「今が一番」 ななほ

8月30日

・山小屋で過ごす時間

 昨日の事になるのですが、縁日の後、お父さんお母さんになっちゃんとゆりかちゃん、子供組のみんなと山小屋に泊りました。山小屋に泊るのは初めてでとても緊張していたのですが、なのはな畑の絵が描かれている山小屋の湯に入ると、心も身体もポカポカして徐々に緊張がほぐれていきました。

 盛男おじいちゃんが若い頃に立てた山小屋は、初めて泊まる場所なのに、どこか本当の家のような気がしました。お父さんとお母さんが山小屋時代の話をして下さり、この山小屋でなのはなの卒業生たちが過ごしていたと思うと、私まで温かい気持ちになりました。

 お父さんとお母さんのお話を聞いていると、私がまだ会ったことのない卒業生ともずっと繋がっていられるのを感じて嬉しかったです。それと同時に、私たちもこれから先に出会うべくして出会う仲間と繋がっていたいし、新しい輪を広げていく1人でいたいと思いました。

 山小屋での夜は縁日で遊び疲れていたのにもかかわらず、あまりの嬉しさで心も身体もピンピンしていて、少し夜更かししつつもお父さんとお母さんが自尊心についての話をして下さったり、カードゲームをして遊びました。夜は溶けてしまうかのようにぐっすりと眠ることができて、朝も7時に目が覚めました。

 窓の外に朝の新鮮な空気を感じながら、山小屋のサンルームの光の中で本を読んでいると、(ここが私のもう1つの家なんだ)(私にはお父さんとお母さんに、とっても素敵な仲間がいるんだ)という喜びが込みあがってきて、とっても幸せだと思いました。

 みんなが起きて来てからは、みつきちゃんとえみちゃんと朝食に使うシソを表に出て取りに行き、お母さんが話して下さったように、徒歩30秒もかからず、徒歩30歩で目的地へ到着しました。
「どの位必要かな?」「この位あったら足りるよね」そんなことを言いながらシソを摘むのが嬉しくて、自然に囲まれた山小屋での生活は素敵だなと思いました。

 そして朝食の準備に入ります。本日のメインは、しらす丼です。お父さんに教えて頂きながらシソの下処理をしたり、お母さんに任された洗い物をしたり、山小屋の広い台所に集まり、手分けして作業を進めました。
 焼きのりを切ろうとした時、お父さんが、「ちょっと待って。焼きのりを切る時はこうするんだよ」と言いながら、コンロでのりを炙って下さり、そんな風に小さなひと手間を惜しまないお父さんが優しいなと思いました。
 
 炙られた海苔は湿度が飛んでいくらしく、触ってみてもパリパリになっていました。私はのりを切ったことが一度もなかったのですが、お父さんに教えて頂いた切り方で包丁を入れてのりを切ると、パリッパリッとのりが切れて面白いなと思いました。少し難しくて大きくなってしまった所もあったのですが、「子供組だからね、これも味が出ていることにしよう」と言って下さり、その言葉にホッとしました。

 炊き立ての真っ白いご飯を丼ぶり茶碗によそって、その上にお父さんがかつお節を載せていきました。ご飯の上でひらひらと踊るかつお節は、私たち子供組のお泊りを喜んでくれているようで、ずっと踊るかつお節を見ていたいような気持ちになりました。

 そして、かつお節の上にはシソ。その上に豪華なしらすがドーナツ状にたっぷりと乗せられて、しらすがキラキラしていました。なつみちゃんやみつきちゃんが分けてくれた卵を、つるんと落とすと(こんな贅沢、していいの?)と思うくらい、綺麗なしらす丼になりました。最後は、お父さんが炒りたての炒りごまをトッピングし、だし醤油をかけて完成です。

 私はなのはなに来るまで、誰かと一緒にご飯を用意する経験がほとんどなかったし、今も記憶にありません。今までは、周りで家族と一緒にご飯を作っている人を見ると素敵だなと思ったり、私はそんな風にできないんだろうなと思っていたけれど、こうしてなのはなで素敵な経験をさせて頂けるのが嬉しいと思いました。

 お父さんお母さん、みんなで作ったしらす丼はいつもの何倍にも美味しく感じたし、のんちゃんがナスのぬか漬けを糠ごとタッパーに入れて持たせてくれたため、新鮮なぬか漬けも頂くことができました。なのはな産のカボチャと卵の入った、自家製お味噌汁。ナスの副菜にお母さんからの美味しい副菜もあり、自分たちが作ったお米や味噌、野菜を自分達の手で調理して頂けることがとても尊いことのように感じました。

 誰かと一緒に作る過程があるから、幸せな気持ちが何倍にも膨らんで、同じ料理を食べる嬉しさや喜びをみんなと共感できます。なつみちゃん達の割ってくれた卵やお父さんとお母さんの卵エピソードもいっぱい笑って楽しかったし、たった1回の経験だったけれど、その経験が小さい頃の自分も、今の自分も救われたように感じました。

(家族って、本当はこんなに温かいんだ)(これが本当の家族なんだ)と思うと自分の中にずっと止まっていた何かが動き始めたような、奥底にしまっていた悲しみが解けていくような気がしました。

 縁日が終わってしまったのは少し寂しかったのですが、山小屋で朝食を食べた後、山小屋の上に登って屋台の片付けをしたり、あゆちゃんや何人かの人が片付けに来てくれて、山小屋を綺麗にして帰ることができて嬉しかったです。

 帰りの車の中も、お父さんが魚のお話や、またお母さんがキャンプに行こうと話していること、雨の日は子供組が企画してゲーム大会をしようという話をしてくれて、とてもワクワクしました。そして、午後からも今まで通りに、畑に出たり、田んぼのヒエ取りをして、稲がたれて、黄金色に染まっていく景色や、みんなと見た夕日に安心しました。

 稲を見ていると満たされた気持ちになったし、本当に古吉野の景色や、畑や田んぼで見る夕日ほど、美しいものはない様に感じ、今が一番幸せだと思いました。