【10月号⑥】「日々、進化する植え付け方法 ―― キャベツとオータムポエムの定植 ――」りな

 「今回は、初めてキャベツをセルトレーから畑に定植します!」
 作業開始前に、やよいちゃんが宣言した一言で、緊張感が高まりました。これまでなのはなでは、キャベツの定植は、ポットに鉢上げをしてから行なっていました。ポット苗よりも小さいセルトレー苗は、茎も細くまだ弱々しいです。定植のときにうっかり茎を折ってしまわないように、細心の注意を払って秋キャベツ定植をしよう、と思いました。
  
  
 秋キャベツが植わるのは、河原畑上、下の二枚です。河原上畑には秋キャベツ一、二弾。河原下畑には、三、四弾が植わります。一から四弾までの約二千株の秋キャベツは吉畑手前ハウスで、定植されるのを今か今かと待っています。河原二枚の畑は、トラクターがかけられて、畑の準備は万端です。
 定植作業は畝を立てるところから始まります。畑の中にメジャーを横断させて、畝、畝間のラインを引きます。一人一畝担当で、引かれたラインに沿って、畝たてをしました。

■山脈のように盛り上がった

 「サクッサクッ」、土の中にクワを入れると、とても気持ちの良い音がしました。足跡が出来るほどに畑の土はフカフカで、畝たてをしていてもクワの刃が深くまでよく刺さります。

 軽やかな力でたくさんの土を持ち上げることが出来て、とても楽しかったです。夢中になって畝たてをしていて、ふと気が付いて顔を上げると、視界にはこんもりと山脈のように盛り上がった畝が連なっていました。
 左にも、右にも、目の前の出来上がった畝と同じように、高くそびえたつ畝ができあがっていました。みんなが、真剣に、そして軽やかに畝たてをしている姿がありました。同じく畝たてをしているみんなの力強い姿に何度もパワーをもらって、またやる気が奮い立たされました。
  
   
 そして出来上がった畝に、秋キャベツは次々に定植されていきます。底面給水されて、たっぷりと水を吸った苗たちが、ちゃんと畑で活着出来るように、穴あけ、苗置き、定植の工程を慎重にしていきます。

 穴あけをする人、苗置きをする人、定植をする人…一人ひとりが一つの役割を担当し、責任を持って作業に取り組みます。誰もが一つの作業の流れを作っている歯車で、誰一人欠けてはいけない存在でした。全員が全力を出し切って初めて、噛み合ってスムーズに進んでいく定植の作業が、一体感があって活気溢れていて、とても楽しかったです。

 私は、植え付けの役割を担当しました。でも、これまでの植え付け方とは違い、少し進化していました。それは、お父さんが考えてくれた方法で、とても速く、かつ苗を傷つけない、優しい方法です。

■画期的な苗直立法
 
 この方法は、穴あけの段階から少し工夫があります。穴をスコップで開けるときに、刃を土に対して垂直にグサッと刺し、小さな崖を作るイメージで穴を掘ります。すると、苗を穴の中に入れて、根鉢を崖に沿わせて置くと、両側から土を寄せることをしなくても、苗が直立する、という方法です。
 これまで穴の中で苗を立たせるために、苗を手で持ちながら土を掛けたり、両側から土を持ってきて、土寄せをするようにして覆土をしていました。その方法が当たり前だと思っていました。
 でも、画期的なお父さんの新しい方法は、これまでしてきた定植を覆すぐらいスムーズでした。苗を穴の側面に沿わせて、片側から布団を掛けるように土を被せるだけです。とてもシンプルだけれど、これまで考えつかなかった工夫がたくさん詰まっています。とてもスピーディに、そして苗を傷つけないよう、優しく作業をすることが出来て、とても嬉しかったです。
  
  
 定植をしてからも、水やり、ポールたて、ネット掛け……とまだたくさんの工程が残っています。ポールがみるみるうちに立てられて、畝にアーチがかけられる様子、目まぐるしいほどスピーディに、ネットがピンと張られ、キャベツのハウスが作られていく様子が、とても綺麗だなあと思いました。

■二千株のキャベツ畑
 
 定植は、植え付けることだけではなく、畝たてや、水やりや、ネット掛けなどたくさんの工程が含まれています。
 何もないまっさらな畑から、みんなで畝を立てたり、ポールを立てて骨組みを作ったりしている時間が、本当に楽しいなあと思います。たくさんの工程があるからこそ、一人ひとりの力が大切になってきて、一体となって作業出来ます。
    
     
 キャベツの定植も、二千株というとても規模の大きな作業だったけれど、その分、畑一面にネットがピンと張られて、白いベールのようにキラキラしている光景を見た時の嬉しさも大きかったです。みんなと達成感を感じて喜び合える時間が、心を温かくしてくれました。

 秋キャベツの定植と同じ日に、オータムポエムもユーノスハウスに植わりました。約百株のオータムポエムは、鉢上げされて、丸い葉を伸び伸びと広げていて、まだ小さな苗のうちから、オータムポエムの柔らかな雰囲気を醸し出していました。
  
   
 ハウスの内周、外周の草を抜いて綺麗にし、オータムポエムが育ちやすい環境を作りました。オータムポエムを植え付けたあとも、虫が入らないよう、隙間なくネットを張り、水やりをします。
 オータムポエムの花は、菜の花にそっくりだなあと思います。ユーノスハウスで小さな菜の花畑が出来るまで、もうすぐです。それまで、すくすくと育ってほしいなあと思いました。