【7月号⑯】「1つひとつの手入れが積み重なって ―― スイートコーン第1弾の収穫 ――」えりさ

 先日初めてスイートコーンの収穫をしました。

 収穫時期の目安となる雌穂が完全に茶色く枯れていて、実が硬く引き締まっていたことを確認した時、念願だったこの時期がようやくやってきたことが本当に嬉しかったです。

 スイートコーンの収穫とは、実はいろんな人と連携が必要な大々的なミッションでもあります。みんなとスイートコーンが一番美味しい状態でいただくには、畑から食卓まで持っていく過程をいかに短時間で終わらせることが最大に重要です。

 

  
 まずは畑での収穫。

 時刻は十二時半。昼食の三十分前です。粒がぎっしり詰まっていて重くなった実を株からちぎり落とす感覚はものすごく爽快で気持ち良いです。

 しかし、実をちぎり落とした瞬間からストップワォッチがかかります。なぜならトウモロコシは、株からとってから時間が経てばたつほど糖度が落ちるからです。スピード感を持ちながら、サクサクトウモロコシを株からちぎり取り、収穫カゴをいっぱいにしていくと、とても豊な気持ちになります。

 収穫した直後にスイートコーンの皮を剥がします。

 私は今季初めて収穫したスイートコーンの濃い緑色の皮を剥いて、中に入っている実の姿を見た時の感動を一生忘れられません。この世のものだと思えないほど鮮やかな黄金色の粒がまるで芸術作品のように美しく並んでいました。

 こんなに美しいと思った野菜は今までにないくらい、実の膨らみ加減、艶、形に私の心が奪われました。
     
 皮をどんどん剥き続けても、どのトウモロコシも同じように実が真っ直ぐに並んでいました。時刻は十二時五十分。皮を剥いたトウモロコシから直接台所の大鍋に投入し、二分四十五秒湯がします。

 この絶妙な茹で加減も、今までの積み重ねで発見したトウモロコシを一番美味しくいただくためのポイントです。湯上りのスイートコーンの黄色はさらに濃くなっていて、見ているだけで食欲が注がれます。

 「あつい!」とつぶやきながら素手で塩ずりし、台車のせて食堂へダッシュ。  

  
■黄金色のスイートコーン

 時刻は十二時五十八分。

 一人一人の席に大きなスイートコーンを丸ごと一本配膳します。黄金色のスイートコーンが食事の席にあると、部屋全体に光が差し掛かったかのように明るく、賑やかになります。

 続々と食堂に入り、スイートコーンを目にするみんなの顔はキラキラしていました。

 「あ!」と嬉しそうに呟いてくれると、ものすごく誇りっぽく思いました。こんなに美しいトウモロコシをみんなで丸ごと一本ずついただけることが何より嬉しいです。

 早速一口食べてみると、デザートのように甘いコーンの汁が口の中に広がり、とても幸せな気持ちになりました。

 「スイートコーンやっぱりうまい。」「これからもっと食べれることが嬉しい。」

 お父さん、お母さんも喜んでくださり、とても嬉しかったです。

 ミッション成功。収穫だけでこんなに語ってしまうくらなのでで、私は今年スイートコーンの担当をさせてもらっていることは言うまでもないですね。  

 最初せいこちゃんと一緒に担当することが決まった時、光栄だと思ったと同時に、すごく緊張しました。

■成長段階に合わせて

 夏の定番野菜である一つのスイートコーンは弾数が多く、追肥、土寄せ、防除、摘果、徐穂などの手入れのタイミングを常に把握しておくことがかなり重要です。

 今年は例年より少なく、六弾まで育てています。しかし、弾ごとの株数は例年の二倍以上あります。第一弾はトウモロコシの天敵、アワノメイガ の発生を避けるために例年よりずいぶん早めの三月末に定植しました。
  
 まだ気温が低く、一、二弾は霜に当たってしまったことがありましたが、それでも力強く葉っぱを広げ続けました。追肥は鶏糞、籾殻、過リン酸石灰、蠣殻、落ち葉堆肥などが入った栄養満点の総合有機肥料を施し、根が張るようにしっかり土寄せしました。

 土の湿り具合を頻繁に確認し、成長段階に見合った水やりや、欠乏している栄養素の補給。毎日せいこちゃんややよいちゃんと一緒にスイートコーンの求めているものを考え、育てていきました。  
  

   
 早めの梅雨に入った時は、傾斜している保育園東畑の畝間と入り口に水がかなり溜まり、多湿に弱いスイートコーンに危機的な状況になったこともありました。

 その時は、せいこちゃんとつきちゃんの三人で深さ六十センチほどの小さい溜池と溝を掘り、排水しました。

 傾斜の逆方向に溝を切る作業は大変だったけれど、終わってから、水がどんどん株元から溜池のほうに流れていく様子を見た時、感じた喜びとトウモロコシを守り抜けた安心感は今でも心に残っています。  
  
 つい最近、収穫直前まで成長してくれた第一弾のスイートコーンに少し獣被害を発見し、集合で報告したら、その日の夕方にお父さんお母さん、お仕事組さん、スタッフさん、当番のないみんなが駆けつけてくれて、獣対策を助けてくれました。

■獣対策

 流れるように二メートル竹を畑に打ち込み、緑色の害獣ネットを広げ、スズランテープとユーピンでネットを固定しました。

 一時間もしないうちに畑の周辺に害獣ネットを隙間なく張り、さらに罠まで仕掛けることができました。作業が終わり、日が暮れる中、やよいちゃんと二人で軽トラの中で「あー!良かったー!」と喜んだ時間は一生忘れられません。それ以来、獣被害は一株も出ませんでした。
  

  
■収穫につなげる過程

 そしてついに無事収穫につなげることができました。本当に、本当に、みんなのおかげです。美しいスイートコーンはみんなの優しさを反映していると思います。

 収穫したスイートコーンをみると、嬉しいと同時に少し不思議に感じています。せいこちゃんと二人で芽出ししている種の水換えや、本葉二、三枚の株を見回っていた時間がつい昨日のように感じています。

 あんなに小さかったスイートコーンが土に埋められ、雨、太陽の光、そして土に入っている栄養がうまい案配で吸収した。

 定植から収穫までの三ヶ月の間こういう小さい偶然が積み重なった結果、大きくて、綺麗なスイートコーンが何本も収穫できた。考えてみる奇跡的なことだなと思いました。
  

  
 畑作業をしているとつくづく感じることは、やっぱり野菜育ては本当に楽しいことです。野菜の成長を見て、うまく収穫につなげる過程は大変だったりしても、自分から離れて、野菜に気持ちをそわせる時間は心を満たします。

 今は第一弾の収穫を進めています。スイートコーンは代六弾まであるので、最後まで気持ちを切らさず手入れをしっかり続けます。