「魔法の30秒」 ちさ

8月11日

 初めてジャム作りをさせていただきました。下準備でカットされた櫛形の桃と、一気に飛んで完成したジャムしか見たことがありませんでしたが、その間の工程を一つ一つ目と鼻と温度と、全身で感じることができてとても新鮮でした。
 今日は、おかやま夢白桃の鍋を一つ、なつおとめの鍋を一つずつあやかちゃんと作りました。焦げ付かないようによく混ぜること。ただ単に混ぜるのではなく周りや底など鍋の表面ほど温度が高いから、同じ場所にい続けないことを意識して混ぜること。火は強火で遠火。焦げ付かないように、だけど強火で早く煮詰められるように。色が濃くなっていくのはほんの少しの焦げが積み重なっているからで、できるだけ白っぽく仕上げたいということ。
 あやかちゃんがいろいろなポイントを伝授してくれました。いろいろなことを意識し、焦げ付かないか、ずっとすごくドキドキもしていたけれど、鍋に吸い寄せられて、刻一刻と変わっていく姿を見ているのがなんとも不思議で面白く、飽きませんでした。

 初めはサラッと桃の実入りのジュース、という感じから、ほんの少しずつほんの少しずつ重みがついてきて、トロッとしていく。桃と砂糖しか入れていないのに、なんでそうやって変わっていくのか、魔法の粉でも入っているのかと思ってしまうくらい、理屈ではわかるけれどやっぱり実際に見ていると不思議で仕方なかったです。
 前半戦、火にかけてしばらくし沸騰してくると、一気に灰汁が出てきます。10分くらい灰汁のフィーバーがあって、灰汁取りなどもなれていなかったので、内心ハラハラパニックになっていましたが、渋みが残ってほしくない、そう思って必死で灰汁をとりました。初めは緊張と必死、という感じだったけれどいつの間にか夢中に変わっていました。

 桃ジャム作りの中で一番驚いたのは、最後の30秒です。火を止めるタイミングが出来栄えのキーだとあやかちゃんが教えてくれました。一度火を止めたあと、あやかちゃんはあと30秒、といって、もう一度ほんの少しだけ火にかけていました。見ているときは、そんな30秒なんて、と思っていたけれど、これが本当に違うのです。最後に、味比べをさせていただいたとき、たったの30秒なのに、砂糖っぽい甘さと、桃が凝縮された甘さと、はっきりと違い、その30秒でグッと濃厚になっているのがわかりました。魔法の30秒でした。その違いにとても驚きました。そんな少しの違いで味は全然変わるし、だからと言って火にかけすぎると固くなってしまう。そんな超繊細な見極めを、絶妙なタイミングで毎回やり抜くジャムメンバーが本当にすごい、と思いました。私の方の鍋は、ストライクゾーンだと河上さんオッケーはいただきましたが、欲を言えば、あと10秒火にかけたら濃縮するだろうけれど、これ以上固くしたくない、そう教えてくださいました。それは煮詰めるスピード(火の強さが)が早かったのだそうです。桃の熟し加減と、固さと甘さのバランス加減。とても難しかったけれど、奥が深くて、面白い、と思いました。今まで桃ジャムをいただくとき、桃ジャムは桃ジャムだと思っていただいていたけれど、品種や作った鍋による味の違いがあることを感じて、今度いただくときは見る目が変わりそうだなと思いました。

 夕方は、やよいちゃん、ななほちゃん、なつみちゃん、まおちゃんと、サツマイモ堀に入らせていただきました。人数は5人。場所は梅見畑の長い2畝。蔓回収からの作業でたくさんあるように感じましたが、だからこそみんなが高速回転して作業が進み、とても楽しかったです。

 蔓の刈り取りでは、刈り取りのプロを目指しました。どうしたら隣の畝のものとからまらず引っ張る人がやりやすいか、立ち位置を工夫するだけですごく速くなりました。腑に落ちない状態だとすごく大変だと感じていたけれど、そのやり方にたどり着いたとき、やはりどんな作業も追求していったらとても面白い、と思いました。蔓運びも、ななほちゃんと蔓お化けになりながら、たくさんの蔓を抱えて畔を走ることが、ただただ楽しくて、気持ちよかったです。
 
 そして畑の準備が整ったところで、メインの芋ほりへ。私はやよいちゃんとスコップで掘る部隊に入らせてもらいました。理想は、1、2、3で掘り上げてタイミングを合わせたかったけれど、石などがあったりするとなかなか難しくはじめは息の合わない二人三脚のような感じになってしまいました。途中から、やよいちゃんの左手になってみよう、と思いました。やよいちゃんが掘りたい場所の向かいにスコップを刺し、やよいちゃんが掘り上げるタイミングで、お箸のペアみたいに一緒に掘り上げられるように意識しました。どんどんどんどん息があって、そして掘り上げた瞬間にななほちゃんやなつみちゃんやまおちゃんが獲物を狙った動物のように、一瞬で回収してくれて、1つの体になっているみたいで、息がぴったりと合って猛スピードで進んでいくのがすごく楽しかったです。芋ほり作業、というより、芋ほりスポーツ、という方が近いかな、と思いました。
 自分がベストだと思うことを尽くすことが最善だと思っていたけれど、すごく思い上がりで、間違っていたなと思いました。誰かの、こうやりたい、ということに添わせて、一体化して自然に力を尽くすことが優しい、と思いました。

 あっという間に消灯の時間です。
 読んでくださりありがとうございました。

 最近、動くことが楽しいです。以前のような体の重さがなくて、何でもいい、ただみんなの中で、誰かが喜んでくれることをやることが楽しくて、充実しています。本当にどこまでも自分のことはおいておいて、みんなのための自分の身体、力、心、時間であることを忘れないで、できることを力いっぱいやりたいです。
 読んでくださりありがとうございました。