【10月号①】「たわわに実る、稲穂に囲まれて ―― 家族みんなで力を合わせて、もち米・紫黒米の手刈り! ――」ななほ

今季の16枚の田んぼの稲刈りは、家族みんなでもち米の手刈りから始まり、紫黒米の手刈りで幕を閉じました! 刈り取った稲穂や藁はバケツリレーで 運びました。大人数だからこそ得られる力と、仲間と協力する楽しさをたくさん感じることのできた稲刈りになりました。

  
 麦わら帽子をかぶったお父さんとお母さん、六十人の仲間が光田んぼ上にズラーっと並んでいる光景は、今の時代、中々見ることはできないかもしれません。
 そう、今年もなのはな稲刈りシーズンがやってきました。空の色も夏から秋に変わりかけてきた頃、盛男おじいちゃんと永禮さんも来て下さり、家族みんなで光田んぼ上のもち米の手刈りをしました。

 光田んぼ上に着くと、たわわに実をつけた稲穂が垂れ、息を吸い込むと、これぞ豊かさの象徴というようにお米の香ばしい香りが胸いっぱいに広がりました。

 手刈りは刈り部隊、結び部隊、はぜ干し部隊と三部隊に分かれて進んでいきました。私は刈り部隊だったのですが、少し先にはカマを持った永禮さんの姿もあり、心の中で(よしっ)と言い気合を入れました。

 ザクッザクッザクッ。田んぼにはお米を刈る音だけが響き、どこか広い海にいるような気持ちになりました。ふと、後ろを振り返ると、そこにはお米の海がありました。

     
 そのお米の海では、周りのどこを見渡しても、みんなの笑顔があり、集中しているけれど暖かい空気で包まれていました。
 (もう、こんな所まで来ていたのか)と一瞬、時間がタイムスリップしてしまったような感覚になったのですが、パーッと視界が開けていく光景に、心もスッキリしました。

■利他の文化

 田んぼの半分くらいまで来た頃、お父さんが「集合しましょう」と声をかけてくれて、みんなと田んぼの中でお父さんのお話を聞きました。

「昔の日本では、隣近所の人がみんな集まって、お互いの田んぼの田植えや稲刈りをし、お米を育てていました。日本はお米作りの文化があったから、利他的な文化や考えが育まれていたんだよ」
 
 お父さんのお話を聞いて、お米作りは利他心の文化の象徴なんだと思い、こうして家族全員が集まり、お米を育て、稲刈りをできる今が幸せだと感じました。
  

   
 田植え機で簡単に田植えができ、コンバインで簡単に稲刈りができる今の時代は、確かに豊かになったかもしれないけれど、働くことの歓びや身体を動かすことの喜び、何かを育てるときの喜びは忘れてはいけないもののように感じます。
 お父さんのお話を聞いていて、お米を一から育て、たくさんの仲間と協力して稲刈りを迎えるということが昔は当たり前のことだったと思うと嬉しくなったし、この気持ちをずっと忘れたくないと思いました。
  

  
■仲間のためを思って

 稲刈りは流れ作業で進んでいきます。刈る人はただ刈るだけだけれど、結んでくれる人の事を考え、通り道を作りながら後ろへ稲の束を置いていきます。
 結んでくれる人はお米を運んでくれる人、はぜ干ししていく人、そして直接的には稲刈りと関わっていないとしても、お米を食べる人が美味しく食べられるようにと、きつく解けないように稲の束を結んでいきます。
  
   
 お父さんが稲刈りの前に、
「性格がきつい人は縛るのもきつくなる、性格が緩い人は縛るのも緩くなる。今日だけは性格のきつい人になってね」
 と話してくれました。
 みんながちょっぴり、いつもよりもきつい人を演じながらまだ見ぬ誰かの為に、仲間の為に一生懸命に作業をしている姿に、私も心が正されます。

 こんな風に流れ作業で稲刈りが進んで行くのも、なのはなのみんなの力があるからで、それは普段の生活でも同じだと思いました。私一人ではできないことも仲間と一緒ならできます。
 私一人なら心細いことも、諦めたくなってしまうことも、逃げたくなってしまうことも、みんなの力があり、六十人の仲間の存在があるから私は最後まで粘り強く向かいたいと思えるし、みんなを思うと力が湧いてきます。
   
  
 そんな風にいつもお互いさまで、気持ちの面でもお互いに良いほうへ引っ張っていける仲間、明るいほうへお互いに導いていく仲間がいてくれるのが、私にとっては言葉にできないくらいにありがたく、幸せなことです。
 綺麗に結ばれた稲の束は、はぜのほうへ運ばれていき、最後にみんなではぜ干ししました。稲の束の半ばを両手で掴み左右に分け、はぜ干ししていくととても綺麗なお米のお家が建っていきました。

 少し身体を屈めて下から見てみると、ギッシリとお米の粒でいっぱいの稲穂が、どこまでもどこまでも果てしがないくらいにはぜ干しされていて、豊かな気持ちになりました。
  

稲刈りと同時並行で、稲を干す為のはぜを立てました

 (どうしてこんなに美しいんだろう)思わずそんな疑問を自分に投げかけたくなるくらい、その景色はどこか懐かしさを感じさせるほどに、日本らしく、私たちの心を満たしてくれます。

 そんな景色を自分たちの手で作って、私たち日本人の主食となるお米を自分たちの手で育てられることが本当にありがたく、恵まれていることだなと感じます。

■豊作!

 今年はもち米も大豊作で、五列のはぜに干しきれなかったお米の束は、お父さんの提案で二段重ねにして干しました。二段になると、また迫力があり、自分が小さな子供になったような気持ちになるくらい、ワクワクしました。
 笑って手刈りをする時間が、今年一年の豊作と福も呼び寄せてくれるようで、とても素敵な手刈りとなりました。

 盛男おじいちゃんに永禮さんも来て下さり、大好きな家族と、大好きな仲間と一緒になのはな稲刈りシーズンの初日を迎えられたことが嬉しかったです。

■手刈り第二弾!
 
 そして、もち米の手刈りから二週間が経った日、家族みんなで今季最後の稲刈りをしました。一番最後の稲刈りは光田んぼ下の紫黒米です。
 紫黒米の稲刈りは、お父さんのコンバインと私たちの手刈りの協力体制で進めました。
  
  
 私は主にりんねちゃんが刈ってくれた稲の束を受け取り、後ろに稲を交互に重ねていく係をしていたのですが、反対側ではお父さんが機械刈りをし、こちら側では人の手で稲が刈られ、その光景がやっていても、少し不思議で面白く思いました。

 お父さんのコンバインが刈りやすいように、手刈りでは列を揃えて刈っていき、みんなでお父さんが田んぼを一周して来る前に力を合わせて手刈りしていく時間も楽しかったです。
 お父さんのコンバインにはあゆちゃんやよしみちゃんが専属でついていて、二人がコンバインの横に乗っている姿を見る度に心が温かくなりました。

(こんなにも、家族らしい家族っているんだろうか?)ついそう思ってしまうくらいに、お父さんとお母さんがいて、六十人の仲間がいて、家族全員で協力し何かをするというのは本当に恵まれていることだなと思います。
    

足場が悪い所も2チームに分かれて、バ ケツリレーで稲穂を運びました

  
 光田んぼ上では、永禮さんや水嶋さんも来て下さり、はぜ干ししていたもち米の脱穀をしてくださいました。水嶋さんは、みかちゃんのお知り合いの方なのですが、水嶋さんが私たちの為に脱穀に来て下さり、翌日には、刈りたての紫黒米を籾摺りしてくださいました。

 なのはなを好きになってくださる方、私たちを応援してくださる方の存在が、とてもありがたいです。永禮さんや水嶋さんの脱穀作業は流れるように進んでいて、後ろを振り返るたびに景色が変わっていました。
  

上の田んぼでは、もち米の脱穀を進めました

  
 はぜに使っていた竹やなる足も気が付いたら解体され、綺麗にひもで括られていて、これが永禮さんの言う、「ムリ、ムダ、ムラ」のない作業なのだなと感じて、嬉しかったです。
 私たち手刈り部隊は、後半は手刈りした分の紫黒米をコンバインで脱穀する作業をしたのですが、先頭のお父さんにバケツリレーで稲を繋げて行く時間がなのはならしくて、とても心がホッとしました。

「ハイ、ハイ」という声も聞こえないくらいに、ものすごい活気のある空気の中、ノンストップで稲が運ばれていく様子は、まさに人間ベルトコンベアーのようでした。
  
  
 私はお父さんの隣でお父さんに稲の束を渡す係だったのですが、お父さんがみんながやりやすいように仕組みを考えてくれたり、時にはコンバインを動かしてくれたり、お父さんの集中した空気に私も力が湧いてきて、どこまででも動き続けられるような気がしました。

■反復横跳びをしながら

 途中はバケツリレーの距離も長くなったのですが、そんな時も隣にいたちさちゃんと反復横跳びをしながら稲を繋げていき、つい笑いが込み上げて来てしまう程に楽しかったです。
  
  
 最初は、「お昼までに終わるかな?」と思うくらい、莫大な量に感じていた脱穀も、途中からは永禮さんも来て下さり二台体制での脱穀となり、とてもスムーズに進みました。

■稲と藁のバケツリレー

 最後の一束が終わったとき、終わったと知りながらも次の稲を受け取ろうと身体が無意識にしてしまう程、身体も心も稲のバケツリレーに染まっていたのですが、お母さんや周りにいたみんなとばんざいをして、その時に吹いてきた風や青い空により達成感を感じました。
 ふと気が付けば、田んぼの中にあった藁も回収されていて、田んぼの奥のほうで永禮さんやあゆちゃんたちが、藁のバケツリレーをしていました。
      
 以前、石生田んぼの藁運びをしたみんなから、「藁運びがね、ウンパルンパ族みたいに面白いんだよ」と話は聞いていたのですが、実際にみんなが藁を運んでいる光景は、ものすごく楽しそうで、私も走ってその中に入りたくなってしまう程でした。
 ポン、ポンと見ていても気持ち良いくらいに藁の束が空を飛び、次から次へと人の手を伝って、永禮さんのいるダンプの方へ運ばれていきます。
 
(なのはなのみんなとなら、何でもできるんだ。私はどんな時も一人じゃない、もう怖がる必要はないんだな)。みんなの存在に、みんなの力にそう思う自分がいます。
  
  
 日本の伝統的な行事、稲刈り。その経験を目や耳で感じるだけではなく、全身を通して体験して、味わって、家族みんなの成功体験として自分の中に蓄積されることがとても嬉しいです。
 今年は紫黒米も大豊作らしく、お米の重みを感じながら無事に今期最後の稲刈りを終わらせることができて嬉しかったです。