桃の実には袋掛けがされて、いよいよどの桃の木も収穫を待つのみになりました。大きく、甘く熟してくる桃の実、それと同時に虫の被害も出てきます。
桃の実を虫食いのない、綺麗な状態で収穫できるように、あんなちゃんや桃メンバーのみんなと、ネット張りの準備を進めました。
なのはなの桃畑には、ネット用の高い支柱が桃の木を囲むように立てられています。支柱でネットを支えて、桃の木に負担がかからないようにするためです。
でも、支柱だけでは、まだネットを美しく張ることは難しいです。あんなちゃんやお父さんが考えて下さって、支柱と支柱をマイカ線で繋いで、大きな桃の木の部屋を作ることになりました。
同じ作業をしていたあんなちゃん、さくらちゃん、どれみちゃんが、十二段の脚立を上って、支柱のてっぺんにマイカ線を結び付けてくれました。見上げるほどの高い位置で、とてもハラハラドキドキしました。私はあんなちゃんとペアになって、脚立が倒れないように、マイカ線が絡まらないように補助をさせてもらいました。
大きな脚立を運ぶことも、一人では一苦労だけれど、二人で持つととてもスムーズに運ぶことが出来ました。最初は初めての作業でもあったので、少し戸惑うこともあったけれど、だんだんとあんなちゃんと息があってきて、マイカ線を張る速さも速まってきたことが嬉しかったです。
ふと、後ろを振り返ると、桃の木を囲んで六角形の形にマイカ線がピンと張られていました。そこだけ切り取ったような、魔法陣のような、とても不思議な気持ちになりました。
青空を背景に六角形がどんどん作られていく様子がとても綺麗だなあと思いました。
「空から見たら、どんな形に見えるんだろう?」一緒に作業しているみんなと話しました。
「ハチの巣みたいな形に見えるのかな」「地上絵みたいに見えるのかな」、空から見た、なのはなの桃畑を想像すると、とても楽しくなりました。
作業をしている時は、安全に気を付けたり、強度を強くするために、みんなで細かいところまでシビアに気持ちを使っていました。 でも、出来上がった桃の木の部屋を見ると、とても壮大な気持ちになって、ダイナミックな作業だったんだなあと気が付きました。
マイカ線を張り巡らせるだけではなく、もう一つ工夫が凝らされています。それは、ネットをスムーズに広げられるように、支柱の先に、コロコロ回転する滑車を付けることです。
昨年までは、長い木の棒を使って、ネットを桃の木に掛けていました。けれど、その方法では時間がかかってしまったり、大変でもありました。
今年から支柱の先に滑車が付いたことで、ネット掛けの作業をよりスムーズに出来るようになりました。
早生の「はなよめ」という品種の桃の木に、いち早くネットが掛けられました。ネット掛けの作業をしたみんなから、「ネットがスルスルと、とてもスムーズに掛かったよ!」と聞きました。
桃の木の周りを囲む支柱、支柱を繋ぐマイカ線、滑車……たくさんの工夫が重なって、無事ネット掛けが良い形で出来たんだなあと思って、とても嬉しかったです。 今も、桃の木にベールが掛かっているかのように、半透明のネットで囲まれている姿が綺麗だなあと思います。桃をネットで守ることができて、とても嬉しかったです。