【8月号⑧】「ワンチャンスを逃さない! ―― 雨の止み間に白大豆の土寄せをやり終えたい ――」やよい

白大豆は、山小屋と河原小畑の二枚に植わっています。

 二枚の白大豆とも、本葉三〜四枚になっていて、もう一回目の土寄せをできるタイミングでしたが、雨が続いて、土寄せできるチャンスがなかなかありませんでした。
  
  
 雨が一週間近く降り続くなかで、朝から雨の落ちない日がありました。一日だけのワンチャンスが到来しました。もう、この日、この時間しかないと、予定を変更し、午後から、七人ずつくらい、二手に分かれて、山小屋の白大豆と、魚取り畑の黒大豆、河原小畑の白大豆を土寄せするグループに分かれました。

■様変わりしていく景色

 魚取り畑の黒大豆の土寄せを終えて、河原小畑にいくと、株周りや畝間に、三十〜四十センチくらいの草丈の雑草が、白大豆を追い抜く勢いで生えていました。

 そこで、草丈が高くて、土寄せをしても、頭がでてしまったり、土寄せに邪魔な草だけ抜く人を二、三人作って、草取りできたところから、おいかけるように土を寄せていきました。

 土を寄せていくと、畝間の雑草がなくなって、株周りに茶色の土がよって、大豆の優しい黄緑色と、株もとによったカマボコの茶色と、平らな畝間だけになって、景観が様変わりしていきます。一畝ずつ、クワで景色が塗り替えられていくみたいで、とても綺麗で、そのシンプルで美しい景色が好きだなと思いました。
  
  
 空はときたま晴れるけれど、ほとんど日は差さず、曇り空で、土寄せがやりやすい気候でした。それでも、気づくと、汗はぽとぽと額を流れていきます。

 管理機をかけていないこともあって、土は少し固めだったけれど、みんなで黙々と土を寄せていきました。

 ふと顔を見上げると、目の前に広がる土が寄せられた白大豆たちは、葉がそよそよと少し風にゆられながらも、満足そうなたたずまいに見えて、嬉しかったです。
  
  
 四時を少しまわったころ、お父さんとお母さん、そして永禮さんも来て下さって、一緒に土寄せをしてくださいました。

 その数十分後、山小屋に行っていたチームのみんなが、河原小畑にヘルプに来てくれて、気づくと、河原小畑はたくさんの人でにぎわっていました。

■永禮さんの力

 それでも、はじまった時間が遅かったこともあり、五時までに終わらず、 五時からの当番に入っている人は一旦古吉野に戻ると……畑に残ったのは、 永禮さん、まえちゃん、なつきちゃん、私の四人でした。

 でも、中途半端な畝もふくめ、あと六畝くらいだから終わらないはずはない、気合いを入れて、一生懸命土寄せしました。

 永禮さんが、途中から、畝間で土寄せとはなにやら違う動きを、していました。

「みんなが土を寄せやすいように、畝間を鍬で耕してるんだよ」

 永禮さんが、人力トラクターみたいになって、畝間を耕して下さって、耕されたふかふかした土を寄せることができて、ありがたくて、嬉しくて、管理機をかけていないのに、ふかふかの土を寄せられるのが不思議な感じがしたけど、とても楽しかったです。

   
 入り口から向かって一番右の畝は、ともすると、そこに白大豆が植わっていることを忘れてしまうように、少し草に埋もれてしまっていて、そこが一番の難関でした。

 五時半頃、あけみちゃん、さきちゃんが畑に駆けつけてきてくれました。

■ピンチはチャンス

 クワで草を削りながら、土寄せの邪魔にならない端によけていく人、永禮さんのように、畝間を耕していく人、土寄せをしていく人、三つに役割分担をして、土寄せを行なっていきました。除草、耕し、土寄せを分担して、一度にできている……なんということか。

 もはや何も怖いことはないではないか、そんな気持ちになって、ピンチはチャンスという言葉があるように、ちょっと大変な土寄せも、とても楽しかったです。

「やった〜!! 終わった〜!!」

 みんなの喜びの声があがり、五時四十五分頃、河原小畑の土寄せが終わりました。

  
 雨の止み間に、行ないたかった三枚の大豆の土寄せを見事終わらせることができて、ワンチャンスを逃すことなく、みんなとやりきることができて、とても嬉しかったです。

 そして、最後の河原小畑の土寄せは、自分の記憶に残る土寄せ作業になりそうだなと思いました。