「60人と1匹分の喜び」 なつみ

9月12日

 涼しい秋風が吹いて、稲の甘く香ばしい香りが全身を包みます。
 黄金の稲の中に身をかがめて、心臓の鼓動より早く、ザックザックと刈り進めると、稲と稲がこすれ合って、また幸せな香りに包まれます。
 16枚の田んぼに、それ以上の畑を見ているのに、こんなにきれいに、上手に、日本の文化であるお米を作ることのできる家族が、わたしはとても誇らしいです。

 おじいちゃんに永禮さん、うめちゃんまで、あけみちゃんに抱っこされてやってきていました。
 一枚の田んぼいっぱいに、見渡せばみんながいました。
 斜面の上にはおじいちゃんやお父さんお母さんもいて、お話をされていたり、わたしたちの動きを見てくださっていたり、ずっと一緒にいてくださって、それだけで嬉しかったです。

 時間が迫っているので、落ち穂を拾っているときに感じたことを書きます。

 こんな大きな田んぼ、絶対自分一人では刈れないと思いました。
 でも、わたしは少し前まで、みんなやればすぐ終わることを、一人でやる、やらなければならないと思っていました。
 一人でやらないと、人が増えたら増えた分だけ、自分の喜びは、自分への愛情は人に取られるものだと、間違った考えがあったことに気が付きました。

 みんなと稲を刈って、束ねて、はぜ立て部隊のみんながおじいちゃんとはぜを立ててくださって、稲を運んで、落ち穂を拾って、黄金の田んぼは、半日で、古代の立派な建造物が整然と並ぶまでに様変わりしました。
 
 これを一人でやったら、絶対に楽しくないです。
 終わったときは、疲労感と、もう来年はやりたくない、そんな気持ちで終わると思います。
 でも、60人と一匹で行えば、60人と一匹分の喜びが、じわじわと心を染めます。
 仲間の存在がありがたくて、尊くて、そう感じたとき、自尊心というものが少しわかったような気がします。
 何ができるかできないかじゃない。
 わたしが一人、ずば抜けて何かできなくてもいい。
 みんなの中で、稲を刈って、結んで、運んで、落ちている落ち穂を拾って、ただそれだけで尊い。
 みんなの姿は、尊いです。
 そして、わたしもまた、尊い存在であることを、感じました。

 わたしは、やっと安心して眠れそうです。

 これからのコンバインでの稲刈りも、順調に進んで、収穫祭が楽しく出来ますように。

 今日も一日ありがとうございました。
 お母さん、わたしもコオロギについて調べます。
 あと、なのはなには星の王子さまはありますか。お父さんお母さんのお話を聞いて、読んでみたいなと思いました。
 
 明日はななほちゃんと、桃の資料を読む時間をいただいています。
 あんなちゃんが積み上げてきた桃を、しっかり守って、あんなちゃんも安心して働けるように、時間を大事に、ちゃんと勉強します。
 そうは言っても、わたしとななほちゃんだけで、全てこなそうなんて到底無理なので、ここは、みんなにたくさん助けてもらって、みんなで桃に触れて、守って繋げていけたらいいなと、そう思います。
(すでにまおちゃんを奥桃畑に連れて行って、あんなちゃんから教えていただいたことを勝手に、話していますが興味深そうに聞いてくれていて、嬉しいです)

 おやすみなさい。