【7月号⑫】「梅干し、梅ジャム、梅サワー ―― 河上さんと梅の選別・加工 ――」なつみ

 大きな鍋の中には、夏らしい透き通ったオレンジ色のジャム。赤い蓋の八リットル瓶には、黄緑や黄色、オレンジ色したカラフルな梅がぷかぷかと浮いています。そして、お父さんが楽しみにしていた、オレンジ色に熟れた梅は黄色の漬物樽で、今はゆっくりと熟成されています。

 食事の席では、梅の大豊作の話が連日話題になりました。

「大きな実が沢山採れました」

「熟れた実が沢山あって、梅の良い香りがしました」

 そんな話を聞かせてもらうたびに、(今年はおいしそうな梅が沢山採れたんだなぁ)(見てみたいなぁ)と思っていたところで、河上さんと、梅の加工の作業に入らせていただきました。

 初めて見るなのはなの採れたての梅は、みんなの言う通り、とっても大きなオッケーサインくらいに大きくて、(梅ってこんなに大きいのか!)と驚いたのと同時に、酸っぱいイメージの梅には似合わない、熟れた甘い香りがしました。
  

   
 お米とぎや野菜切りのみんなが家庭科室に一歩踏み込むと、

「うわー! いい香り」

 と笑顔になっていて、みんなと加工した梅を頂けるのが、とても楽しみになったし、そのために、上手に美味しく作れるように、できることを頑張りたいと思いました。

 今年の梅は三種類に加工されます。梅干し、梅ジャム、梅サワー。まずは、それぞれの選別から始まります。一番綺麗でシミも少ない梅が、梅干しになります。他にも、梅ジャム用、梅サワー用に選別をしていきました。

 お父さんが、

「黄色く熟れた梅を梅干しにするとおいしい」

 と話していたので、綺麗で、熟れた実と出会うと、

(お父さん、梅干しになる子を見つけました!)

 と心の中で報告して、一人喜んでいました。いや、喜んでいるのはわたしだけではなく、となりの河上さんも同じです。

 河上さんは、「ゆずも好きだけど、それより梅が好きなんじゃ」と仰るくらいに、梅が大好きで、綺麗な梅に出会うと、「綺麗じゃろ」と言って本当に嬉しそうに見せてくれました。

「この傷さえなければ、梅干しにできたのに」

 と言って、何度も悲しんでいました。

  河上さんと梅の作業をしていると、河上さんは梅が大好きなのが伝わってきて、私まで、傷があると悲しくなって、綺麗だと喜んで。だんだん梅が好きになっていきました。約二十コンテナほどある梅の選別を終えると、三種類に加工していきます。

■これからに活かして

 河上さんは、

「準備八割本番二割」

「泥棒を捕らえて縄を綯う」

 という言葉を教えてくださいました。

 行き当たりばったりで、何とかなるさは良くなくて、しっかりタイムスケジュールを組んで、必要なものはすぐに使えるよう事前に準備をする。そうして初めて、効率よく作業ができるのだと教えていただきました。そして、作業に入る一人として、全員が気持ちの良い作業をできるように心と頭を使って、動く。

 河上さんとの作業は楽しみで、嬉しくて、梅の加工の作業が終わるころには、もう河上さんと作業することも少なくなってしまうのだなと、寂しくなってしまいました。
  

   
 梅の加工最終日は河上さんが不在の中、三人で前日からタイムスケジュールやそれぞれの役割を決めておいて、自動操縦で動いていき、無事に、梅の加工の作業に一区切りつけることができました。

 もっとこうしたらよかったなと思うところは沢山あるけれど、反省よりも、河上さんと作業をさせてもらった時間の中で、得たものは多くて、それを畑作業や日々の作業に活用していけることが、本当にありがたいなと思います。

 これからの暑い季節、甘酸っぱい梅はみんなの身体を癒してくれます。土用の丑の日には梅干しの手入れがあり、みんなと、美味しくいただけるように、忘れずに見守っていきたいです。