
7月31日のなのはな
ソワソワとした、落ち着かない気分で、目が覚めました。
それもそのはず! 家族みんなで、海水浴に行く朝です!
浮き輪や荷物を持って、みんなで車に乗って、出発です。
道を進んでいくと、だんだんと周りに山がなくなってきて、視界が開けてきたように感じました。
カーブを曲がって、もしかして……! と思った、次の瞬間。視界いっぱいに、青い海が飛び込んできました。みんなで思わず「うわぁ~」と歓声をあげてしまいました。
ついにこの時が来た! とばかりに、浜辺に向かって駆けていきました。
さっそく、同盟チーム対抗イベントの、始まりです。
初めての入水、オープニングは「宝探し」。お父さんお母さん、須原さんが投げてくれるボールを、水中で探します。
ジャブジャブと沖の方へ進んでいくと、波がやってきて、その足を阻んできます。この感覚、ああ、ここは海なんだ! と、ようやく実感が湧いてきました。
そして、濁りのない、綺麗な海水。あまりに透き通っているので、ボールがどこにあるのかすぐに分かってしまうくらいです。
そのなかで、みんなとボールを探すのが、とても楽しかったです。
それから自由時間ということで、わたしは岩の洞窟の方へと泳いでいきました。
海水が少し冷たくて、サリーちゃんと浮き輪でぷかぷか浮いているのが、気持ちが良かったです。
大きなボートに乗っているみんなや、シャチに乗っているみんなもいて、その笑顔につられて、わたしも笑顔になりました。
ちさちゃんがやって来て、「ここ、100匹くらい魚が泳いでるんだ!」と教えてくれました。潜ってみると、眼前には魚の群れがあって、それが不思議で、信じられない気持ちが溢れてきました。
また、「見て見て!」とほしちゃんが何かを手に乗せていて、それは、アメフラシでした。初めて見させてもらったのですが、2本生えた角や、プルプルとした身体、脱力しているような様子が、とても可愛らしかったです。
そのほか、小さなカニやアオサを見つけたり、発見がいくつもあって、興奮が収まりませんでした。

お楽しみの、お弁当の時間です!
蓋を開けると、卵焼きや唐揚げなど、みんなが大好きなものばかりが詰まっていました。
おにぎりには、なのはな自家製の大きな梅干しが入っていて、そのすっぱさが身体に沁み込んでいきました。テントで少し身体を休ませつつ、美味しいお弁当がいただけたことが、本当にありがたく感じました。
エネルギーチャージが完了したところで、再びイベントが始まりました。
続いての種目は「砂のお城・オブジェ作り」です。
砂のお城のテーマは「高く高く! ○○タワー」。
オブジェでは、くじを引いて出た、海にまつわる生き物「○○娘」のオブジェを作ります。
イルカ、カメ、タコ…次々とくじが開かれていき、わたしたちのチームは、なんと、「ナマコ姫」!?
ナマコってどんなものなんだろう、どんなタワーにすればいいんだろう、とドキドキのなか、制作に移りました。
わたしは砂のお城を作らせてもらい、みんなと「グツグツ・スリルタワー」を完成させました! わたしたちの同盟「グツグツ会議」のみんなの心にある、煮えたぎる何かの様子を、海水交じりの砂を垂らしていくことによって、表現しました。それが、作っているときにぼろぼろと崩れてしまうのがとてもスリリングで、でも、どんどんと高くなっていくタワーがうれしくて、楽しかったです。
隣で他のみんなが作ってくれていた「ナマコ娘」が、ちょっとイボがあって、ぱっちりとした目が愛嬌があって可愛くて、お父さんも「これ、気に入ったなあ」と笑ってくれて、とてもうれしかったです。
他のチームの作品も、貝殻などがあしらわれていたり、生き物の特徴がそのまま表現されていて、クオリティの高さに驚きました。ちょっぴり、流されて消えてしまうのが惜しいなあと思いました。
続いての種目は、海と言ったらやっぱりコレ!「スイカ割り」。
目隠しをしてスイカに向かっていく人、「真っすぐ真っすぐ!」と誘導する人に分かれて、一番乗りでスイカに振りかざすことができたチームに点数が入ります。
それぞれのチームの声援や波音で、誘導が聞き取りにくく、また、目隠しで平衡感覚が失われてしまいます。
わたしのチームでは、ちさちゃんとまちちゃんのペアが大活躍してくれました。
まちちゃんの大きな声を聴いて、ずんずんと進んでいき、的確に動くちさちゃん。そして、一発でスイカに命中! それが、とてもスカッとして、かっこよかったです。
なのはなで採れたマクワウリでも、ゲームを行ないました。
ここでは、自分の先にあるマクワウリではなく、2個隣のマクワウリを狙うというルールになっていて、また、敵チームの剣が自分に命中してしまうと、アウトになってしまいます。マクワウリにたどり着くのが難しいなと感じたのですが、わたしが誘導をしたサリーちゃんは、わたしが声をかける前にも、まるで見えているかのようにマクワウリのもとへと進んでいて、びっくりしたし、すごいなあと思いました。
最後は、お父さん、お母さん、須原さん、河上さんの4人のスイカ割り対決です。
大きなスイカに向かって、迷いなく進んでいく須原さん、そこにお父さんや河上さんが加わります。力強い一発でスイカに命中させたのは、お母さんでした。
誰が勝つのか最後まで分からないゲームが、見ていてとてもハラハラドキドキしました。
おやつには、ゲームで使われたスイカをみんなでいただきました。
濃い黄色のスイカは、見るのも食べるのも初めてだったのですが、とても甘くておいしかったです。スイカの汁が滴ってきて、かじりつくたびに満たされた気持ちになりました。
帰る時間が近づいてきて、少し浜辺で座って水平線の方を眺めているだけでも、心が癒されていくのを感じました。
どこまでも続いている、大きくて広い海を見ていると、自分が抱えていた悩みも不満も全部小さいものだったと気づかされます。
海がすべてを受け止めてくれているようで、わたしは、そんな海が、本当に尊く感じました。少し寂しくなってきて、ずっとこのままここにいたいなあ、と感じてしまうくらいでした。
古吉野に近づくにつれて、周りには山や畑が広がっていって、海はもうすっかり消えてしまいました。でも、わたしには同じ車に乗って、同じ家に帰ることのできる家族が居ました。
家族みんなで、一緒に海水浴に行くことができて、本当にわたしは幸せだと感じました。
わたしにとって、忘れられない夏の思い出になりました。
(みつき)