畝立て選手権”が開催されました。

 速いだけじゃなくて、きちんと畝間の土をきれいに上げることが重要。一畝の半分、真ん中の区切れ目まで1番早く辿り着いた人が優勝、というルールでみんな一斉にスタートです。
  
   
 静かな中にも一人ひとり本気モードの気合が感じられ、いつも以上にスピード感のある畝立て。やはり、私も含めなのはなのみんなは勝負事となると負けず嫌い精神がメラメラと燃えていました。
 鍬を土に入れてみると、サクッと入っていく感覚がとても気持ちが良かったです。サラサラとまではいかないものの、軽めの土で、スラスラと進んでいける感覚がとても楽しく、のめり込んでしまいました。

 畝たてが終わり次第、定植に入ります。定植は、穴あけ、もみ殻入れ、苗置き、苗のポット外し、畝つけ、と役割分担をして流れるように進んでいきました。自分がその中の一つの作業に集中してやっていると、その間にあっという間にすべての工程が目まぐるしく終わっていくことがすごく気持ち良かったです。自分の力が何倍にもなったような感覚になりました。みんなの力で充実した気持ちを感じられることが本当にありがたいな、と思います。

 植え付けの際は、植穴にもみ殻を入れました。その上から苗を置いて、さらにその上からカバーをするように再度もみ殻をかけてから土を戻していきます。そうすると、苗がもみ殻に守られているようですごく安心感があるな、と思いました。お父さんが教えてくださったこの方法が、苗にとってすごく優しくて温かい気持ちになりました。
     
 最後にネット掛けをするタイミングで、他の作業が終わったみんながヘルプに来てくれました。丁度人数がいてくれたら嬉しい、という絶好のタイミングだったので、みんなが救世主のようでした。そのおかげであっという間にネット掛けも終わり、時間に余裕をもって定植が完了しました。

 その後、まだ時間があったので、白菜第二弾の分の畝立てを進めました。十数人いる中で、再度畝立て選手権の開催。やよいちゃんが、「一位の人にはみんなからの拍手のプレゼントがあります!」と言ってくれて、それを目がけてみんなが必死に力を振り絞りながら畝を立てていきます。人数が多くなると、さらにみんなの気迫が感じられ、私も自然と力が入りました。

 一位はさきちゃん。タイムは三分四十五秒という驚異的な数字でした。さきちゃんが集中して入り込んでいる空気は、さすがにチャンピオンの勢いがあり、圧倒でした。
 二位はのんちゃん。普段は勉強組さんなのにブランクを感じさせない速さは、日頃ののんちゃんの厳しさが感じられて、格好良かったです。
 私はなんとか三位に入ることができ、ギリギリ拍手をもらえてすごく嬉しかったです。なによりもみんなで一致団結した空気の中でできたことがすごく楽しくて、満たされた気持ちになりました。

 白菜の定植とは話がずれてしまいますが、今回の白菜の定植で感じられたことは、意識次第で普段の作業がクリエイティブなものに一変し、とても楽しい作業になっていくということでした。
  
   
 畝立て選手権では、速さを重視しながらも、いかに畝間の土をきれいにあげてまっすぐな畝を立てるか、速さと質の両方を求めながら美意識をもって作業をしていると、楽しさが何倍にもなるのを感じました。こんなにも畝立てが楽しいと思えたのは初めてでした。畝立てというと体力勝負の力仕事、というイメージが強くあり、少し苦手意識がありましたが、その気持ちを払拭できたことが本当に嬉しかったです。

 定植の一つひとつの工程をとっても例外のものはなくて、自分がどれだけ目の前のことにやりがいや楽しさを見出せるかで、同じ作業でも別のことをしていると思えるくらい、楽しさや充実感が違います。いつでもそういう目線で目の前のことを楽しんでいきたいな、と思いました。
 
 白菜の第一弾は順調に活着して、第二弾まで定植されています。これから寒くなっていくのと同時に白菜も大きく成長していくのがとても楽しみです。